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導入
朝の職員室には コーヒーとコピー用紙の 混ざった匂いが立ち込めていた。 教師たちの談笑と、 印刷機の音が重なり合う その空間に、 一つ新しい声が加わった。
川犬
川犬
川犬
扉の近くに立つ若い男が、 にこやかに頭を下げた。 ベストはよく似合っており、 新人らしからぬ落ち着きがあった。左手には分厚い革表紙の本。 どこかの古書店で 埃をかぶっていそうなその本に、 気づく者は誰もいなかった。 挨拶に応じる声が いくつかあがる中、 奥の窓際で椅子を ぐらぐらと揺らしていた男が 手を挙げた。
ゆるりる
ゆるりる
タバコの匂いと酒くさい匂いを 纏った寝ぐせまじりの髪。 机の上には授業の教科書と 同じくらいの割合でパチンコ雑誌と コンビニの空きカップが 転がっていた。 川犬は笑顔を崩さず、 軽く会釈した。
川犬
川犬
川犬
ゆるりる
ゆるりる
ゆるりる
ゆるりるは煙草の箱を 指で回しながら、曖昧に笑った。 そして、川犬はニコッと笑う。 その言葉を発した瞬間に チャイムが鳴る。 ほかの教師たちはばらけ、 ゆるりるは川犬を廊下へ連れ出して歩き出す。
ゆるりる
ゆるりる
ゆるりる
川犬
ゆるりる
ゆるりる
ゆるりる
ゆるりる
ゆるりる
ゆるりる
川犬
川犬
ゆるりるの言葉に対し、 川犬はどこか楽しげに呟いた。