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伊藤真冬
ずっとひとりぼっちの僕に話しかけた
小堀雪菜
伊藤真冬
一つの光
いつもは静寂が広がる病室にはいつも
小堀雪菜
伊藤真冬
君の声が広がっていた。
小堀雪菜
伊藤真冬
小堀雪菜
伊藤真冬
小堀雪菜
そう言って差し出したのは、
sketchbook
そう書いてあった本だった。
小堀雪菜
小堀雪菜
伊藤真冬
小堀雪菜
伊藤真冬
僕は歌詞が書いた、歌詞ノートを渡した。
君は…どう思うかな…
そう思いながら、sketchbookを開く。
伊藤真冬
繊細なタッチ。
細かいところまでよく描けている。
もう一枚ペラ、と捲ると、
そこには女の人が向日葵畑を見つめていた。
その女の人は_
伊藤真冬
雪菜に似ていた。
とても、儚くて。
少し触れれば、消えてしまうようだった。
小堀雪菜
伊藤真冬
僕は歌詞ノートを返してもらい、sketchbookを雪菜に返した。
小堀雪菜
伊藤真冬
小堀雪菜
僕と雪菜は今日もまた、さよならした。
少し、切なくて。
もう少し喋っていたかったなぁ…なんて思ってしまう。
いつでも、君がいなくても、
頭の中にあるのはずっと。
君だけなんだ。
君と喋っていると、胸が締め付けられる。
苦しいはずなのに
辛いはずなのに
すごく、幸せに感じてしまうんだ
この気持ちを僕は
もう、知っている。
_________翌日
伊藤真冬
小堀雪菜
僕は、いつのまにか雪菜の病室へ向かっていた。
理由ならただ一つ。
伊藤真冬
小堀雪菜
僕が持っている病気。
治る確率の少ない、
病気。
伊藤真冬
前の僕だったら、死ぬって言われて嬉しいだろう。
前の僕だったらきっと、手術もせずに人生を終わらせるだろう。
小堀雪菜
悔しい
憎い
死にたくない
生きたい_
伊藤真冬
小堀雪菜
伊藤真冬
両親からも、色んな人からも聞いて
聞き飽きて、心も動かせない言葉で
嘘だらけな言葉
そんなはずなのに
伊藤真冬
どうしてこんなにも
僕を
伊藤真冬
優しく受け止めてくれるの_?
小堀雪菜
小堀雪菜
小堀雪菜
僕の初恋は見事に
伊藤真冬
散った
_________手術当日
伊藤真冬
看護師
手紙には少し丸っこい字で
『真冬へ』
開くと、
__________________
今日は手術当日だね!
頑張れ!
あ、お守り作ったから!!
願い込めてるからきっと成功するよ!
雪菜より
__________________
手紙に書いてあった通り、手作り感満載のお守りが入っていた。
さっきまでの緊張はどこへ行ってしまったんだろう。
看護師
伊藤真冬
僕はお守りをポケットに入れて手術室へ向かった。
ある、女の子が僕の手を引っ張る。
雪菜だよね…?
雪菜はなぜか、僕に向かって
「真冬は、精一杯生きてね!」
そう言って消えてった。
_________
伊藤真冬
看護師
伊藤真冬
最初の発言が、雪菜。
でも、雪菜という言葉を発した瞬間、看護師さんは固まった。
聞いた内容は、僕には受け止めきれないことだった。
「…雪菜ちゃんは」
「死んじゃった…」
僕は、機会を全部剥がし、急いで雪菜の病室へ向かった。
雪菜の病室には
真っ白な部屋で、殺風景。
そして、
もう、誰もいなかった。
たったひとつ。
枕に雪菜のsketchbookがあった。
僕はsketchbookを開く。
そして、こんなことが書いてあった。
__________________
真冬へ。
私はずっと、真冬が好きだったよ。
でも、時間がありませんでした。
私はずっと、分かってた。
でも、伝えれなかった。
ごめんね、ごめんね。
大好きだよ。
雪菜より
__________________
次のページには、僕が描いてあった。
伊藤真冬
あの時、強制的に行かされた、店。
オレンジジュースどっちが奢るかした時。
病院の屋上から見た、あの夕焼け。
僕の部屋から見た、雨上がりの虹。
今日だって、ほら。庭に咲く向日葵が笑ってるよ…
昨日、雪菜が言ってたことなのにね。
全部
全部
思い出に変わっていく。
向日葵が笑った日
君は儚く散っていく。