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取り敢えず香川の家から出て逃げたのはいいものの、東京の追跡は続いている
東京は体力があって、体格の割に力も強い
こんな俺で、逃げられるの…?
香川を守らないといけないのに…
愛知
ここまで来る時も全速力で走って来たせいで、体力はそろそろ限界まで来ていた
呼吸が荒いのが自分でも分かる、足がもつれ始めてる気がする
愛知
ついに限界が来てしまったのかも知れない
右足が左足に引っ掛かり、バランスを崩し、体が傾いた
俺は咄嗟に香川を抱き締めて香川へのダメージを減らした
香川
慌てて俺の腕の中から声をかける香川
ごめん香川、俺はもう無理だ
俺はそっと、香川を腕の中から解放した
香川
ダメだよ、香川は逃げないと、その言葉すら声にならない
息が上手く出来ない、声が出ない、苦しい、痛い
愛知
香川
俺は息が上手く出来なかったが、半ば強引に喋った
香川は優しいから、俺を置いて行ったりしない
でも、今は優しさを捨ててでも、逃げて欲しかった
香川だけでも生きて欲しかった
東京
香川
東京が追いついて来た、このままだと二人とも殺される
愛知
そう香川に言ったが、香川は逃げるどころか、俺の側からも離れようとしない
逃げないと死んじゃうよ
俺はいいから逃げてよ、お願い…
東京がナイフを持った手を動かす
香川に逃げてもらえるように、心に届くように、俺は本気で今まで以上に香川に叫んだ
愛知
香川
香川はビックリしたような表情を見せたが、すぐに泣きながら背を向けて走り出した
俺に見せた驚きの表情の中には、悔しさも混ざっているような気がした
ちゃんと言うことを聞いてくれてありがとね
俺がこっそり香川のポケットに入れた手紙には、気付いてくれるかな
東京
そう言って東京がナイフを振り下ろす
俺の背中目掛けて
助けなんか来ない、来なくてもいい
俺は香川を守ると言う俺の責務を果たしたから
その時、俺の目から涙が流れた
香川を守った安心の涙なのか、殺される恐怖の涙なのかは分からなかった
ありがとう、香川
ごめんね、大阪