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とある金曜日の、23:30

神代 七織

うわぁ、もうこんな時間……

神代 七織

(明日休みだから多少遅くてもいいかって残業してたけど、)

神代 七織

(このままだと、集中力もちそうにないなぁ……)

神代 七織

(ちょっと自販機行ってこよーっと)

社内には私しか残っていないはず。

そうだよね、週末で明日休みだから皆さっさと帰ってぱーっと飲んだりしてるよね。

……きっと。

神代 七織

(あれ?会議室の電気点いてる……)

神代 七織

(消し忘れ、かな?)

事務所のフロアを出てすぐの、まさに目的の自販機の近くにある会議室の電気が点いていたのに気がついた。

がちゃり、とドアを開けると、

神代 七織

え、四宮さん?

四宮 貴之

神代さん?こんな時間まで何してるの?

神代 七織

いやいや、こっちの台詞笑

四宮 貴之

俺は見ての通り、残業

四宮 貴之

と言っても中途半端なままで帰るわけにはいかないから

四宮 貴之

キリの良いところまでやってこうと思って

神代 七織

相変わらず真面目なことで笑

四宮 貴之

そういう神代さんも残業?

神代 七織

見ての通り、残業なんです笑

神代 七織

……と言っても、今からちょっと休憩タイム入りますけどね笑

四宮 貴之

じゃあ、俺も休憩タイム入ろうかな

神代 七織

何か飲みます?ついでに買ってきますけど、

四宮 貴之

いや、いいよ

四宮 貴之

一緒に行く

神代 七織

そう、ですか?

神代 七織

じゃあ……

行きましょうか、と続けようとした、その瞬間、急に目の前が真っ暗になった。

神代 七織

えっ、停電?

四宮 貴之

いや、でも周りのビルは電気点いてるからここだけ停電はおかしい……あ、

神代 七織

え、なんですか?

四宮 貴之

そういえば、一階の掲示板に電気点検の案内とか貼ってなかったっけ?

神代 七織

そういえば、……あったような、無かったような……

四宮 貴之

多分、それだね

神代 七織

うわぁ……、週末で皆早めに帰るからって油断した結果ですよ、これ

四宮 貴之

まんまと引っ掛かったね笑

四宮 貴之

さて、とりあえず……

パッと、小さな光が私の顔を照らす。

どうやら彼がペンライトを私に向けたようだ。

神代 七織

ちょ、眩しいですって

四宮 貴之

あぁ、ごめんごめん笑

四宮 貴之

楽しくて、つい笑

神代 七織

いやいや!楽しいとか言ってる場合じゃないでしょ!

神代 七織

戻っても停電してるから仕事出来ないし……

四宮 貴之

ちゃんと出る前にデータ保存してきた?

神代 七織

上書きはしてきたので、おそらくは、大丈夫だと……

四宮 貴之

じゃあ、まぁ……、一先ずは大丈夫そうだね笑

四宮 貴之

とりあえず、

四宮 貴之

出口だけでも探してみようか

神代 七織

そう、ですね……

四宮 貴之

神代さん、大丈夫?

神代 七織

……あんまり、大丈夫じゃないかも、です

四宮 貴之

暗いとこ、駄目?

神代 七織

……何も見えないのが、怖いんです

昔から、見えている筈なのに、‘’何も見えない‘’事自体が怖かった。

水の中だって、息が出来ない上に、目を瞑っているから何も見えなくて、

夜だって、月が厚い雲で覆われてしまうと光が無いから真っ暗で、何も見えなくなってしまう。

そんな恐怖にまたかられてしまうと思うと、震えが治まらなかった。

四宮 貴之

じゃあ、

神代 七織

っ!!

神代 七織

しっ、四宮さん?

真っ暗な中、震えていた身体を、別の大きな身体が優しく包み込んだ。

「どう、大丈夫そう?」と、彼の声が耳元で聞こえて、頭をポンポンされて、余計にドキドキした。

……こんなにドキドキしたの、初めてかも。

心臓の音、聞こえてないよね……?

今までに感じた事の無いドキドキ感と、彼に抱き締められている安心感で、いつの間にか意識を手放していた。

神代 七織

ん、……

神代 七織

明るい……?

目を覚ますと、会議室に朝日の光が差し込んでいた。

どうやら、朝までぐっすり眠っていたらしい。

そして、

四宮 貴之

んぁ、おはよう

神代 七織

あっ、

……横には、一晩中寄り添い続けてくれていたらしい、彼の姿があった。

……ん?横??

神代 七織

ごっ、ごめんなさいっ!

神代 七織

私ったら、いつの間に寝てたみたいでっ、

神代 七織

お、おまけに、……

神代 七織

……腕枕まで……

四宮 貴之

あぁ、そうだね

四宮 貴之

急に弱音吐くからびっくりしたよ

神代 七織

すみません……

四宮 貴之

でも、いいこと聞いちゃった笑

神代 七織

え?

きょとんとしている私のおでこに、そっとキスをして、意地悪そうに笑いながらぎゅっと抱き寄せられて、

四宮 貴之

「ドキドキしたの初めて」だった?

神代 七織

っ!!?

四宮 貴之

……嬉しかった

神代 七織

え、……

四宮 貴之

こんな形だけど、同じ気持ちだって分かって、

四宮 貴之

まだ心臓バクバクしてるし笑

四宮 貴之

ね?

神代 七織

同じ、気持ちって……

神代 七織

ほ、ほんと、

神代 七織

……ですか?

四宮 貴之

そんなに信じられない?笑

神代 七織

いや、もう、頭の中こんがらがってるし、

神代 七織

色々、恥ずかしいです……

四宮 貴之

ふっ、

四宮 貴之

可愛いなぁ……

神代 七織

かっ、かわっ

四宮 貴之

さ、さっさと仕事切り上げて朝御飯食べに行こうよ

神代 七織

えっ、ちょっと!!

神代 七織

まだ話の途中ですよー!!!

それから、仕事場に戻ってパソコンを立ち上げた結果、

……保存したフォルダは消えていた。

せっかく誘ってくれた朝御飯は、喫茶店のモーニングを希望したものの、

また今度ね、と渡されたのは、

コンビニのメロンパンとカフェオレ。

そして、渡されたときの意地悪な笑顔が脳裏に焼き付いて中々仕事に集中出来なかったのは、

……本人には内緒ってことで。

Fin.

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