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春の風が教室に流れ込んで来た時

何かが始まる気がした

朱 里

……

新学期が始まり、知ってる顔がほとんどいない中

私は窓際に座っていた

しんと静まり返った教室に

風で揺れるカーテンの音だけが響いていた

千 冬

お、後ろの方か

千 冬

ラッキー

千 冬

隣いい?

不意にかけられた声に顔を上げると

金髪の男の人が立っていた

朱 里

え、あ、うん

朱 里

どうぞ

千 冬

サンキュ

彼は少しだけ眠たい目をしていて、

でも鋭さも含んだ目をしていて

思わず息をのんだ

これが、松野千冬との出会い____

最初はただ、隣に座るクラスメイトだった

千 冬

お前この前
休んでたよな??

千 冬

これ見せてやるよ

朱 里

え、ありがとう!!

けど、彼はとても見た目に反してとても気さくで

ノートを見せてくれたり小テストの答え合わせまで

一緒に付き合ってくれた

千 冬

お前ノート
めっちゃ綺麗だな

朱 里

え、そうかな

千 冬

真似しよ

千 冬

写真撮っていい?

朱 里

別にいいけど

朱 里

そんなに??

千 冬

うん

千 冬


こういうの無理だからさ

千 冬

助かるわ

ちょっとだけ照れくさそうに笑う千冬

私は心の奥がくすぐられるような違和感を覚えた

日が経つにつれて、

千冬は私の名前を呼んでくれるようになった

千 冬

朱里今日も
購買行くのかよ

朱 里

うん、パン食べたいから

千 冬

じゃ、俺も行こ

朱 里

え、なんで

千 冬

いいだろ別に

千 冬

あ、お前ってアレだろ?

千 冬

いつもクリームパン
選ぶよな

朱 里

…え、見てたの

千 冬

いや、見てたって言うか

千 冬

なんか、覚えちまった

朱 里

…なにそれ、笑

そんなふうに、さりげなく距離を縮めてくる彼に

私はだんだん目が離せなくなった

この時は、来月ある体育祭の種目決めをしていた

最初に
リレー選手決めます

やりたい人ー

あ、誰もいないなら

陸上部の朱里ちゃんが
いいと思いまーす

朱 里

…っえ??

私は突然の出来事に、思わず声が出た

じゃあお願い出来ますか?

朱 里

…えっと、

朱 里

分かりました、

断る雰囲気が壊され、流れで言ってしまった

放課後、学校近くの公園で走る練習をしていた

走るのはあまり得意ではない

朱 里

…陸部って言っても、

朱 里

私足遅い方だし、

でも、引き受けた私が悪い

そう思いながら何度も走り続けた

朱 里

…疲れた、

上手く走れずうずくまっていると

誰かがそっと、私の隣に座った

千 冬

…無理すんな

千 冬

足痛めるぞ

朱 里

…え、千冬、??

千 冬

…ダッシュ、
フォーム崩れてる

千 冬

手もっと出した方がいい

朱 里

…見てたの?

千 冬

…見てた

千 冬

心配だったから

彼はいつもと少し違う、優しい声で私に言った

その時、心の奥がじんわり熱くなるのを感じた

朱 里

…うん、ありがと

千 冬

頑張れ

千 冬

応援してる

彼からの応援は、私の中で大きく響いた

春が夏に変わる頃

いよいよ体育祭当日になった

でもやっぱり、走るのは得意ではない

「頑張れ」ってクラスの子に期待されて

プレッシャーで押しつぶされそうになっていた

朱 里

……

スタート地点で深呼吸をしていると

千冬が後ろからこっそり声を掛けてきた

千 冬

お前なら行ける

千 冬

どんだけ練習したと
思ってんだよ

朱 里

うん…!!

その一言だけで足が軽くなった気がした

バトンを受け取って走ってる途中

ゴールの向こうに千冬の姿が見えた

誰よりも応援してくれている姿が目に焼き付いた

朱 里

…2位か、

千 冬

朱里おつかれ

千 冬

かっこよかったぞ

朱 里

…ありがと笑

結果は2位。でも私の中でなにかが残ったままだった

ある日の放課後

校舎の裏で、千冬が女の子に告白されているのを

見てしまった

千 冬

…えっと、

彼は少し困った顔をしていて

何かを言いかけていた

けれど私はその場を離れた

これ以上聞きたくなかったから

朱 里

……

『 どうせ私なんかじゃない 』

そんな思いが、私の頭の中に過った

それから数日

私は上手く千冬に笑えなかった

目も合わせられなかった

松野くん、告白の返事

保留にしてるんだって

え、そうなの?

朱 里

……

この事を聞いて

私は、千冬から離れようと思った

心が満たさない時の帰り道

私はとても虚しかった

その時、誰かが後ろから声をかけた

千 冬

っ朱里!!

朱 里

…千冬、?

彼は走ったのか、息が切れていた

千 冬

お前最近素っ気ねぇよ

千 冬

俺なんかした?

朱 里

別に、してないよ

千 冬

…じゃあなんで
目逸らすんだよ

朱 里

…逸らしてないってば

千 冬

嘘つくなよ

千 冬

お前分かりかやすいから

千冬は、少し寂しげな声で言った

朱 里

…告白の返事、
保留なんだってね

千 冬

…は、??

朱 里

その子のこと、好きなの?

そう聞くと、千冬は呆然としていた

千 冬

お前なんか誤解してるぞ

千 冬

俺はアイツ
好きなんかじゃねぇよ

千 冬

返事はとっくに断ってる

一瞬、時間が止まった気がした

朱 里

…え、

千 冬

俺、
他に好きな奴いるから

千冬はその後少し間が空いて、静かに言った

千 冬

俺は、朱里が好きだから

千 冬

あの返事は断った

千冬は少し顔を赤くしていた

その言葉は私に真っ直ぐ届いた

朱 里

…ほんとに、?

千 冬

こんな所で嘘つく訳
ねぇだろ

朱 里

…ッ笑

私は抑えていた気持ちが溢れ

小さく笑ってしまった

千 冬

…なんだよ、

朱 里

…私も、千冬が好きだよ

千 冬

…は、

千冬は少し驚いた顔をした後

笑みを浮かべた

千 冬

そっか

千冬はそういい、私を優しく抱きしめた

あの春の風が

私達の恋を始めてくれたのかもしれない___

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