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長い夢を見ていた気がする。
私は海月で、
あなたは人間。
優
「失恋したんだ。」
水槽に響く低い音。
「僕が勝手にもう無理だと 思っただけだけどな。」
「見たんだ。全てを諦めたような、 僕になんか興味無いみたいな、」
「心臓を刺されたみたいだった。」
当時の私はこの話を理解出来なかった。
心臓も感情も言葉も 無い世界だったから。
「彼女は遠くにいたんだけど 焦って言ったんだ、
「キモいって」
「最悪だろ?」
最悪なやつだった。
「実際、嫌な人はいたんだ。 でも彼女の名前を使って嘘言った。」
「周りに嫌われたくなかった。」
「こんな嫌な僕、変えられるなら もう変わってる。」
けど、彼の言う通り 人間は変われないものなのだろうか。
「とにかく、全部最悪なんだ。」
「もう生きてられない。」
プラスチックの袋に入った 金平糖を取り出す。
桃色のそれを水槽に近付けて 彼は言う。
「これを食べれば消えるらしいんだ。」
「こんな僕、」
途中で 金平糖を口に放り投げた。
途端、彼は全てを諦めたような 顔をしてその場から消えた。
優
そして私はまた、 長い夢を見るのだった。