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今夜二人お茶会を

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今夜二人お茶会を

1 - 今夜二人お茶会を

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2020年01月06日

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達也

なあ、開かずの教室の噂、知ってるか?

幼なじみの達也が、私に話しかけてきた。彼とは赤ちゃんの頃からずっと一緒にいるのだ。

まゆ

え?なに、それ?

まゆ

知らないけど。

まゆがそう返すと、達也はにししと笑って続けた。

達也

幽霊が出るんだってさ。

まゆ

えっ、幽霊!?

達也

そう、幽霊。

達也

でも、いいやつらしいよ?

達也

害は加えてこないし、しかも、相談に乗ってくれるんだって。

まゆ

か、かなりお人好しな幽霊なのね…。

まゆ

他には何かないの?

達也

うーん、それが、情報少なくて…。

達也

でも、その幽霊、めちゃくちゃ綺麗らしいぜ?

まゆ

どれだけ綺麗でも、幽霊になんか会いたくないわ。

開かずの教室と呼ばれているその教室は、使われることもなく、いつもは鍵がかかっている。けれど、一階なので。

達也

もちろん昼にはいない。気になるなら、夜、窓から入ってみれば?

まゆ

そっか、一回だから窓から入れるんだ。

キーンコーンカーンコーン

達也

やばっ。予鈴だ。俺、もう行くな?

まゆ

ええ、わざわざ私の教室まできてくれてありがとう。

その日の夜。まゆは夕ご飯を食べ終えて、一階にある自室に戻った。

まゆ

(達也の話、ほんとかな?)

まゆは普段ニコニコしていながらも、誰にも言えない悩みを抱えていたのだ。

まゆ

(ちょっと不安だけど…。)

まゆは恐る恐る窓から抜け出し、学校へと向かった。

まゆ

(すっごい不安なんだけど…。)

人に言えない悩みのため、誰かを誘うこともできず、一人で家を出た。

学校はもう目の前だ。

まゆ

(幽霊に自分から会いに行くとか、私、なにしてるんだろ?)

校門を登って中に入り、ゆっくりと歩き出す。開かずの教室に着くまで、それほど時間はかからなかった。

窓はボロボロで、簡単に開けることができた。窓から覗くかぎり、中に人影はない。

まゆ

(やっぱり、ただの噂だったのかな?)

まゆ

…えっ、なに!?

後ろから気配がして、振り返る。風邪がひゅううとほおを撫でた。

開かずの教室の少女

誰?

まゆ

え、あ…。

恐怖のあまり、声が出ない。

開かずの教室の少女

…落ち着いて?大丈夫、なにもしないわ。

まゆ

そ、

そう言われても、怖いものは怖いのだ。

開かずの教室の少女

…大丈夫よ?

開かずの教室の少女

それで、悩み事はなにかしら?

まゆ

え、あ、はっ、はい。

まゆは悩み事を話し始めた。

まゆ

私、いじめられているんです。

開かずの教室の少女

クラスの子?

まゆ

いいえ。隣のクラスの子なんですけど、去年同じクラスでした。

まゆ

その時に何故か目をつけられて、それ以来ずっと…。

開かずの教室の少女

そう。それは辛かったわね。

開かずの教室の少女

相手の名前を教えてくれる?

まゆ

明美…松下明美です。

開かずの教室の少女

そう。わかったわ。あとは任せなさい。

開かずの教室の少女

今日はもう帰って寝るといいわ。

開かずの教室の少女

大丈夫よ、あなたにはなにも困ること、しないから。

まゆ

はっはい。

まゆは窓から学校を後にしたあと、逃げるように家に帰った。

まゆ

(はあ、怖かった。)

優しい人とは言え、幽霊だ。けれど、誰かに悩みを話したことで少しスッキリした気がする。

まゆ

(よし、明日からまたがんばろ。)

まゆ

きゃっ。

まゆ

(ん?達也からだ。)

まゆ

んもう、びっくりさせないでよ!

達也

よお!幽霊の話、新しい情報がいっぱい入ったぜ。

まゆ

どんな話?

達也

幽霊の名前、カナデっていうらしくて、俺らの先輩らしい。

まゆ

なんで死んじゃったの?

達也

それが、いじめられて死んだらしい。

達也

だから、いろんな人の悩みを聞いて解決してやろうとしてるんだとよ。

達也

優しいやつだったんだろうな、結局。

まゆ

(そっか。じゃあ、私の悩みも解決してくれるのかな?)

まゆ

ふーん。面白いね。

まゆ

教えてくれてありがとう。

達也

おう。おやすみ。

まゆ

おやすみなさい。

翌日。

達也

おはよっ。なあ、聞いてくれよ。

まゆ

おはよう。なに?

達也が眉の耳元に顔を近づけ、小声で話す。

達也

松下、怪我して入院してるってよ。

まゆ

え?ほんと?

達也

嘘言わねえよ。

まゆ

そりゃそうだ。

まゆをいじめていた、松下明美は何故か自分で腹を刺し、入院しているらしい。

まゆ

ストレス、溜まったたのかな…。

達也

まゆは優しいな。自分をいじめたことのやつまで心配してやって。

まゆ

だって、自分はそんなことになりたくないもの。

まゆ

どんな人にでも同情できるのが私の特技なの。

まゆ

(なんで急に自分を刺したりしたんだろ?松下さん…。)

まゆ

(もしかして、わたしがカナデさんに話したから?)

まゆ

(だとしたら、酷いことしちゃったなあ…。)

開かずの教室の少女

ねえ。

まゆ

きゃっ。

急に後ろから声がして振り返ると、そこにはカナダの姿があった。

まゆ

あ、カナデさん…。

まゆ

(怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!)

開かずの教室の少女

ああ、ごめんね、脅かして。

開かずの教室の少女

…結果、どうだった?これで満足?

まゆ

…ちょっと嬉しい自分がいたわ。

まゆ

でも、やっぱり後悔してる。

開かずの教室の少女

そう。

開かずの教室の少女

あなたが後悔することはないわ。

開かずの教室の少女

わたしのやり方が、きっと間違っていたのよ。

開かずの教室の少女

でも、嬉しかったなら契約は執行させてもらうわ。

まゆ

け、契約…?

開かずの教室の少女

あら、知らないの?

開かずの教室の少女

わたしにあったものは何処かに連れて行かれる。

開かずの教室の少女

そんな噂、知らない?

まゆ

しっ、知らない!聞いてないわ!

開かずの教室の少女

それでもこの運命は変わらないのよ。

開かずの教室の少女

さあ、一緒にいきましょう…。

まゆ

(ここは…開かずの教室?)

気がつくと、まゆはあかずの教室に横たわっていた。

開かずの教室の少女

あら?起きたの?

まゆ

い、いやあっ。た、助けっ

開かずの教室の少女

さ、お茶会しましょ?

まゆ

…え?

開かずの教室の少女

え?

まゆ

え?えええええ?

開かずの教室の少女

え、なに?

まゆ

(殺されるのかと思ったら、お茶会!?)

開かずの教室の少女

な、なによお。ちゃんとしたお茶よ?毒も入ったないわよ。

まゆ

う、うん。わかった。お茶会しよっ。

開かずの教室の少女

やったあ!

達也

不在着信

不在着信

達也

この間の話の続きな。

達也

悩みの解決してくれたあと、お友達になってほしいって言われるんだって。

達也

教室でお茶会が開かれて、そこで言われるらしい。

達也

そこでうなずいちゃダメだぜ?

達也

と言っても、時々お茶会に連行される程度らしいけど。

まゆ

達也。

まゆ

教室でお茶会してるの。こない?

達也

…この流れで?

達也

まさか、本当に幽

まゆ

応答なし

応答なし

まゆ

達也?

まゆ

急にカナデちゃんがいなくなったんだけど、そっちに行ったの?

達也

まゆちゃん。

まゆ

ん?カナデちゃん?

まゆ

そこにいるの?

開かずの教室の少女

まゆちゃんは、わたしのお友達なんだからね?

開かずの教室の少女

わたしだけの、お友達なんだからね?

達也

た、助けっ

開かずの教室の少女

ごめんね、なんでもない。

開かずの教室の少女

さあ、お茶会を続けましょう?

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