鮭おにぎり
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zm視点 まだ帰ってこない。 無音の玄関に、自分の呼吸音だけが響く。 時計の針は午後18時37分21秒。2人で決めたルールでの門限は18時。 赤い糸は少しちぎれてる。絆創膏あったっけ。 小指から心臓にかける道は、赤い糸だらけ。でも、完全なものは1つも無い。途切れてたり、治ってたり。いつからこうなったんだっけ。 目を閉じて思い出に浸る。沈んでいく様は滑稽で、もう地面が見え始めている。 ガチャ。 鍵のかかっていないドアがあく。 「あ…な、なんで、おおくれたん……」 お帰りの前に、そんな言葉が口に出てくる自分が大嫌いだ。 心臓と声が揺れている。これは心配と苛立ちの表れ。 「ごめん、仕事が長引いた」 俺の気も知らないで。そんな上っ面だけの言葉なんて聞き飽きた。 好きなのに、好きなはずなのに。これが本当の愛なのかは分からない。どこが好きか、どうして好きなのかも答えられる。でも、なんか違う。こんなどうでもいいような関係ならもうやめてしまった方が楽なんじゃないかって思って首輪付けて躾てもいいなってでもそんな事しなくても俺たちは繋がってるし息が詰まって視界がくすんで顔なんて見れやしないどんな表情なの?俺の事嫌いなの?好きなんでしょ、好きって言って! 気がついたら玄関に立っているのは1人だけ。俺は膝から崩れ落ちて泣き崩れて。ぐしゃぐしゃの醜い顔に、彼を愛すことでしか存在意義を見いだせない脳がパニックになっている。 「ごめんなぁ、心配させたよな?」 なんて優しい言葉にまた溺れて、俺は馬鹿だからすぐに騙される。すぐに許してしまう。愛しているから。 「ごめん」 さらっと出てきたその言葉は本心なのだろうか。分からない。分からなくても別にいい。 自己中心的な傷跡はこれからも増えたり染みたり抉ったりで痛いと思う。でも2人で一緒なら痛くない。むしろ気分が良くなる。 こんなの愛以外の何物でもないよね? 2人で仲直りのハグをして部屋に戻る。 もう一度謝られて。ちゅ、なんてリップ音が頬に落ちる。少し驚きつつ、胸が鳴るのを抑えられない。脳から幸福物質が溢れ出ているのを感じる。 「愛してる」 耳から聞こえるその言葉は、鼓膜を揺らした。血流が良くなる。目が潤う。体温が上がる。俺にとって最高の健康法。 「お、俺も愛してる!好き、本当に好き、愛してる、大好き、も、もっと俺の事も愛してね?」もっと愛して欲しい。愛されたりない。欲張りな俺が満足することは無いのだろう。穴の空いた容器に水はたまらない。これからも、2人でずっと一緒に。
鮭おにぎり
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コメント
10件
あーだいすき_(┐「ε:)_~( ε:)0
小説具現化したくてうずうずしてます︎︎👍︎︎👍 zmさんになら束縛されてもいいよな(小並感)
イラストも小説も最高すぎません?