サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
これが俺の仕事だ。
そこそこ大きな公園の西側の入り口に設けられている階段で、昔人が死んだ。
だからこの階段を利用する人はいない。 利用するのは毎月花束を添える俺くらいだ。
しかし今日は先客がいた。
小学生くらいの少年が階段に腰掛けていた。
サカモト
努めて優しい声を出したが、少年の肩は震えた。
サカモト
サカモト
サカモト
俺は花束を添えると、少年を盗み見た。
所々ほつれた くたびれた服。10月も後半なのに半ズボン。 日が沈んだこの時間帯には いささか寒いのではないか。
現に少年は背中を丸めて震えているように見えた。 ___俺は乱暴に頭を掻いた。
震えている少年の横を通りすぎて、階段を上って、近くの自販機で紅茶を2本買った。
また階段を下りて、大きくため息を吐いた。
サカモト
サカモト
少年は驚いた顔で俺を見上げた。
端正な顔立ちだ、と思った。 美少年好きの社員は喜ぶだろう。
俺が紅茶を差し出した姿勢のままでいると、少年は おずおずと受け取った。 白くて細い手だった。
少年が鼻をすすったのは寒さのせいだと解釈した。涙を拭ったのは見なかったことにした。
サカモト
大事そうに紅茶を飲む少年にそう尋ねた。 うすうす見当はついてるけど。
少年は紅茶に視線を注いだまま、ポツリポツリと語った。
俺は眩しい物を見るように目を細めた。
半ズボンから伸びる少年の足に、いくつもの痣や火傷の跡があることに、だいぶ前から気づいていた。
サカモト
サカモト
ターゲットは決まった。
サカモト
ヒカル
ヒカル
サカモト
サカモト
サカモト
ヒカル
ヒカル
クロ
サカモト
クロ
ヒカル
クロ
ヒカル
クロ
ヒカル
サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
ヒカル
ヒカル
ヒカル
サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
ヒカル
ヒカル
サカモト
サカモト
父親の目が零れんばかりに見開かれ、呼吸が早くなる。
猿ぐつわを噛ませているので声を出すことは出来ない。 ただ青い顔で首を横に振るだけだ。
その時、事務所のドアが控えめに開けられた。皆が一斉にそちらを見る。
サカモト
聖くんは何も言わず、俺と拘束されている父親に視線を行ったり来たりさせていた。
クロ
ヒカル
聖くんの視線が俺に固定されたのを確認して、俺は精一杯の優しい笑顔を向けた。
サカモト
サカモト
サカモト
聖くんの視線が、ゆっくりと俺から父親に移った。
サカモト
サカモト
サカモト
クロ
サカモト
拘束されたまま必死で首を横に振る父親の姿を無言で眺めていた聖くんは、
小さく、だけどしっかりと 首を横に振った。
聖
聖
聖
息を吸い込んだ音が父親からした。 ヒカルが肩をすくめて、クロさんが目頭を押さえた。
聖
聖
聖くんは はっきりとそう言った。 俺は1つ息を吐くと語りかけた。
サカモト
サカモト
サカモト
サカモト
父親の目から水滴が零れた。 ゴミでも入ったのだろうか。
サカモト
サカモト
解放してやると、父親はまっすぐ聖くんの元に向かった。
死んだ妻と重ねたのだろうか、父親は聖くんを強く抱きしめると声をあげて泣いた。
万が一を想定してクロさんをスタンバイさせたけど、問題は無さそうだ。
ヒカル
サカモト
ヒカル
クロ
サカモト
ヒカル
サカモト
サカモト
サカモト
そこそこ大きな公園の西側の、誰も利用しない階段が見えて来た。
寒さに震えていた聖くんは、もういない。この階段を利用するのは、毎月花束を添える俺くらいだ。
昔 男がいた。
男は早くに妻を亡くし、男手1つで娘を育てた。
娘が高校生になったある日。部活で帰りが遅くなった娘は そこそこ大きな公園を通った時
何者かに性的暴行を受けた。
明るかった娘は塞ぎ込み、自殺した。 男は娘を襲った犯人を執念で探しあて
西側の階段で 揉み合いになり、犯人が足を滑らせて____
犯人は 会社をリストラされ妻と子供に捨てられた可哀想なサラリーマンだった。
今でも思う。 もしかしたら俺は犯人を救うことも出来たんじゃないか
更生させることが出来たんじゃないか もしかしたら死なずにすんだんじゃないか
だから俺は人目を忍んだ場所で、人々を「更生」させている。
1人の男を「殺した」俺の、大きな声で言えない裏の仕事。
これが俺の仕事だ。
コメント
10件
もう、これだから非リアさんのお話大好きなんです🥺🥺🥺 キャラクターの一人一人が魅力的で、際立っていて…!!!!!!!
深い
素敵なお話でした(●︎´▽︎`●︎)