波紅〇〇
離して、!
抱き締められたと気付いて、 手足をジタバタと暴れさせる。
けれど太宰さんは意地でも離さないと云わんばかりに 抱き締める力を強める。
太宰さんが私の肩に顔を埋めたのをキッカケに 私は暴れるのをやめた。
波紅〇〇
お願いだから……
太宰治
先刻云わせて貰えなかった事、
太宰治
今度こそ云わせてもらうよ
あぁ、此の人、諦めてくれない。
太宰さんは一度顔を離して、私の肩に両手を置くと 真っ直ぐ私を見て話す。
太宰治
君の事が好きなんだ
太宰治
君しか要らない
太宰治
だから、今迄の男の事なんて忘れてよ
波紅〇〇
そんな事…
太宰治
お願いだよ
顔を歪めた太宰さんの声は震えていた。
目が潤んでいて、弱々しい。
太宰治
君がバーで彼等の話をする度、胸が苦しかった
太宰治
君の心には彼等しか居なくて、君の瞳に私は写ってなくて
太宰治
其れが厭で厭で…
太宰治
お願い、私を好きになって
太宰治
私だけのものになって
太宰治
私も、君しか要らないから…
波紅〇〇
……でも私が好きになったら、
好きになっちゃったら、
波紅〇〇
太宰さんが死んじゃうよ…
波紅〇〇
もう私は誰かを愛しちゃいけないの
波紅〇〇
太宰さんだけは死んで欲しくないの…
太宰治
愛しき人に殺されるなら願ったりだよ
太宰治
君は私の事、嫌い?
波紅〇〇
嫌いな訳…!
太宰治
じゃあ好きって云って
太宰治
其れで私が死んだら、君も一緒に死んでよ
波紅〇〇
…!
あぁ駄目だ。また私は───
波紅〇〇
好き
波紅〇〇
好きです、太宰さんが好きです…
太宰治
やっと云ってくれた
太宰治
私も好きだよ、誰よりも
嬉しさと悲しさと、色々な感情が混ざって 引いていた涙がまた溢れて。
其れを気にせず太宰さんは私をもう一度 自身の胸に仕舞った。
今度は私も応える様に背中に腕を回した。
太宰さんの心音が鼓膜に響いて、 「あぁ、未だ生きてる」って。
波紅〇〇
( 次は、次こそは、 )
波紅〇〇
( ずっと一緒に居られますように )






