一覧ページ

お盆とラムネ

第1話 - お盆とラムネ

2020年07月05日

#夏

#青春

いわしのたたき

懐かしいね。

？

何さ、いきなり。

…何でもない。

？

…。

？

あのさ、

？

いつまで此処に居れるんだっけ。

うーん…、お盆の終わり頃までかな。

？

そうか…。

？

今年もお盆の終わり頃までか。

うん、去年と変わらずね。

？

…。かき氷、食べる？

いや、やめとくよ。頭が痛くなるのは苦手だからね。

ていうか、ラムネ買ってくるの忘れただろ。

？

ごめんって。

？

それに…、ほら、かき氷も悪くないぞ。

まあ…、そうだね。食べてみるのも良いかもしれない。

？

だろ？ほら。

…ん。ありがと。

？

……。

なんか、やっぱり懐かしいね。

？

…さっきの懐かしいって、かき氷の事？

まあ、それも含めて、かな。

？

懐かしい物とかって、他に何があるの？

…笑わないって約束してくれる？

？

？、うん。

君とこうやって話している事。

？

…。

なんか反応してよ…。恥ずかしいじゃん。

？

…また来年も来てくれるよな？

もちろんだよ。

…そろそろ時間だ。

？

そうか…。

…また来年。

？

また来年。

？

来年こそは、お前の好きなラムネも買ってくるよ。

ありがと。

？

だから、来年も絶対に来いよ。

うん。絶対に来るね。

それじゃ…。

ばいばい…皐月くん。

？

…。

7年前

皐月

純…、起きてるか？

純

…うん。

皐月

ほら、ラムネ。買ってきたぞ。

純

ありがと。

純

…ごめん、開けてくれるかな。

皐月

謝らなくていいよ。

皐月

その為に俺が居るんだからな。

純

…そうだね。

純

皐月くん、本当にありがとう。

純

こんな衰弱しきった僕に付き合ってくれて。

皐月

当たり前だろ。親友なんだから…。

皐月

俺だってお前と話したいから来てるんだし。

純

…。

皐月

早く元気になれよ。

皐月

こんな病院じゃなくて、前みたいに海を見ながら話したいんだ。

純

そうだね…。

皐月

治ったらまたラムネでも奢ってやるよ。

純

ありがとう…。楽しみにしてるよ。

皐月

…そろそろ時間だ。

皐月

じゃあ…。

純

うん…。

純

ばいばい、皐月くん。

翌日

通話
00:00

皐月

…もしもし。

皐月くん…かしら？

皐月

純のお母さん…。どうしたんですか？

よかった、皐月くんだったのね。

あのね、今から言う事を落ち着いて聞いてほしいの。

皐月

…はい。

あのね…、うちの純がね…、

今朝…、死んだのよ…。

皐月

…え、

…純はね、最期まで、

「皐月くんと海を見るんだ。」って言っていたのよ…。

皐月くん、ありがとうね…。

純の親友でいてくれて…。

皐月

…………。

皐月

…。

皐月

……。

………くん

皐月

…？

さ…きく…ん…！

皐月

純…？

皐月くん！

皐月

っ?!

皐月くん、僕だよ！覚えてる…？

皐月

純…なのか？

そうだよ、久しぶり。

皐月

………なんで。

？

皐月

…なんで死んだんだよ。

…ごめん、僕、頑張れなかった。

皐月

………。

…泣くなよ。皐月くんらしくないよ…。

それに、ほら、こうやってまた話せているし…。

皐月

…今じゃ遅すぎだろ…。

皐月

こうやって話せていても、

皐月

お前は死んでしまった…。

……………。

…皐月くん、僕ね、お盆の間は君と一緒に居れるんだ。

皐月

……。

だからさ…、また前みたいにラムネでも飲もうよ。

皐月

…そうだ、

皐月

お前が入院してる間、約束した事、覚えてるか？

ふふ、忘れるわけないよ。

ラムネ、ちゃんと奢ってよね！

この作品はいかがでしたか？

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

いわしのたたき

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

お盆とラムネ

第1話 - お盆とラムネ

作者の他の作品すべて見る

#夏の新着小説
一覧

関連するタグ

お盆とラムネ

第1話 - お盆とラムネ

作者の他の作品すべて見る

#夏の新着小説一覧

関連するタグ

#夏の新着小説
一覧