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隊長

お化け探検隊!

隊長

番号、はじめ!

隊長

クールくん

みじんこ

後輩くん

隊長

よし、全員いるな

隊長

それでは!今日の調査を発表する

これは私みじんこが小学生3年の時の話

いろいろあって当時私は

治療の為に長期入院をしていた

当時からオカルトやその手の話が 大好きだった私は

幽霊や妖怪、七不思議など

本を読み漁ったり話を聞いたり

なかなか変わったの小学生だったと思う

私だけではなく

同じ病棟に入院している同級生達も

オカルトが大好きだった

当時は口裂け女とかテケテケとかが 流行っていたかな

入院生活も暇を持て余していたので

そんなオカルト好き達を集めて

私たちは「お化け探検隊」を作り

学校や病院の怖い噂がある場所を

「調査」という名の、ただ好奇心で見に行くだけの遊びをしていた

少し出来すぎた話のようにも 思われそうだが

これは、そんな「お化け探検隊」が

たった1度だけ「遭遇してしまった」

本当にあった怖い話

隊長

オレ達がいつも朝に顔を洗ったり
する洗面所にさ

隊長

合わせ鏡あるだろ?

隊長

あそこさ

隊長

「出る」らしいんだよ

にやにやしながら囁く隊長

みじんことは同級生

普段からかなりの目立ちたがり屋で

自分が中心に居ないと落ち着かない

やりたい事を提案するの はいつも隊長だった

こんな典型的なガキ大将みたいのが 本当にいるんだなぁ

クールくん

へー

クールくん

どーせまた噂だろ?

1つ年下だけどいつも落ち着いていて どこかませた雰囲気のクールくん

「お化け探検隊」自体そこまで興味は ないけれど

親友の隊長がやるんなら…と

渋々参加してくれている

後輩くん

どんなのどんなの?

さらに1つ年下の後輩くん

隊長やクールくんとよく 3人でつるんでいる

小さくて可愛かった…

とにかく可愛かった…

「可愛いね」と言うと「やめろ!」と よく怒られていた

さて、 紹介はこの辺にしよう

みじんこ

誰から聞いたの?

隊長

誰から?うーん

隊長

それは風の噂なんだけど

クールくん

うさんくさ

隊長

深夜0時にその合わせ鏡を見にいくと

隊長

前から数えて3番目に
幽霊が見えるらしい

後輩くん

どんな幽霊?

隊長

それは知んない

クールくん

なんだよ

隊長の持ってくる噂はどれも ふわっとしたものばかりで

きっと図書室にある本でも読んで 作った話かな?というものばかり

でも

みんなそれをわかった上で

4人で調査するスリルを楽しんでいた

みじんこ

んーでも今度は12時かぁ

後輩くん

バレたらやばいよね

クールくん

看護師さんたちの見回りが
11時と3時だから

クールくん

こっそりいけば多分大丈夫

こういう時に計画を練るのはクールくん

なんだかんだ言って楽しんでいる

隊長

よし

隊長

それじゃ、夜11時50分頃に
洗面所に集合な!

後輩くん

了解しました隊長!

クールくん

寝たらごめん

隊長

大丈夫オレが叩き起す

クールくん

えー

そしてその日の夜11時半頃

みじんこ

だめだ

みじんこ

ドキドキして眠れなかった…

看護師さんの見回りを

頭から布団をかぶり 寝たフリで切り抜けると

車いすに乗り準備をした

男子部屋と女子部屋は 洗面所を挟んで反対側にあり

私が洗面所に向かうには

ナースステーションを通らなければ ならなかった

少し早めに部屋を出る

廊下の電気はひとつおきに消えており

薄暗く、静かだった

「お化けを調査する」

その緊張のせいか いつもより挙動不審になり

窓から見える真っ黒な空でさえ

私の恐怖をかきたてるのには十分だった

曲がり角の陰から ナースステーションの中を確認する

この時間帯でも明るいナースステーションが恐怖を少し和らげてくれた

みじんこ

うん、いない

深夜勤務の看護師さんは2人

多分この時間帯だと

片方は休憩時間の為別室にいるはず

みじんこ

あれ

みじんこ

もう1人は…?

まだ見回り途中なのだろうか

みじんこ

出るの早すぎたかな

ナースステーションの向こう側 30メートルくらい先

男子部屋を何気なく見ると

隊長の手が

「こっちこっち!」と手招きをしている

手だけなので 多分見えてないだろうけど

男子部屋に向かって右手で 「OK!」と合図する

みじんこ

よし

彼らのところへ向かおうとした

その時

看護師さん

何してるの?

みじんこ

ヒッ

思わず声を漏らす

心臓が飛び出るかと思った

看護師さん

なに〜?
そんなビックリしちゃって

「怪しいなぁ」とでも言うように 私を見つめる

みじんこ

みじんこ

トイレです

みじんこ

寝る前に水いっぱい飲んじゃって

頭をフル回転させ懇親の言い訳をする

看護師さん

もー

看護師さん

いつも飲みすぎちゃダメって
言ってるじゃないの

みじんこ

すみません…

看護師さん

終わったらさっさと寝なよ?

みじんこ

わかりました

看護師さんがナースステーションに 入っていき

見えなくなったのを確認すると

全速力で隊長たちの部屋に入る

本当は自分以外の人の部屋に 入るのも禁止なんだけど。

隊長

あっぶねぇな

クールくん

バレなかったね

みじんこ

大丈夫、大丈夫

みじんこ

ドキドキしたけど

後輩くん

見てるのもドキドキした

もう既にひと仕事終えたような雰囲気だが

隊長

さて

隊長

作戦はこうだ!

私たちは円陣を組む形で集まり

隊長が囁く

隊長

50分になったら部屋を出て

隊長

洗面所に行って

隊長

5分待つ

クールくん

5分でいいの?

隊長

だって怖いじゃん

実は私以上にビビリの隊長

隊長

そんで

隊長

何も無かったらまた
この部屋に集合!

隊長

で、何事も無かったかのように
解散する!

後輩くん

了解!

4人のテンションが上がってきた

このドキドキとスリルがあるから

「お化け探検隊」をやめられない

11時50分

隊長

時間だ

クールくん

看護師さんは歩いてないからナースステーションにいると思う

後輩くん

今がチャンスだ!

私たちは音を立てないよう 慎重に部屋を出た

男子部屋から洗面所までは 10メートル弱

子供用トイレの向かい側

6人くらいが一度に使える大きな洗面所

ナースステーション側と 男子部屋側に3つずつ洗面台があり

縦1メートル、横3メートル程の

大きな合わせ鏡があった

ただ、洗面所から ナースステーションまでも約10メートル

大きな音を立てれば直ぐにバレるので

怪しまれたら終わりだ

隊長

よし、なんとかバレずに着いたな

後輩くん

電気なくて暗い…

洗面所は夜は誰も使わないため 電気が全て消えている

この洗面所を使うのはいつも朝方のため

大きなベランダから差し込む朝日のお陰で

普段はかなり明るい場所なのだが

夜に来てみるとこんなに暗いなんて

そのギャップにすでに寒気を感じる

男子トイレと女子トイレの間の壁に かけられた時計を見る

非常口マークの緑色の光に 照らされた時計は

すごく、すごく不気味で

みじんこ

はやく12時にならないかな

12時までのたった10分が恐ろしく長い

後輩くん

怖い…………

後輩くんが怯えだした

隊長

静かにしろ

隊長

鏡はオレが確認するから

隊長

みんなは周りを
見張っていて欲しい

クールくん

わかった

みじんこ

(へぇ、意外と度胸あるね)

すこし見直していると

カチッ

静かな廊下に時計の針の音が響く

隊長

時間だ

隊長がナースステーション側の鏡を 見つめだす

非常口マークの緑色の光を頼りに

隊長は前の目にりなり鏡に目をこらす

残りの3人は そんな隊長に背を向けた状態で

周りの監視をしていた

心臓が口から飛び出そうなくらい ドキドキしているのがわかる

クールくん

なんかある?

隊長

んーん

なにも変化はないようだ

あたりまえに隊長の姿が いくつもいくつも映し出される

後輩くん

やっぱ噂かー

後輩くんが安心したようにつぶやく

まぁいつもこういうオチだから

安心してスリルを 楽しめているのだろうけれど

時計はもうすぐ 12時5分になろうとしていた

みじんこ

ねぇ隊長そろそろ

そろそろ流石に眠くなってきたため

いつものように

「なーんもなかったね、 めでたし、めでたし」

で、帰ろうと隊長に声をかけようとした

その瞬間

ぎゃあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!

みじんこ

いやーーーーっ!

クールくん

ぎゃーーーーーっ!!

後輩くん

うわあぁぁー!!

隊長の悲鳴に弾かれるように

驚いた私たち3人も 悲鳴をあげその場から逃げる

隊長に何があったのだろう

何が見えてしまったのだろう

後ろなんか振り返れない

逃げることに夢中で

最初の作戦なんか無視して

全員自分の部屋へ散り散りになる

ごめん隊長

置き去りになってないといいけれど

看護師さん

なにやってんの!!

怒った看護師さんの声が追いかけてくる

私はパニック状態で 看護師さんに縋り付いた

みじんこ

〜〜!!

気づいたらボロボロに泣いていた

どうしようどうしよう

なにか出たんだ

噂のお化けだったらどうしよう

呪われて殺されたらどうしよう

そんな感情が私を支配していた

私の様子をみてただ事じゃないと思った 看護師さんは

看護師さん

とりあえず今日は部屋に
戻って寝てください!

看護師さん

詳しい話は明日聞くから

みじんこ

ごめん……なさい…

少し落ち着いてから

部屋に戻り布団を頭からかぶる

看護師さん

じゃあねおやすみ

看護師さんが部屋を出ると

またさっきの悲鳴が何度も脳内再生される

隊長は無事だろうか

クールくんと後輩くんは 部屋に戻れただろうか

もし本当にお化けが出てきたとしたら?

私たちの顔を覚えてない追いかけてきたりなんてしないだろうか

同じ部屋の友達の寝返りの音

見回りの看護師さんの足音

耳に入ってくる僅かな音の全てが怖くて

布団の中で汗だくになりながら

結局

一睡もできなかった

翌日

私とクールくん、後輩くんの3人は 職員室に呼び出しをくらい

看護師さんたちにたっぷり叱られた

でも正直、叱られた内容なんて 覚えてなくて

みじんこ

隊長は

みじんこ

無事ですか?

今は隊長を置き去りにして逃げてしまった 罪悪感の方が勝っていた

看護師さんがため息をつく

看護師さん

隊長くんは

看護師さん

今日の朝に高熱を出して

看護師さん

今は別の部屋に隔離しています

クールくん

え、高熱…

後輩くん

あの、隊長なにか言ってませんでしたか?

看護師さん

昨日のこと?

看護師さん

なんかね、昨日はずっと

看護師さん

「鏡の中のオレが睨んでくる」

看護師さん

とか言ってたけど

それを聞いて 3人の血の気が引く

クールくん

クールくん

気のせい…だよな

クールくん

だってお化けなんている訳ねぇもん…

クールくんが震え声で呟く

私もそう信じたい

お化けだって

暗かったし見間違えだよ

熱だって多分無理をし過ぎちゃった せいだよたぶん

そう自分に言い聞かせて

自分を安心させようとした

看護師さん

とりあえず
そんな重症じゃないから大丈夫

看護師さん

明日あたりには熱も下がるんじゃない?

看護師さん

もうやっちゃダメですよ!

私たちの不安をよそに

明るく話す看護師さんに少し いらだちを覚えた

看護師さん

さて、お話はおわり!

看護師さん

はやく顔を洗ってきてください!

後輩くん

…え

後輩くん

洗面所行きたくない…

後輩くんが私たちの気持ちを代弁して 首を振る

看護師さん

も〜

看護師さん

じゃあ私もついて行くから

看護師さん

それならいいでしょう?

みじんこ

は、はい…

本当は何がなんでも嫌だけれど

これ以上抵抗しても面倒くさい事になるのも嫌だった

3人で渋々ついて行く

またいつものように

朝日が差し込む明るい洗面所

いざ来るとなんだか

隊長の話は私たちを怖がらせるための嘘 だったんじゃないか…

とさえ思ってしまうほど

それでも

私たちは鏡の中の自分を 絶対に見ないように

顔を洗う時も、タオルで吹く時も

ずっと下を向いていた

看護師さん

あれ

うしろで見ていた看護師さんの声に 体が跳ねる

クールくん

もー

クールくん

びっくりさせないでよ!

キレるクールくん

看護師さん

あー

看護師さん

これ出たかもしれないねぇ

その言葉に思わず顔を上げてしまう

看護師さん

ほら、あれ

看護師さんの指を追う

合わせ鏡の右上

後輩くん

手形…

白っぽい手形が逆さまに付いていた

みじんこ

え…

小さい子がよくイタズラで 鏡に手形を付けることはよくあった

でも、 あの手形は鏡の右上

大人が手を伸ばしてやっとの位置

それに逆さまに付いているなんて

みじんこ

………

ここまで考えて 私は動けなくなってしまった

そんな位置に逆さまに付いているなんて

まるで

天井から逆さまに

ぶら下がって付けたりでもしない限り…

幸い隊長は翌日には熱も下がり

看護師さんたちもすっかりと忘れた ようだが

私たちは

しばらく恐怖で洗面所に入ることが出来ず

「お化け探検隊」で調査することは

もう二度となかった

おわり

お隣さんはお化けちゃん

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コメント

14

ユーザー

実際の事と言うのもあって凄く怖かったです😖心霊現象とかって本当にあるんですね…

ユーザー

い、今から顔洗おうと思ったのに、、、、うああああ!

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