音泉 真凜
ぼ…私ね!
真凜の母
僕、じゃないでしょ?真凜は、心が男の子なのかしら?
音泉 真凜
…
そんな簡単に聞かないでよ。僕だってわかってないのに。
音泉 真凜
…わかった…とりあえず、自分の部屋戻るね
真凜の母
えぇ。おやすみなさい
音泉 真凜
…うん。おやすみ
私は…いや、僕は半端者だ。完璧なジェンダーじゃない。だって、心の中に男と女がいる。わからない。自分だって、自分の性別が。 …気持ち悪い。この身体が。胸だって膨らんできたし…
真凜の母
真凜は、ジェンダーなの?
さっきの出来事がフラッシュバックしてくる。やめてよ。そんな事で判断しないでよ。一人称なんてなんでもいいじゃん。
音泉 真凜
なんで、自分を潰さないといけないの?
僕、なんで好きな事をしちゃダメなの? 小学生の時から、ずっとこうじゃん。
女の友達
ねぇ!?マリンちゃんがやったんでしょ!?
幼い真凜
違う!私やってない!!
女の友達
嘘つかないで!正直に言ってよ!!
幼い真凜
本当に違うってば!
親友
マリンちゃんって、そんな子だったんだ…
幼い真凜
信じてよぉ…
親友
やめて。そんな事する子なんて親友じゃない。
ありもしない罪を着せられ、親友に嫌われて。
男のクラスメイト
え、お前サッカーするの好きなの?
幼い真凜
うん!好きだよ?
男のクラスメイト
女なのに?女って、普通サッカーなんてしないだろ
幼い真凜
え…あ…
男のクラスメイト
それに、髪までめっちゃ短いし、その服メンズだろ?男かよw
幼い真凜
っ…!
好きなものを否定され、
幼いトワ
お母さん!俺、たまにはツインテールにしたい!
真凜の母
ダメよ。それに、俺じゃないでしょ!
真凜の母
何度も言わせないで!!!
幼いトワ
…私
真凜の母
そう。それでいいの。普通でいてね。
普通って…何?
音泉 真凜
ははっ、辛い事ばっかじゃん。
音泉 真凜
もう、無理。好きな事がしたい。
音泉 真凜
サッカーしたい。
音泉 真凜
僕って言いたい。
僕が、半端者じゃなくて、完璧なジェンダーだったら…
音泉 真凜
お母さんに、僕って言う事を許してもらえたのかな。
そう言って、僕は首に手をかけた。
音泉 真凜
来世では、ちゃんと僕って言えますように
あ〜。やっと楽になれる。