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テラーノベル(Teller Novel)

夢を見た…

幼い頃のとてもとても懐かしい夢。

私が病院で1人で泣いていると、あの子は来てくれた。

私の不安を消そうと、色んな話をしてくれた

おばあさんのこと、親友の男の子のこと、自分の夢のこと…

そんなあの子のことが、私は大好きだった。

あの子が先に退院する日、私はまた泣いた。

寂しくて、心細くて、離れたくなくて。

そしたらその子は私をこっそり病室から抜け出させてくれた。

病院の隣の小さな公園で、2人で見つけた四葉のクローバー。

泥んこになって、でも2つ見つけて嬉しくて。

2人の宝物にしようって約束した。

そして私はクローバーに願った。

〝また、会えますように〟って…。

キラキラ、キラキラ……輝く思い出。

でも、今、あの子は居ない…。

優〜衣!!!起きて!!帰るばい!!

優衣

??!!

寝ぼけた目を擦りながら辺りを見渡す優衣。

帰りのHRが終わったようで、生徒がチラホラ帰り出している。

どうやら最後の授業の途中で寝てしまい、そのまま時間が過ぎていたようだ。

珍しいったいね〜!優衣が寝るとか!

優衣

……なんか昨日寝れとらんで

昨晩、優衣は望とキスをしかけたことが頭から離れず、眠れずにいた。

それが原因でさっきまで寝てしまっていたのだ。

すごい幸せそうやったけど、どんな夢見とったと?

優衣

ん〜、秘密!

なんそれ〜!

悪戯っぽく笑う優衣。

2人は荷物をまとめ、教室を出た。

ん〜今日も疲れた〜

桃が伸びをしながら呟く。

優衣

そうやね〜

まあ、優衣は最後寝とったけどね〜。笑

優衣

だーかーらー、疲れとったと〜!

そんな会話をしながら、帰り道を歩いていたその時。

ゆっ!いっ!ちゃあ〜ん!!

圭が大きく優衣の名前を呼び、駆け寄ってきた。

優衣

圭くん!?

誰??

優衣ちゃんの友達??初めまして〜!圭っていいます!よろしくね〜!

よろしく〜!私、桃!

優衣

、あれ?

圭の後ろから、チラチラとこっちを見ている人物。

優衣

望さん!!

望だった。

そっちの人は望ってんだ!てか望って!

優衣

あ、そう!同姓同名なの!

へ〜、すごぉい!

ジロジロと望と圭を見る桃。

んで!どっちが優衣の彼氏??

優衣

はあ!?

最近優衣ボーッとすること多いし〜、どうせ彼氏でも出来たんやろ??

優衣

ちっ、ちが

ほいほいほいほ〜い!ほほい!

優衣と桃の間に入る圭。

優衣

圭くん?どうしたの?

俺!立候補します!!

優衣

へ??

ピーン!と耳の横で手を真っ直ぐに挙げる圭。

俺!本気で優衣ちゃんが好きばい!!

優衣

……

付き合ってください!

そう言って、圭は右手を優衣に差し出した。

真剣な眼差しで、じっと優衣を見つめている。

ちょっと!どうすると!?

優衣

………

あまりに急な出来事に、どうしたらいいか分からなくなる。

圭の眼差しが本気ということをヒシヒシと伝える。

しかし、優衣はこの手を取ることができない。

どうしよう………

その時だった。

ダメだよ

望が、優衣の手を掴む。

そして、自分の方へと引き寄せた。

圭、ごめん。

そう言い、優衣を連れ、その場から走り去った。

優衣

ちょっと!望さん??

名前を読んでも望は振り返らず、ひたすら優衣の手を引いて走った。

荒くなる、2人の息遣いと上がっていく体温。

もう止まることが出来ない、想い…。

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