新しい主

ポータルに触れると川が流れる 森の中に飛ばされた、前を歩くトラゾーさん に着いていくよく道を覚えれるな…

黒い煙に包まれると目の前に大きな狼が現れる 背中に飛び乗りしっかり捕まると 勢いよく走り出した、後ろから追いかける音が 聞こえてくる

森を抜けるとまるで別の世界のような 広大な草原に出る しばらく走ると目の前にそびえ立つ 大きな岩の上に人影が見えた

岩の上に飛び乗る、立っていたのは クロノアさんだった いつも通り優しく笑い頭を撫でてくれる

幸せそうに目を細め顔を押し付ける さっき見た真っ黒で大きな狼とは似てるけど 全然違うと思う

グルル…と骨から震わせるような唸り声を 発するトラゾーさんからは、 確実な殺意が感じ取れる

天から光が差し込む 空から強い神様の力を感じると ぺいんとさんが僕を隠すように守ってくれた

浅くなる呼吸に血が引いていく感覚… 僕をずっと助けてくれた３人に僕はお返しを 何一つ返せなかった…

ビリビリと張り詰めた空気 クロノアさんも主神ユダも笑っているが 少しも油断していない

世界が渦の様に歪むと世界は一気に暗く そしてとても寒くなっていた

床は泥のように柔らかく足場が悪そうだ… 初めて見る主神ユダの焦りの汗は 気づかせないためかすぐはらわれる

クロノアさんの手には 神々が連絡に使う水晶だった 水晶の奥には主神達の姿が映されていた

放っていた光が消えるとゼウス様の声は 途絶えた、向こう側にも焦りが見え始める

クロノアさんの声に反応し トラゾーさんは前に出る、僕達に見せてくれた 優しさは存在しなくて 冷たく鋭い瞳が目の前にいる獲物を捉えて離さない

遠吠えが空気を揺らし敵を怯えさせる 鋭く大きな爪が相手を突き刺し 鋭利な牙が食い千切る元仲間、兄弟なんて関係ない ただトラゾーさんの中には復讐心が燃えている