柚芽月 ゆめ
ふう…来月の新刊にはこれで間に合うかな
双葉 璃久
来月分のコラム、出来上がりましたか!?
柚芽月 ゆめ
ええ…双葉さんはいつでもやる気十分だよね
双葉 璃久
はい!編集の仕事はボクの夢だったので!
柚芽月 ゆめ
…まあ無理しない程度に頑張ってちょうだい
双葉 璃久
ありがとうございます!
双葉 璃久
早速チェックしてきますね!
わたしはだれもいなくなった教室で、オレンジ色に染まった校庭を眺める。
サッカー部のカレ、部員に怒っているカレ、ひとり泣いているカレ…。
どんなカレも私は全て知っている。
昨日も今日も明日も眺めているから。
双葉 璃久
…っと、いい感じじゃないですか!
柚芽月 ゆめ
そうかな?
双葉 璃久
純粋な恋かと思わせつつ、ストーカー気質の彼女
双葉 璃久
今回も色々妄想が膨らみますね( *¯ ¯*)
柚芽月 ゆめ
あ、ありがとう…
双葉 璃久
それでは本社に行って推敲してきます!
柚芽月 ゆめ
(いつも頑張ってるカレ、嫌いじゃないかも…)
柚芽月 ゆめ
なんてね
濱島 翔也
ついに発売日ですね!
柚芽月 ゆめ
ああ濱島さん、お久しぶりです
濱島 翔也
最後に雑誌のチェックをしてもらいに来ました
濱島 翔也
今日は双葉休みなので俺が…珍しいですよね
柚芽月 ゆめ
たしかにカレが休むなんて明日は雨かな
柚芽月 ゆめ
とりあえずチェックさせてもらうね
柚芽月 ゆめ
……?うっ…!きもちわるい
濱島 翔也
大丈夫ですか!?しっかりしてください!
意識がだんだん遠のいていく…
もうなにがなんだか分からないくらい
あれ、これは…夢?教室にわたしひとりだし、制服着てるし。
ふと外の空気が吸いたくなって窓を開けると夕日が差し込めてきた。
眩しくなって下を見るとそこには校庭があってサッカー部の練習中だった。
さっきから点を決めまくっているカレはいったいだれなんだろう?
なんか、気になってきた。別にイケメンだったとかじゃ…ないけど。
そこで下駄箱に向かおうとして、
その時階段から落ちて、そのまま…
双葉 璃久
…さん?
双葉 璃久
…ゆめさん!
柚芽月 ゆめ
うーん…あっ!
双葉 璃久
よかった、目を覚ましてくれたみたいで
柚芽月 ゆめ
私…倒れて、それで…
双葉 璃久
濱島先輩から連絡来てボク体調不良だったんですけど
双葉 璃久
心配すぎて駆けつけちゃいました笑
双葉 璃久
ほぼ治りかかってたのでもう大丈夫ですが
柚芽月 ゆめ
そっか…ありがと
柚芽月 ゆめ
でも、倒れてよかったかも
双葉 璃久
え?どういうことですか?
柚芽月 ゆめ
夢を、みてたんだ
柚芽月 ゆめ
ちょうど来月分のコラム、みたいな
柚芽月 ゆめ
でもこれって現実だよね?
双葉 璃久
………。
柚芽月 ゆめ
私は記憶喪失で今も一部の記憶を失くしたまま
柚芽月 ゆめ
それは、学校の階段から落ちて頭を打ったから
柚芽月 ゆめ
けど、思い出した
柚芽月 ゆめ
双葉くん、私はキミに恋してたみたいだった
柚芽月 ゆめ
サッカー部で輝いてるキミをいつも応援してた
柚芽月 ゆめ
…きっと私たちって恋人だったのかもしれない
柚芽月 ゆめ
ちがうかな?
双葉 璃久
思い出さなければ、俺の心も整理出来たのに
双葉 璃久
そう、ボクと貴方は恋人どうしだった
柚芽月 ゆめ
やっぱり…!
双葉 璃久
でもあの日、階段から落ちたと聞いたとき
双葉 璃久
ボクといるから不幸な目に会ったんだって
双葉 璃久
だったら貴方も記憶がなくなっているようだし
双葉 璃久
全て無かったことにすればいいって思ってた
柚芽月 ゆめ
それは違うよ!
柚芽月 ゆめ
双葉くんは人を不幸になんてしないよ
柚芽月 ゆめ
頑張ってるところ、いつも尊敬するくらい!
双葉 璃久
…そしたら、今日のコラム
双葉 璃久
あの日起こったことをそのまま書いてたから
双葉 璃久
もしかして、とも思った
双葉 璃久
けど気付かないふりして、最悪で最低だよな
双葉 璃久
ごめん、今まで隠してて。もっと早く記憶が戻ったかもしれないのに…
柚芽月 ゆめ
ううん、私とっても嬉しい
柚芽月 ゆめ
そうやって正直に話してくれて
柚芽月 ゆめ
ねえ、あのさ…もしよかったらなんだけど
双葉 璃久
いや、その言葉はボクに言わせてくれる?
双葉 璃久
…今でも貴方が大好きだ、ゆめさん
双葉 璃久
こんなボクとまた一緒にいてくれる…?
柚芽月 ゆめ
もちろん!私も大好き!
濱島 翔也
(いいけど、早く原稿チェックしてくれないかな)