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計算機を叩きながら、パソコン入力を行っている俺達のもとに、南雲の兄貴が、ひよっこりと顔を出す。
南雲梗平
速水泰輝
飯豊朔太郎
小峠の兄貴が、炊事当番の日は、小峠の兄貴の居場所は、秘匿(ひとく)にしなければならない決まりがある。
速水泰輝
それなのに、速水は小峠の兄貴の居場所を聞かれ、あっさりと口を滑らせちまった。
南雲梗平
南雲梗平
南雲の兄貴は、足取り軽やかに去っていった 。
今日の昼食は、最悪おかずなしになるかもしれねぇ。
速水泰輝
久々に、小峠の兄貴の飯が食べれると思って、楽しみにしていただけあって、落胆は大きい。俺は溜め息と共に、肩を落とした。
工藤恒清
俺達のやり取りを見守っていた、恒清が不思議そうな表情を浮かべ、口を挟む。
速水泰輝
飯豊朔太郎
工藤恒清
飯豊朔太郎
速水泰輝
工藤恒清
炊事場を覗くと案の定の光景が展開されていた。
南雲梗平
南雲の兄貴が、小峠の兄貴の背後から抱きしめて、唐揚げをねだっている。
小峠華太
そんな南雲の兄貴に根負けした、小峠の兄貴が、唐揚げを差し出す。
南雲梗平
南雲の兄貴は美味しそうに、唐揚げを食べる。
飯豊朔太郎
工藤恒清
速水泰輝
小林幸真
小林幸真
一番厄介な兄貴に見つかってしまった。小林の兄貴に見つかった時点で、今日の昼食は、白飯のみに決定したも同然。
小林幸真
小林幸真
小峠華太
そういうと、小林の兄貴はバットを掴み、豪快に口の中に、唐揚げを流し込んでいく。ジュースを飲むかの如く。
小林幸真
小林の兄貴の暴挙(ぼうきょ)に呆気にとられていたが、いち早く、南雲の兄貴が正気を取り戻し、小林の兄貴に制止の言葉をかける。
南雲梗平
ただ制止するのが遅かった。南雲の兄貴が制止した時点で、バットの中の唐揚げは、残り2個になっていた。
南雲梗平
小林幸真
残り2個の唐揚げも、小林の兄貴の口へと消えていった。
南雲梗平
舎弟達は金に余裕ないものが多い。そんな舎弟達に食わす為に、昼食は組で賄ってくれている。
そして、いましがた俺達の昼食に出されるはずだった唐揚げは、全て小林の兄貴が平らげてしまった。
工藤恒清
飯豊朔太郎
速水泰輝
そこに、たまたま、廊下を通りかかった、和中の兄貴が顔を出す。
和中蒼一郎
炊事場に立つ、小峠の兄貴の姿、空になったバットを見て、和中の兄貴は即座に状況を把握(はあく)したようだ。
和中蒼一郎
兄貴達は外に食べに出れば、問題ないが、金に余裕のない舎弟にとっては厳しい。流石に、白飯だけなのは、不憫(ふびん)だと思った和中の兄貴が、別の物を作れないのか、小峠の兄貴に打診(だしん)してくれた。
小峠華太
小峠の兄貴が作る料理は人気だ。その上、メニューが全員異なるとなれば、おかずの争奪戦が始まりかねない。
和中蒼一郎
小峠華太
ふと、小峠の兄貴が、炊事場の入り口に立つ俺達の存在に気づく。
小峠華太
飯豊朔太郎
工藤恒清
速水泰輝
小峠華太
小峠の兄貴は、怒る訳でもなく、溜め息をついたかと思うと、ポケットから財布を取り出し、ゲロった罰として、速水に買い出しを命じた。
速水が、小峠の兄貴の財布を受け取ろうとした瞬間、横から別の財布が差し出された。
和中の兄貴が、財布を差し出してきたのだ。
和中蒼一郎
小峠華太
そして、和中の兄貴が財布を差し出した事で、支払い戦争が勃発(ぼっぱつ)する。
南雲梗平
南雲梗平
小峠華太
小林幸真
小林幸真
小峠華太
渦中の小峠の兄貴は、何故、兄貴達が支払いで揉めているのか、分かってなさそうだ。
和中蒼一郎
南雲梗平
小林幸真
速水泰輝
三人の兄貴達から詰め寄られ、速水はしどろもどろだ。それもそうだろな。誰をとっても、角がたつ。下手すれば、残り二人からヤキいれが待っている。誰を選択しても待っているの地獄とくれば、誰を選んでも意味はない。
野田一
突如、鬼の形相(ぎょうそう)をした、野田の兄貴の怒号が鳴り響く。
野田一
速水泰輝
野田一
和中蒼一郎
南雲梗平
小林幸真
野田一
野田一
野田の兄貴が、他の兄貴達を追い払う。
そして、門番よろしく炊事場の入り口に立ち塞がった。
野田一
俺達には、小峠の兄貴を手伝うよう、厳命(げんめい)が下された。
小峠華太
野田一
野田一
小峠華太
極道は縦社会。上の言う事は絶対。普段から、身に染みているせいで、小峠の兄貴も、兄貴達にねだられたら条件反射で差し出してしまうのだろ。
野田一
小峠華太
小峠華太
野田一
小峠華太
野田一
野田一
一旦、味見を断ろうとしていた野田の兄貴だったが、ズカズカと小峠の兄貴に歩みよってきた。
小峠の兄貴の顎を掴み、強引に上に向かせたかと思った、次の瞬間、唇と唇が重なった。
たぶん、唇が重なっていたのは数秒程度だったのだろうが、俺には永遠の時間のように感じられた。
野田一
野田一
小峠華太
へなへなと小峠の兄貴は、その場に座り込んだ。
うん、大丈夫、俺は何も見ていない。
きっと今のは目の錯覚だ。そうに違いない。
甘ったるい空気が流れているのも俺の思い込みだ。
だから、速水、早く帰ってこいぃぃぃ!
こんなにも速水の帰りが待ち遠しいと思ったのは、これが最初で最後だった。
おわり
あとがき 唐揚げ食べたい、きっと華太の作る唐揚げは絶品に違いない( ̄¬ ̄) 全くもって関係ないが、昔、父から不審者撃退術を教わった事がある。 『ボディはかためられたら、攻撃は効かん。襲われたら、顔面を狙え。鼻は、ちょっと当たっただけで出血するから、血が出たら吃驚して怯むから』と、あ、助けを呼べとかじゃないんだな、自分でどうにかしろと。 うちの父も大概だけど、妹の幼なじみの父親はもっとあれだった。防犯ブザーの代わりに、トンカチ持たせ、襲われたら、それで殴るように教えていた。その子のランドセルには、いつもトンカチが入っていた。娘が可愛いのは分かるが、それ不審者の方が危ないだろ。 確かに、顔面への攻撃は有効なんですけどね。顔面の攻撃は怖いから、咄嗟に目を瞑っちゃうから当てやすい。狙うのは、鍛えられない目か鼻。やり過ぎれば、過剰防衛なっちゃいますけどね。あと、逃げ足に自信がなければ、次に狙うのは膝か足首を思いっきり蹴るのがオススメ。歩く、走るの起点は足首や膝、機動力を奪ってしまえばいい。腕よりも足の力の方が強いので、蹴る方が有効的。