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五条悟は上から任務を言い渡されていた。 任務内容は『不自然な痕跡を残して消滅する呪霊』の調査である。正直消滅しているなら下手に関わりたくない、というのが本音だったが任務は任務なので大人しく消滅した地点まで赴いた。 日も落ちかけ、月が見えるようになった時刻 五条は繁華街をのんびりと歩いていた。繁華街は夜からが本番だというように活気づいている。別にサボっている訳ではない。 ここから微量だが呪霊の気配を察知したのだ。 気配の感じからして4級以下だろう。いつもなら放置する呪霊だっが様子がおかしい。 ゆっくりと気配が消えかかっているのだ。 気配を探りながら歩いた先にいたのは1人の少女と無抵抗の呪霊。

五条 悟

あービンゴ・・・かな

ポツリと零した一言に少女は振り返る。路地裏にいるせいで見えずらいが歳の頃は15~16。品のある黒髪に燃え立つような赤色の瞳。身長は小柄でどこか幼さを感じさせる。 そんな少女の両手から今まさに呪霊が消えようとしていた。

○○

貴方は・・・?

ころりと鳴る鈴のような声だった。いささか不信感に彩られてはいるが耳に馴染む澄んだ声。

五条 悟

僕は五条 悟。単刀直入に聞くんだけど今持ってたやつが何か分かる?

○○

貴方にもあれが見えるんですか!?

五条が問うと少女はずいっと顔を近づけ、驚いたように目を丸くした。

五条 悟

見えるも何も僕はその持ってたやつ目当てで来たからね

○○

わぁ〜嬉しい!私以外でちーちゃんの事見える人がいるなんて!

五条 悟

ちーちゃん?

少女の言葉におや?と子首をかしげる。先程少女が持っていたものは呪霊だ。ちーちゃんとは一体なんなのか。

○○

あの子達よく悪さしてるんですが私の手に乗せると大人しくなるんです。きっと人の体温が好きなんですね!それで小さいからちーちゃんです!

五条は思った。この子は純粋すぎる。 小さいとはいえお世辞にも可愛いとは言えない化け物に「ちーちゃん」と名付け、可愛がれるのだ。

そして恐らく自分が呪霊を祓っているとは少しも思っていないのだろう。 なぜ不自然な痕跡を残しているのかはまだ分からないが原因は見つけた。後は話を聞いて今後を決めよう。

五条 悟

今の所さっきの小さいやつはちーちゃんでいいや。君名前は?

○○

私は○○です!貴方は?

五条 悟

僕は五条 悟だ。じゃあ○○、今から少し時間ある?

暗くはなっているが手短に済ませればすぐ終わると思っていた。もし遅くなっても自分が送ればいいと。 だが○○は手首の腕時計を確認すると慌てたように顔をあげた。

○○

わわ!もうこんな時間!?ごめんなさい、今日は先生に早く帰るよう言われてるんです!だからお話はまた今度でもいいですか?

先生・・・? ○○の言葉が引っかかる。そうこうしている内に○○は文字を走らせた紙をを押し付けて走り去っていった。 『星空園 住所ーーーーーーーーー明日は休みだから朝来て下さい!』 メモに書かれていた場所は児童養護施設『星空園』 彼女は施設で暮らしているらしい。先生とは施設の職員だろう。 貰ったメモを読み返し明日の朝『星空園』に向かうよう伊地知に連絡をした。

~次の日~ 星空園に着くとすぐに客間へ通された。笑いジワの深い人の良さそうな園長に挨拶をして○○を待つ。園長曰く、五条が着いた頃はまだ寝ていたらしい。 少しして足音と共に○○が入ってきた。焦って来たのだろう寝癖がそのままだ。

五条 悟

やー○○!昨日ぶり~

○○

ごめんなさい!昨日忙しくて眠るの遅くなっちゃって・・・

頭をかきながら苦笑を漏らす。とりあえず○○を前に座らせて園長の退出を確認。 五条は改めて口を開いた 。

五条 悟

昨日の話なんだけどね。先に言うと○○が持ってたのは呪霊と呼ばれる化け物だ。

○○

呪霊・・・ですか?

五条 悟

そ、呪霊はいると厄介でね。僕はその呪霊を祓うのが仕事。んで呪霊が見える人ってのは中々いないんだけど君は見えてる上に祓えてた。

そこまで言うと○○の表情がサッと曇った。恐らく今まで可愛がっていた『ちーちゃん』を祓っている人が目の前にいて、ましてや自分が無意識に祓っていると言われて困惑したんだろう。 無理もないが事実なので話を進める

五条 悟

僕はなんで君が祓えてるのか知りたい。その為にここに来た

○○

私、分からないです・・・生まれつきちーちゃん達は見えてましたし。触ったら皆大人しくなるので・・・

ポツポツと話し出す○○。生まれつき見えるという事は遺伝か何かだろうか?触ったら大人しくなるというのも引っかかる。

五条 悟

触ったら大人しくなるって言ってたね。心当たりとかある?

○○

・・・心当たり、ですか。心当たりではないんですけど、ちーちゃんを触ったあと毎回トラブルというか・・・

不意に俯き悲しそうに瞳を揺らした。目隠し越しに表情を観察すると微かに涙も溜まっている。

五条 悟

トラブル?

○○

はい。普段の力で握っているのに掃除用具が折れたり、この前もドアノブが外れました。別の日にどれだけ力をこめても折れたり外れたりしないのに・・・

とうとう溜息までつきはじめる。相当参っているらしい。 だが、彼女の話から理由は大体察しがついた。 『呪吸操術』 はるか昔誕生した術式で、特別強い訳では無いが自分が強くなればなるほど使い勝手がよくなる。 呪力を持っているものから呪力を吸い上げ、自分の力に変換できる術式だ。

しかし誕生してすぐ後継者が消え、術式は絶たれたはず。 もしや彼女はその生まれ変わりなのか・・・?

もしもその生まれ変わりなのだとしたら全て合点がいく。

呪吸操術を施して祓われた呪霊は死体が残らず塵のように消えるのだ。その為、不自然な痕跡を残して消滅

五条 悟

なるほどね

○○

あの・・・私は何かしてしまったんでしょうか・・・?

五条 悟

いや君のしたことは悪いことではないよ。申し訳ないけどちーちゃん・・・呪霊は悪いものでね、祓わなきゃいけない。

その一言で彼女は泣き出しそうな表情に変わった。

五条 悟

君にこんなこと言いたくないけど呪霊を祓わなきゃ呪霊を視認出来ない人が危ない。だから僕は君に協力をして欲しいんだ。

○○

協力

五条 悟

呪霊を祓うお仕事。さっき園長さんから聞いたけど君高校生でしょ?だから僕の務めてる『東京都立呪術高等専門学校』に転学して呪術師になって欲しい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 突然のお誘いだった。 私は確かに呪霊と言われてる生き物が見える。でも今まで呪術なんて教わった事もなければ関わった事もなかった。そんな私が呪術師になんてなれるのか。

正直な話不安しかない。

でもこの人はきっと嘘を言っていないと思った。それは直感的に、根拠はないけれど発言1つ1つに私を思いやってくれているのが伝わる。

○○

そこで私は・・・人の役に立てますか?

気づけば私はそんな事を口走っていた。 怖いのも痛いのも嫌い。1人になるのなんて・・・孤独なんてもっともっと嫌い。

でも私なんかに出来ることがあるのなら全力でやり切りたい。それは私に生を実感させてくれるから。

五条 悟

立てるよ。君の力があればね

五条さんは薄く微笑んでそう言ってくれた。

私の決意はもう固まっている

○○

私・・・その高校に行きます。私なんかが人の役にたてるなら、なんだってやりたい

五条 悟

ありがとう。それじゃあ明日だ。明日の朝迎えに来るからそれ迄に荷物とかまとめておいて。園長さんには僕から話をしておくから

五条さんはその後園長に挨拶と話を済ませて帰っていった。私は明日行く高校へ不安と期待を混ぜて荷造りを始める。

荷造りが終わって就寝する時ふと思い出した。

あれから1度も先生達と会話を交わしてないことを・・・

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