猫になった名探偵

小さな黒猫の姿になった工藤新一は 冷たい路地裏で為す術もなく震えていた。

快斗が、心配そうにこちらを覗き込んでいた。

ひょい、と抱き上げられる。

必死の思いで、肯定の意を込めて鳴く。

快斗の家

暖かいシャワーで洗われ、タオルで拭かれた身体は、すっかり綺麗になっていた。

パタパタとキッチンへ向かった快斗は、温められたミルクが入った皿を手に戻ってきた。

夢中で飲んでいると、快斗が隣に座り込んで頭を撫でてきた。

快斗はニッと笑って、新一の瞳をまっすぐに見て言った。

ぶんぶんと、必死に首を横に振る。

そう言って優しく抱き上げられる。

ソファに座る快斗の膝の上が、新一の定位置になっていた。

その声に含まれた寂しさに胸がちくりと痛む

せめてもの慰めに、快斗の頬に自分の頬をすり寄せた。

言葉が、途切れる。

快斗の心臓が、どくん、どくん、と速くなっているのが伝わってきた。

自嘲気味に笑う快斗の顔が、少しだけ赤い。

心臓が、破裂しそうなくらいドキドキする。

伝えたいのに、代わりに漏れたのは「にゃ、にゃあ…」という情けない声だけ。

快斗は新一の体を少しだけ離して、その青い瞳をじっと見つめてきた。

快斗はそう言って、新一の額にちゅ、と優しいキスを落とした。

快斗は新一を抱きかかえたまま、寝室へと向かう。

腕の中の小さな命がすっかり寝入ったのを確認して、快斗はそっと呟いた。