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新しくパーティに加わったなーくんの役職は賢者だ。
……賢者だ。
青
「「「どこが?」」」
僕は、キャラ被りを危惧していた。だってゲーム内では賢者は何でもできる勇者の師匠的立場なことが多い。いや合ってるじゃんっていうツッコミは置いておいてもらって。
紫
なーくんはそう言ってくれたが、今度はジェルくんが無言で自分の存在意義を問いている。
後方支援っていうのは仲間の治癒とかバフとかだから!と慌ててフォローに回るも、ネガティブモードはやめられないとまらない。元気なのはさとみくんくらいだ。
桃
逆に何でそんなに元気なんだコイツ。僕の反応が面白かったのかずっと片腕無くしたフリしているし。時々「この帽子を預ける…」ってジェルくんと一緒に煽ってくるし。腹が立ったので殴っておいた。
桃
青
桃
青
お構いなしに倍どころか乗返ししてくるさとみくんと雑魚モンスターの断末魔(なーくん談)を上げ続ける僕。それを他所に、なーくんがジェルくんに何か新技術を教えている。僕もまぜろ。そんな願いも虚しく、僕の服の袖は無惨にも引き裂かれてノースリーブになった。盗賊感すげぇ、とななジェルに言われる。僕の職業は盗賊でもバナナでもない、勇者だ。
橙
それは先ほど僕がノースリーブにされた時のものか。傍観してたジェルくんを僕は一生許さない。
橙
青
圧倒的語彙力のなさ。ほわーってなんだマンガ的演出なのか。
紫
空に触れると、青透明の画面が現れる。正に漫画でよく見るステータス表示といった感じだ。
青
なーくんがやっていた通りステータス!と言い、空に触れても一向に画面は現れない。あれ、と不思議がっている僕の手をなーくんが握る。
紫
手の形によって画面が現れるかどうか変わるなんてすごい世界だなぁ、と思う。元々レベルは確認できたが、これはより細かいステータスが書かれている。空欄のところも書いてあるから何を揃えればいいのか分かりやすくて助かる。
さとみくんも教えてもらったらしく、早速ステータスを見ている。人のも見られるみたいだったので僕のステータスと比べてみる。
青
勇者に見習いは無い。少なくとも見たことがない。勇者って生まれた時から勇者じゃなかったのか。さとみくんの職業は【戦士】になっている。【海賊】にすればいいのに。
桃
青
例のマジックスーツもちゃんと装備に書かれていた。これだけ見れば職業マジシャンかなって勘違いするけどコイツ戦士。
桃
僕らは二人とも【鉄の剣】を武器として持っているようだった。けど、その上に固有武器というコーナーがある。さとみくんの所には【ルナエンヴォイ・バルディッシュRE】僕のところには【勇者の剣】とあるが、僕の名前だけ雑。さとみくんの名前だけ考えて力尽きたんだなと思うくらい雑。さとみくん名前に爆笑してるし。自分の武器かっこよかったからって今僕たちが持っているのは【鉄の剣】だからな。
青
桃
青
ギルドに行くんだよ、と急になーくんが出てくる。話を聞いていたことにもびっくりしたが、それよりもななジェル、僕たちが装備確認してる間に何してんんの。
紫
能力欄を見ると、確かに使える技が書かれて……。
青
橙
青
橙
青
俺実質実験台にされてただけやから。哀愁が漂っていたのは気のせいではないだろう。さとみくんが苦笑いして肩に手を置いていた。甲子園決勝で負けたけど俺たちやり切ったよな青春の雰囲気があそこだけ流れている。なんだあの雰囲気。
紫
僕の方にも手が置かれた。なーくんがにこにこ笑っている。この世界に来てから、この人が時々怖くなる。
紫
肩に手を置かれたままコマンドを唱えられる。何をされるのか正直怖かったが、そんなこともなかった。手のふれたところから何か温かい力が流れてくるような気がする。
紫
青
紫
ここに来て色々なことがありすぎて大分疲れがたまっていたのが、手が離されると同時にとれていく。その後しばらく、体が薄緑色の光で包まれているような気もする。
紫
今だ甲子園の世界にいるジェルくんをフォローしている。しかし反応したのはさとみくんだった。俺もやって、と一人甲子園の世界から帰還する。
桃
青
桃
青
橙
青
桃
確かに。僕たち三人の技名はまだ空欄だったのになーくんだけは当たり前のように使っている。
紫
技って登録するものだったっけ。そんな特許取るみたいにするものだったっけ。
なーくんによると、何か技を生み出したらそれをステータス欄、能力を選んだまま行い、一連の流れを記録して名前を付けて登録すると能力が増えるそうだ。一回登録したら後は体がオートマでやってくれる超便利機能である。
橙
紫
青
自分の職業から特徴を考えてそれを実践する。文字でいうと簡単だが特徴を考えるところからすでに難しい。何か考えても、特別な動作をしないと発動しないものもあるだろうし、技を探すだけでかなりの時間を費やしてしまう。
橙
桃
橙
紫
青
しばしの沈黙。
橙
「「「……うん」」」