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今回は純粋に恋愛なので、制作に3日費やしました💦語彙力が壊滅的なんです。 読んでくださりありがとうございます❗
海くん、空ちゃん... またホラーなのかと思って読んでいたので、ラストにびっくりしました... ご参加、ありがとうございます!
淡い夢を見ていた
人生の中で最も輝いていた宝石のような過去の日々
ガラスのようにもろく、シャボン玉のように消えた、もう二度と戻ってこない幸せだった日々の夢。
どうせ戻ってこないなら
夢でもいい
もう少しだけ、儚い幸せの中に浸っていたい
再びまぶたを閉じ微睡(まどろ)みの淵に沈む。
ある町に和也という少年がいました。
和也の親は殺人の罪で捕まってしまいました。
和也は親戚中をたらい回しにされ、町の人たちの鼻つまみ者になりました。
そんな和也には、1歳年下の双子の友達がいます。
海くんと空ちゃんです。
海くんと空ちゃんは姿形が瓜二つで、両親でさえ同じ服を着させると見分けがつかないのです。
海くんと空ちゃんは和也が大好きでした。
紙飛行機を飛ばしあったり、3人だけで野球をしたりして毎日遊んでいました。
殺人犯の息子というレッテルを貼られた和也には、尾ひれが着いた悪評が沢山ありました。
数を味方につけた町の人間が根拠のない噂話で和也を攻撃する度に、喧嘩っ早い海くんが和也をかばいました。
双子は町の人間のはみ出し者になりましたが、それでも双子は和也が大好きでした。
いつだったでしょう。 空ちゃんが和也に言いました。
「空はお兄ちゃんみたいに、けんか強くないから 和兄(かずにい)をまもれない。」
「空、役立たずだね。」
空ちゃんの目から涙がこぼれました。
空ちゃんは言葉より先に涙が出る子どもでした。世間ではそれを泣き虫と呼びます。
和也は空ちゃんの顔を見つめながら真剣な顔で言いました。
「何も役に立たない人なんていないんだよ。自分で自覚してないだけ。」
「じゃあ空はどういう所が役に立ってるの?」
「えーっとね、言葉にするのが難しいんだけど
皆僕をトクベツ扱いするんだけど、空ちゃんは僕と普通の友だちみたいに遊んでくれるじゃん。
海くんが僕を庇ってくれる時ももちろん嬉しいけど、ちょっとだけ惨めになる。
だけど空ちゃんはそういうの感じないから、けっこう嬉しい。 だから…えっと何が役に立っているかって言うとね……」
和也が一生懸命言葉にしようとしていましたが、空ちゃんには充分伝わりました。
和也を助けるはずがいつも助けられている。 そんな自分でも和也の支えになれている。
もっと一緒にいたいと思いました。 ずっと一緒にいたいと思いました。
和也のことが
好きになっていました。
しかし、そんな幸せは 唐突に終わりを告げました
空ちゃんが川に流され
死んでしまったのです。
徐々に強くなっていく朝日が、現実に引き戻す。
光に満ちた幸せな過去の夢から覚め
思いだしたくもない「あの出来事」だけが残った。
ゆっくりとベッドから体を起こす
今居るのは自分の部屋___
ではない。
雨が降っていたのに、外に出るんじゃなかった。 ただでさえ、熱っぽかったのに
昔から体が弱くて、和兄に看病してもらってた
ほら今も
優しい和兄が、様子を見に来る
和也
それはもうだいぶいい
自分をここまで運んでくれたことに、お礼を言わないといけない
だけど
だけど、
懐かしさで、何も言えなかった。ただ和兄を見つめるしか出来ない
和也
和也
和也
和也
話す時少しだけ目線を下げる仕草は、昔のままで
たまらなくなって、叫んだ
「どうしてそんな普通に話すんですか」
「おかしいと思わないんですか」
「あの事故で死んだのは空のはずなのに、 今生きてるのは海のはずなのに」
「髪だって長いし、胸もある」
「まるで女の子じゃないですか。なんでなんとも思わないんですか」
和也
和也
和也
和也
目に浮かんだのは涙
脳裏に浮かんだのはあの日の出来事
海くんと空ちゃんは両親でさえ見分けがつかない、双子でした。
なので二人は時々、身につけている衣類を交換して周りを惑わせて遊んでいました。
あの日もいつものように、待ち合わせ場所の橋の上で和也を待っていました。
海くんが「服を交換しよう」と言いました。空ちゃんも面白そうだと思いました。
空ちゃんは、誕生日プレゼントに和也から貰ったウサギのぬいぐるみを肌身離さす持っていました。
服を交換した後、海くんはウサギのぬいぐるみを家に置いてくるように言いました。
空ちゃんは猛反対しました。
そして言い合いの末、空ちゃんは和也が好きだということを打ち明けました。
すぐに手が出て短気な海くんは感情に任せて言いました。言ってしまいました。
「和兄もオレ達もまだ小学生なんだぞ 友だちとしか見てないに決まってる
けんかも出来なくて、ぬいぐるみがないと何も出来ない泣き虫で弱虫なお前なんか好きになるわけないだろ」
そう言って、空ちゃんの手からぬいぐるみを奪いとったその時
折り悪く風が吹き、小さな手からぬいぐるみが離れていきました。
ぬいぐるみはそのまま昨日の雨で増水した川に落ちてしまいました。
海くんは一瞬ポカンとしていましたがすぐに自分のしたことに気付いたのか、その場を駆け出しました。
そして迷うことなく流れの早い川に飛び込んでぬいぐるみを追いかけました。
濁流が容赦なく小学生を襲い、 飲み込まれたのは一瞬でした。
本当に一瞬だったので、空ちゃんは橋の上で見てることしか出来ませんでした。
もうウサギのぬいぐるみと海くんは戻って来ません。
そして…………
「海くん」
海くんの服を着たままの空ちゃんを見て、和也ははっきりと言いました。 自分は空なのに「海くん」と
ずっと一緒に居た和也も、見分けることが出来なかった
自分が好きになった人に、もう二度と「空ちゃん」と呼ばれることはないのだ、と
幼心に悟った時、どうしようもなく涙が出ました。
和也と遊ぶことをよく思っていなかった双子の両親は、空ちゃんを連れて事件の後すぐに引っ越しました。
離れても手紙を出しあおうね、と約束して宝石のような日々に幕を閉じました。
そして月日は経ち、和也は高校生になりました。
和也は「海くん」が居る町に1人暮らしをすることにしました。
その手紙を読んだ空ちゃんは、いても立ってもいられず雨の中町をさ迷いました。
会っても辛くなるだけだとわかっていても、どうしても会いたくなったのです。
体調が悪いのに何時間も歩き回ったのがたたって
やっと会えたのに気を失ってしまっていた
でも今はそんなことはどうでもよく、ただ和兄の声を聞くしか出来ない
和也
和也
和也
和也
和也
和也
和也
和也
和也
和也
今だけ、昔のように泣き虫な自分に戻ってもいいのだろうか
私の胸の奥の奥まで
その声が、ひどく優しく響いた