スマイルさんを背負いながら、降ろされた場所を見上げる。
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タクシーに乗ること10分。
降ろされた所は、住宅街に佇む一軒家だった。
てっきりアパートとかマンションとかで暮らしてそうだったから、何だか拍子抜けした。
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意外だな、なんて思いながらスマイルさんのことを担いで玄関まで向かう。
『ピンポーン』
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ピンポンを押してしばらく待ってみるが、誰も出てこない。
仕方ないので、スマイルさんの鞄を漁って鍵を取り出した。
ガチャ
鍵を開けて家の中に入る。
玄関は余計なものは一切置かれていなくて、綺麗だった。
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大きな声でそう言っても返事はおろか、物音すら聞こえてこない。
もしかしたら、ご家族は外出中なのかもしれない。
このまま玄関にスマイルさんを置いていくのも、
勝手に家に上がるのも気が引けて、どうしたものかと考え込む。
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ちょうどそのとき。
後ろに背負っていたスマイルさんがモゾモゾと動き出した。
よかった、スマイルさんが起きてくれれば、なんとかなりそうだ。
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スマイルさんを玄関に降ろして、声をかける。
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スマイルさんが寝ぼけ眼で俺を見る。
しばらくすると脳が覚醒してきたのか、ゆっくりと体を起こした。
そして、僕を見るなり不思議そうに首を傾げる。
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僕の声に驚いたのか、目の前のスマイルさんが顔を顰める。
いや、でもそんなの言われたって驚くじゃん。
こんな一軒家に1人暮らしなんて。
僕が衝撃の事実に驚いていると、
スマイルさんがヨロヨロと立ち上がった。
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そう言った瞬間、スマイルさんの体の重心が大きく揺れた。
グラッ
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ポスッ
床に倒れ込みそうになったスマイルさんをなんとか支える。
アルコールがまだ残っているのだろう。
スマイルさんの目は心なしかボーっとしている。
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たくさん飲まされているのだから、倒れるのも無理ない。
ていうか今のスマイルさんが1人で寝室まで戻るのは不可能だろう。
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僕の提案に、スマイルさんが目を見開いた。
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そう言って、スマイルさんをひょいっと抱き上げる。
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スマイルさんは驚いたのか、小さく声を上げた。
またさっきのように倒れられても困るので
スマイルさんを姫抱きしたまま階段を登る。
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スマイルさんは最初こそ抵抗していたが、僕が階段を登り始めると
流石に危ないと思ったのか大人しくなった。
僕はそこそこ筋力があるから落とすことはないと思うが
かといって男に姫抱きされるのはいい気分ではないだろう。
なんとなく気まずくはなりたくなかったから、足早に階段を登った。
ガチャ
2階にある廊下の1番奥の部屋。
スマイルさんに言われた通りの場所のドアを開ける。
開けると、中には最低限のものだけ置かれたシンプルな部屋が広がっていた。
スマイルさんらしいっちゃらしいが、
一人暮らしの男の部屋がここまで綺麗に整頓されているのには驚きだ。
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マットレスの上にスマイルさんを降ろす。
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触り心地のいいベッドを触っていると、
ふと、スマイルさんの着ているジャケットが目に入った。
おそらく明日も使うであろうジャケット。
着たまま寝てしまうと、シワになってしまうだろう。
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そう言って、スマイルさんが脱いだジャケットを受け取る。
ジャケットを手に取った瞬間、ふわっといい香りが漂った。
香水…だろうか。
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こんな些細なことにもスマイルさんとの差を感じてしまって
心の中でため息を吐く。
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部屋の隅に置かれた、シンプルだが使い勝手が良さそうなクローゼットに目を向ける。
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スマイルさんの指示に頷いて、クローゼットがある方へ向かう。
そういえば、当初はスマイルさんを置いたらすぐ帰るはずだったのに
なんだかんだ長居しちゃってるな…
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そう思って、クローゼットの取手に手をかけたときだった。
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後ろから、スマイルさんの切羽詰まった声が聞こえた。
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突然のことで理解できず、僕の手はそのままの勢いで…
クローゼットを開けてしまった。
クローゼットの折れ戸が音を立ててゆっくりと開く。
ファサッ
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折れ戸が開いた途端、中から1枚紙が落ちてきた。
もしかしたら重要な書類かもしれない、と思い、慌てて書類を拾おうと手を伸ばす。
床に落ちていた1枚の紙には、ズラッと沢山の文字が並んでいた。
なにやら、スマイルさんの名前と、病院の名前が書いてある。
何かの診断書だろうか。
たくさんの文字が並ぶ文章の中で、
目立つ位置に書かれた2文が目に入った。
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視線をスライドした先に見えた、文章の続きの文字を見て、自分の目を疑う。
診断書に書かれていたのは紛れもない。
『Sub』の文字だった。
コメント
8件
あまりにストライクすぎます...すきです... 早く帰りたかった🍖さんがお世話してるのがdomだから...?って思ったら余計悶えますdomsub不足なのでとてもありがたや...
他のお話でもそうなんですけど、お話の展開と表現の仕方がとっても大好きです🥰🥰更新楽しみにしてます!
めっちゃ面白かった!! 続き楽しみにしてます!!