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それからというものの、僕はクラスメイトからいじめられるようになった。
もう僕自身も人を信じことはなくなっていた。
だから僕は「甲斐田晴」という人格を作った。
晴れやかな笑顔を浮かべ、平穏に過ごせるように。
そんな願いを込めて。
高校に入ると、弦月と長尾という友達ができた。僕にはなんの感情もわかなかったが、甲斐田晴は嬉しいと思ったのだろう。
高校生活では特に何も起こることはなかった。怖いほどに平穏だった。
成人した僕は研究者になった。毎日毎日上司からの命令を受けレポートを書き提出をずっと繰り返していたある日のこと。
とある実験を任されたのだった。
曰く、人の中に魔の能力を付与する実験だそうだ。
しかも、僕はする方ではなく
される方だ。
失敗すれば魔になるし、成功しても人ではなくなる。
そんなの僕は嫌だ。
でも、抗いようがない。それが桜魔皇国なのだ。
それからずっと密かに研究されてきた僕はもうすでに魔になっている。
正確に言えば魔の魂が少しずつ僕の魂を蝕んでいっている感じ。
甲斐田晴はきっと悲しいだろう。
この先友達と笑い合うことが出来なくなるかもしれないのだから。
僕は何も思うことが出来ないけれど。
そんなちぐはぐな思いを抱えながら、時は経ち、異世界に渡り、沢山仲間もできた。
甲斐田晴は喜んでいた。
一方僕は不破湊という人が気になっていた。
不破湊という人は、甲斐田晴には不破さん、アニキと呼ばれている。