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第1話 - あ

2023年03月04日

#恋愛

結城真矢

アキ

ジョウ君、明日、高校時代のクラス会があるんだ。

アキ

行ってきていい？

ジョウ

え？明日？

ジョウ

明日は1か月ぶりのデートの日じゃん。

ジョウ

アキが行きたがってたレストラン、苦労して予約したのに…

アキ

ごめんごめーん！

アキ

今回参加者が少ないらしくて、幹事の女の子から頼まれちゃってさ～

アキ

飲み会の盛り上げ担当だなんて言われちゃってるし、私ｗ

ジョウ

人から頼られるのはいいことだけどさ…

ジョウ

最近、デートのドタキャン多くない？

ジョウ

この間なんか、旅行をドタキャンしたよな。

ジョウ

俺、アキとの初めての旅行、すっげー楽しみにしてたんだけど…

アキ

私も行きたかったけど、仕方ないじゃん。

アキ

その日はすっごくお腹が痛かったの！

アキ

それとも、私が体調悪いのを我慢して旅行に行けば良かったの？

ジョウ

いや、そうじゃないけどさ…

ジョウ

旅行のキャンセル料は俺が払って当たり前みたいな態度だったし。

ジョウ

それに、その日の夜、アキが男友達と
飲んでたって教えてくれた友達がいるんだ。

アキ

へー

ジョウ

もしかして、男友達と飲みに行きたいから旅行をドタキャンしたのか？

ジョウ

お腹が痛いって嘘をついて…

アキ

バカだねー、そんなワケないじゃん。

ジョウ

もしかして、アキの中で俺ってすごく
優先順位低いのかなって、不安なんだ。

アキ

夜になったらお腹痛いの治ったから、飲み会に行っただけだって。

アキ

ジョウ君ったら、本当に自信ないな～ｗ

ジョウ

俺って、アキの彼氏ってことで、いいんだよな？

アキ

もちろんだよ。

アキ

なんで今さらそんなこと聞くの？ｗ

ジョウ

俺、アキが欲しいって言ったブランド品とか、すぐ買っちゃうし。

ジョウ

それでアキが喜んでくれるなら俺も嬉しいと思ってたけどさ。

ジョウ

最近、アキが好きなのは俺の金なん
じゃないかなって思い始めてんだ…

アキ

ひっどーい！

アキ

私、お金目当てでジョウ君と付き合ってるんじゃないよ！

ジョウ

そうだよな…

アキ

ジョウ君は実家がお金持ちで、色んな
プレゼントをくれるのは嬉しいけど。

アキ

でも、ジョウ君の魅力はそれだけじゃないから。

アキ

私が好きなのはジョウ君だけだよ！

ジョウ

アキ、ありがとう…

アキ

というわけだから、明日はクラス会に行くね？

ジョウ

う、うん…

ジョウ

ちなみにそのクラス会って、タケはいるの？

アキ

タケ？

ジョウ

アキの元カレのタケだよ。

ジョウ

高校時代、付き合ってたろ？

アキ

ジョウ君、タケ君のこと知ったんだ！

ジョウ

俺だってアキ達とは同じ高校出身だし。

ジョウ

2年の時、タケと同じクラスだったしな。

アキ

そうなんだー

アキ

たしかに、タケ君とはちょっと付き合ってた時期もあったかな。

アキ

でも、高校時代の恋愛なんて、遊びみたいなもんだよｗ

アキ

それに、クラス会にタケ君は来ないから、安心して。

ジョウ

タケは来ないんだな。

アキ

しつこいなー、来ないってば。

ジョウ

タケが来ないんなら、クラス会行っていいよ。

ジョウ

レストランはキャンセルの連絡しておくから。

アキ

ありがと～

アキ

やっぱりジョウ君は優しいね♡

次の日の夜…

ジョウ

アキ、クラス会どうだった？

4時間後…

ジョウ

既読がつかない…

ジョウ

おーい、もう夜中の12時だけど、ちゃんと帰れたかー？

ジョウ

心配だからメッセージ気づいたら連絡くれよな。

次の日…

アキ

おはよ～

アキ

昨日は連絡できなくてごめんね～

ジョウ

おはよう。

ジョウ

クラス会終わったら絶対連絡するって約束したじゃん。

アキ

だから～ごめんって～

アキ

ちょっと飲みすぎちゃってさ～。

アキ

家帰ったらすぐ寝ちゃったのよ。

ジョウ

ふーん。

ジョウ

クラス会は、どうだったの？

アキ

うん、楽しかったよ。

ジョウ

久々に友達と話せて、盛り上がったんじゃない？

ジョウ

なんか面白い話とかしてた奴、いた？

アキ

うーん、友達とどんな話をしたとか、あんまり覚えてないなぁ

アキ

私、めちゃめちゃ酔ってたから～

ジョウ

そうなの？

ジョウ

帰りは誰かに家まで送ってもらったのか？

アキ

いや、帰りは1人で帰ったよ～

アキ

何？なんか疑ってる？

ジョウ

え？

アキ

誰と話したとか、誰かに送ってもらった
のかとか、色々詮索してきてさ～

アキ

ジョウ君って、ちょっと束縛タイプだよね。

アキ

そういうところ、私あんまり好きじゃないな～

ジョウ

ごめん。

ジョウ

でも、連絡が無いから不安でさ…

アキ

だからそういうところだって～

アキ

1日連絡ないくらいで、ネチネチ言わないでくれる？

ジョウ

ごめん…

アキ

ねぇそれよりさ～さっき送った写真、見た？

アキ

この新作のグッチのショルダーバッグ、素敵だよねー♡

ジョウ

あぁ、そうだね。

アキ

これ買ってほしいなー

アキ

ジョウ君とデートする時に使いたいのー

ジョウ

こんな30万もするバッグ買えないって。

ジョウ

どうせ、デートもドタキャンされるし…

アキ

は？なによ

アキ

この私のために30万ぽっちも出せないって言うの？

ジョウ

大学生には大金だって。

ジョウ

今までたくさん色々買ってやっただろ。

ジョウ

もうあんまり貯金無いんだよ。

アキ

ふーん、そう。

アキ

じゃあ私達、もう終わりかもね。

ジョウ

え？

ジョウ

金を引き出せなくなったら終わりなのか？

ジョウ

やっぱり俺はアキにとって、ATMでしかなかったのかよ！？

アキ

なに熱くなってんの？

アキ

今日のジョウ君なんか変だよ。

ジョウ

ごめん。

ジョウ

なぁ、明日バイト終わった後、アキの家に行っていいかな？

ジョウ

久しぶりにアキの顔を見て話したいんだ。

アキ

だめ。

アキ

明日はなんか頭痛くなりそうだもん。

ジョウ

明日の体調がなんで今から分かるんだよ…。

アキ

とにかく、今週は会えそうにないの。

アキ

また今度連絡するから。

ジョウ

分かったよ…。

ジョウ

お大事にな。

アキ

ありがとー！

アキ

そうそう、そういう優しくて穏やかなジョウ君が好きだよ。

3日後…

アキ

ジョウ君、話があるんだけど。

アキ

私と別れてほしいの。

ジョウ

え？

ジョウ

別れてほしいって…どうして？

アキ

他に好きな人がいるの。

ジョウ

そんな…

ジョウ

誰だよ、好きな人って。

アキ

ジョウ君もよく知ってる人だよ。

アキ

私の元カレのタケ君。

ジョウ

タケだって！？

アキ

この前行ったクラス会で、久々にタケに会ったんだけどさ～

アキ

高校の時もかっこよかったけど、さらに魅力的になってて。

アキ

タケ君も、元カノの私に未練があった
みたいで、けっこう盛り上がってさ～

ジョウ

ちょっと待てよ。

ジョウ

クラス会にタケは来ないって、言ったじゃないか。

ジョウ

俺に嘘ついたな？

アキ

だって、あんた嫉妬深いんだもん。

アキ

元彼がいるって言ったら、クラス会に
行くの許してくれなかったでしょ。

ジョウ

なんだよそれ

ジョウ

俺を騙してまで、タケに会いたかったのか？

アキ

正直言うと、そうだよ。

アキ

今までいろんな男と付き合ったけど、
やっぱりタケ君の顔が一番タイプだし。

アキ

それに、とってもロマンチックなの。

ジョウ

なんだよ、ロマンチックって…

アキ

久しぶりの再会の記念にって、とっても素敵なモノをくれたんだよ。

アキ

海で貝殻を集めて手作りしたブレスレット。

アキ

男の人なのにそんなことできるんだって、感動しちゃった♡

アキ

もう、絶対に彼と一緒になるって決めたんだから。

ジョウ

そんな…

ジョウ

俺はどうなるんだよ？

アキ

だから、言ったでしょ。

アキ

別れてほしいって。

アキ

あんたは顔はイケメンじゃないし、背も低い。

アキ

おまけに嫉妬深くて一緒にいて息がつまるし。

アキ

タケ君と比べたら、ほんとーにつまんない男なのよｗ

ジョウ

マジかよ…

アキ

唯一の魅力と言えば実家がお金持ちってとこだけど～

アキ

正直、親からもらったお小遣いで彼女に
プレゼントを買うって、ダサいよねｗ

アキ

というわけで、そこも減点ポイント～ｗ

ジョウ

なに言ってんだよ

ジョウ

お前にやった色んなプレゼントは、親の金で買ったんじゃない。

ジョウ

必死にバイトして貯めた自分の金で買ったんだ。

アキ

あ、そーなの？

アキ

それ知らなかったわ～ジョウ君って努力家～

ジョウ

心にも無い事言うなよ。

ジョウ

でもま、お前の気持ちは分かったよ。

ジョウ

俺たち別れるってことで、本当にいいんだな？

アキ

全然いいよ～！

アキ

いままでありがとね！

アキ

あ、私が恋しくなってもイタズラ電話とか待ち伏せとかやめてね！

アキ

ストーカー行為なんてしたら、即通報だから！

2週間後…

アキ

ジョウ君、久しぶり～

アキ

隣町に新しいケーキ屋さんがオープンしたの、知ってる？

アキ

私、ジョウ君と行きたいな～

ジョウ

なんだよ急に。

ジョウ

ケーキ屋ならタケと行けばいいだろ。

アキ

ううん、タケ君のことはもういいのよ。

アキ

だって、私が好きなのはジョウ君だけだもん。

ジョウ

嘘つけ。

ジョウ

3日前からタケと連絡がつかないんだろ？

アキ

へ？

ジョウ

それまでは毎日LINEで連絡し合ってたのに、
急に既読無視になって不安だよなぁ。

ジョウ

隣町にオープンするケーキ屋だって、
本当はタケと行くはずだったんだろ？

アキ

なんで…知ってるの…？

ジョウ

お前とのLINEのやり取り、全部
タケから教えてもらってるからな。

アキ

は？

ジョウ

あと、タケには彼女がいるから。

アキ

へ？

ジョウ

一度見た事あるけど、アナウンサー志望
の女子大生でめっちゃ美人。

ジョウ

可哀想だけど、タケはお前なんか
初めから眼中に無かったんだよ。

アキ

そ、そんな…

アキ

タケ君に、彼女がいたなんて…

アキ

てゆうか、勝手にジョウ君に情報を
流すなんて、あいつマジ最低じゃん…

ジョウ

お前もやっと目が覚めたか。

アキ

うん、私、どうかしてたよ。

アキ

でも、おかげで大切な事に気づけた。

ジョウ

なに？

アキ

やっぱり私にはジョウ君しかいないってこと。

アキ

ジョウ君も、同じ気持ちだよね？

ジョウ

んなわけねーだろ。

アキ

へ？

ジョウ

あんなに雑に俺のこと振っといて、
都合が悪くなったら戻って来るのかよ。

アキ

だって、私は騙されてたんだよ？

アキ

悪いのは全部、彼女がいるのに私を誘惑したタケ君でしょ？

ジョウ

へー

アキ

そりゃあ、心が揺れた私も少しは悪かったけどさ…

アキ

クラス会でいきなり抱きしめられたり、
手を握られたり、とにかく強引で…

アキ

私、気が弱くて押しに弱いとこあるから…

ジョウ

気が弱いとか、よく言うよｗ

ジョウ

必死にアプローチしてたのは、お前の方だろ？

アキ

ひどい！

アキ

何にも知らないくせに、どうしてそんなこと言うの！？

ジョウ

いや、全部知ってるよ。

アキ

へ？

ジョウ

俺がクラス会に行くって言うタケに頼んだんだ。

ジョウ

アキに声をかけてみてくれって。

アキ

は？

ジョウ

お前、ちょっと声をかけられただけで、
一気に舞い上がったみたいだな。

ジョウ

クラス会の2次会ではずっと手を
握られてたってタケが言ってたぞ…

アキ

う

ジョウ

あと、酔ったから家まで送ってほしいって懇願したんだって？

ジョウ

部屋に着いた途端ベッドに押し倒されて怖かったってｗ

ジョウ

どんだけ必死なんだよ、お前ｗ

アキ

もう、やめてよ！

アキ

どうしてそんな事したの！？

ジョウ

悪いとは思ったけど、俺はお前の愛を確かめたかったんだ。

ジョウ

魅力的な男から言い寄られても、
俺を選んでくれるって信じてたのに。

ジョウ

やっぱり俺は、都合のいい男でしかなかったんだな。

アキ

そんなことないよ…タケ君とのことは、
酔った勢いってやつで…

ジョウ

お前が感動してたタケからの手作りブレスレット、あるだろ。

ジョウ

あれはもともと俺がお前にプレゼントしたものだ。

アキ

へ？

アキ

そ、そうだっけ？

ジョウ

やっぱり、覚えてなかったか…。

ジョウ

付き合い出したころ、初めてのプレゼントとしてお前に渡したよ。

ジョウ

そしたらお前、何て言ったと思う？

ジョウ

「彼女に手作りのブレスレットとか、ダサすぎ！」

ジョウ

それで、ブレスレットを俺に突き返してきたよな。

アキ

あ～、たしかに…

アキ

そんなこともあったような…

ジョウ

ダサすぎる手作りブレスレットも、
イケメンからだと宝物になるんだな。

ジョウ

お前が俺のこと全然好きじゃないってのがよく分かったよ。

アキ

なんなのこの展開…ありえない！

アキ

逆美人局みたいなことして、人の事騙して裏で笑ってるなんて！！

アキ

優しいふりして、最低な男だね！

ジョウ

前々から思ってたんだけど。

ジョウ

お前の優しいって言葉、人を見下してんだよな。

ジョウ

思い通りにならなかったら優しくないって
決めつけるのは、フェアじゃないよ。

アキ

はぁ！？

アキ

わけわかんない事言うな！

アキ

あんたみたいなダサい男、私と付き合えただけでも有難いって思えよ！

アキ

たいていの男はみんな私と仲良くなりたいって思ってるんだから！

ジョウ

はいはい。

ジョウ

じゃあダサい俺の事なんてほっといて、
他の男のとこ行ってくれよ。

アキ

嫌だ！

アキ

お願い、こんな些細なことでヤケにならないで！

アキ

落ち着いて、ゆっくり会って話そうよ。

アキ

私には、ジョウ君しかいないの…

ジョウ

「欲しいもの何でも買ってくれるのは
ジョウ君しかいないって事だろ。」

ジョウ

悪いけど、俺は完全に吹っ切れてたから。

ジョウ

明日も大学の授業があるし、もう寝るわ。

アキ

待ってよぅ！

アキ

私と別れたら後悔するわよ！

アキ

【着信】

アキ

【着信】

アキ

【着信】

アキ

【着信】

後日談…

ジョウ

あれから1カ月ほどアキからの執拗な
ストーカー行為が続き、大変でした…

ジョウ

勝手に家の合鍵を作り、俺の部屋に
侵入するなどしたため、迷わず通報。

ジョウ

警察にしょっ引かれていく姿が、
俺の最後に見た彼女の姿になりましたｗ

ジョウ

噂で聞いた話によると、タケと俺に
振られた話は大学中に広まっていて

ジョウ

プライドの高いアキは、大学を退学したそうです。

ジョウ

俺の方は、心優しく俺の事を心から
好きでいてくれる新恋人ができました。

ジョウ

以前とは違って、今は平穏で
幸せに満ちた毎日を送っています。

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結城真矢

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