月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
注意!! ・地雷さんはUターン! ・青黒が付き合ってます ・基本桃さん視点 ・nmmn
月見。
まろは俺にかなり甘いと思う。
あにきっずを自称している上、時には同担拒否宣言まで。嫁達にすら「いふくんには勝てない」と言わせるくらいには、彼は俺のオタクらしい。
かく言う俺も、まろにそこまで厳しく当たったことはないと思う。
元々身内にはまぁまぁ甘いタイプだと思うし、正直まろの存在が俺の支えになっていると言っても過言では無いから、無意識に彼への態度が少し甘くなっているところもあるかもしれない。
ちなみに俺がまろを甘やかしたり絡んだりするとガチで嫉妬する嫁が一部いるようで、本人達には悪いがおもろいなぁと眺めていた。
こりゃ当分付き合ってることなんて言えないな、と思ったりもする。まぁ報告する予定は今のところ全く無いが。
・・・そんな俺達だから、喧嘩なんてしたことがない。ちょっとした言い合いだってない。
そもそも、まろが俺に怒ることなんて殆ど無いのだ。俺だって別にあいつの機嫌を悪くするようなことはしないし。
・・・だから、時々羨ましく思う。
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ないこハウスに響き渡る二人の大声。少し離れたところに座っていたりうらが、スマホをいじっていた顔を上げてその表情を顰めた。
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やれやれ〜と慣れた様子で肩をすくめる初兎ちゃん。どうやら止める気は無いらしい。りうらが少しばかり不服そうだがそれに触れる様子も無い。
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俺達ビジネスBLから兄弟ノリまで移り変わったじゃん、とりうらが視線を投げてくる。なんかごめん。
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ねえあにき、と同意を求めるように隣に座っていたあにきの方を見れば、あにきは顎に手を当てて何やら考えているようだった。
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珍しく歯切れの悪いあにきに首を傾げる。なんだかいつもと違うな。どうしたと言うんだろうか。
そんな俺の疑問は、飛び込んで来た大声によってかき消される。
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あっという間に味方がいなくなるまろ。・・・え?誰か裏切った奴がいるって?誰それ酷いなぁ。
こういう時のまろが泣きつく場所は、たった一つと決まっている。
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ガバッと音を立ててあにきに抱きつくまろ。今は座ってるからあれだけど、立ってる時にこんなでかい男からのこの勢いのハグにあにきはよく耐えられるなと尊敬する。あにきだから受け止められるんだぞそれ。まぁ偶にぐらついてるけど。
青
そう言ってぎゅうぎゅうにあにきを抱き締めるまろ。もーほんとにあにき大好きなんだから。
そんであにきもなんだかんだまろに甘いから、そんなまろをちゃんと受け止めて味方してあげるんよなぁ。
ほら、すぐにあにきが何か優しい言葉を・・・。
黒
桃
あにきの声は、一向に聞こえて来なかった。不思議に思って二人の方を見てみると、あにきはまた何かを考えるような素振りを見せていた。
その腕はまろの背中に回っておらず、抱きついたまろも違和感を感じ取って一度その体を離しあにきの顔を覗き込んだ。
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黒
今日は随分とぼーってしてるな、あにき。何か引っかかることでもあったのか、他に夢中になっていることでもあるのか。
でも流石にここまで返事してもらえないとまろがなんか可哀想に思えてくるから何か返事したげて。
桃
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再度ぎゅーっとあにきに抱き着いたまろ。それに反応するように、漸くあにきがその体を動かした。
やっと反応を見せた彼に安堵したのも、ほんの一瞬のこと。
青
まろが、目を丸くして唖然とする。
二人の様子を眺めていた子供組も、勿論俺も、その光景を見て呆気に取られた。
───あにきが、ハグを拒むようにまろの体を押し離したのだ。
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全員が戸惑う中、あにきはすいっと視線を上げてまろを見た。
漸く合った目に嬉しいような、けれどさっきのことがあるから複雑そうな表情のまろがその名前を呼ぶ。
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黒
ぽつりと彼の名前を呼んだあにきは、心なしかいつもより温かさの無い目でじっとまろを見つめた。
黒
青
自分が言われた訳でもないのに、まるで雷に打たれたかのような衝撃が走った。
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桃
ええぇぇぇぇぇぇぇ!?
桃
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青
水
小声の中の全力の大声(矛盾)で年少二人を呼び出す。これは一大事だった。
見事に俺ら五人を一気に固まらせるという破壊力抜群の台詞を放ったあにきは、その後何事も無かったかのように「プリン食いたいな、初兎コンビニ行かん?」と初兎ちゃんを誘って家を出て行った。
はいっ!お供します!!と反射で答えていた初兎ちゃんの裏声は面白かったが、今はその面白さをじっくり堪能している余裕なんて無いのだ。
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現状の解決策もあにきがああなった原因も、何一つ分からないまま俺達三人は額を合わせて唸った。
まろはあにきのさっきの言動にショックを受けてずっと魂が抜けたみたいな顔して、ずっとぶつぶつうわ言を呟いてる。あれは俺達がどうこうして戻せるものじゃない。
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随分とかわいらしいことを言う悠くんに、少し遅れて返事をする。
さっきの今である。悠くんからまろちゃんへと飛び出した前代未聞のあの言葉。その直後で、逆にどうやったら平然としていられると?
悠くんもなんであの後からいつも通りなん?せめて極端に機嫌悪かったりして欲しかったわ逆に戸惑うんやけど。え、何?マジでどういう状況??
だって今日集まった時はいつも通りだった。だからってそれからさっきまでの時間で悠くんの気持ちを変えるような何かがあったかと言えば、何も無かったと思う。
・・・じゃあ、さっきの悠くんのあれは一体なんだ?
きっと今頃瀕死になっているであろうまろちゃんのことを考える。悠くんからハグを拒否られた上にくっつくな宣言なんて、まろちゃんにとっては拷問だろう。
シュークリームが入った袋を満足そうに抱える悠くんに、上手くさっきのことを聞き出せないまま、ただ帰路を歩いていた。
え、これ帰ったらどうなんの?悠くんまたいふくんにあんな感じの態度になるん?ワンチャン戻ってるとかない?さっきのは夢だったぜ的な。ない?ないよな。
ちらりと隣を歩く悠くんを見る。いつも通りだ。さっきまろちゃんの前で一瞬まとっていたあの空気感はなんだったのだろうか。
そんなこんなで僕がどうすればいいのか分からないでいるうちに、僕らはないこはうすへと戻って来てしまった。
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帰って来た白黒の二人に思わず大袈裟に反応してしまった。
あにきは至っていつも通りなようで、初兎ちゃんにどうだった?と視線を投げたが彼は肩をすくめるばかり。どうやら何も聞き出せなかったらしい。
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声裏返ってるよほとけっち。
黒
あにきがガサガサと袋を漁りながら答える。いやかわいいかよ。
黒
水
いやちゃんと食いつくじゃん。ほとけっち今の状況忘れた?大丈夫?
水
黒
水
あれなんか普通にイチャコラし始めてない?おいコラほとけっち。
いつもならこの状況、「あにきかわい〜!」とか、「おいほとけお前あにきからあーんとか絶許や×ね!!」くらいには叫んでくる同担拒否男がいるのだが、今はその鳴りを潜めている。
そんな青色の方を見れば、彼はちらちらとあにきの方を見ていた。話しかけたい、触れたいという気持ちがダダ漏れだ。
青
お、動いた。
青
所謂デートのお誘いだ。さっきの今でよく頑張ったまろ。と心の中で彼を讃える。
そんな健気に頑張った彼の言葉に、いつも優しい筈の最年長は無慈悲にも首を横に振ったのだった。
黒
青
最早声を出せてすらいない。「じゃあ予定合わせるよ、いつ空いてる?」なんて普段の彼なら言っただろうが、そんな余裕とメンタルを今の彼は持ち合わせていないようだった。
あにきだって普段なら「でもこの日なら空いとるけど」くらい言う筈なのに、本当に今日はどうしたと言うんだ。
子供組が顔を見合わせ、俺も上手く言葉をかけられないまま、時間だけが一向に過ぎていく。
その間にあにきはシュークリームを食べ終え、満足気にティッシュで口の周りを拭いた。
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立ち上がったあにきに咄嗟に声を上げた俺とりうらを、あにきはきょとんとした顔で見つめる。
黒
桃
黒
そう言ってひらひらと手を振りながら、あにきは帰ってしまった。
桃
その場に、暫くの間沈黙が訪れる。
まろを見れば、そこにはもうほぼ屍のような状態のまろが床に倒れ込んでいた。
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べそべそと涙を流しながら床とお友達になっているまろ。
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青
あぁまろ、ご近所さんから苦情来るからそのクソデカボイスで泣き喚かないでくれ・・・。
なんて、絶賛傷心中の彼にそんなこと言える訳もなく。
赤
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仕方ない。あにきにはいつも世話になってるんだから、何かあったなら相談に乗るのがリーダーないこさんの務め。
・・・それにご近所さんからの苦情は勘弁。まろには早く立ち直ってもらわなくては。
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桃
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桃
黒
無事にあにきを夜ご飯に誘うことに成功した俺は、以前から行きたい行きたいと言っていた蟹が美味い店に来ていた。
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黒
マジで美味い。蟹食べたのいつ振りだろう。
・・・って、違う違う!蟹食べるのは口実で、今日はあにきと話す為にここに来たんだから、こんな呑気に蟹食べてる暇は無い!
ちらりとあにきを見る。美味いなぁと笑うあにきに、いよいよ本題を投げかける。
桃
黒
桃
たどたどしくなってしまった自分の言葉を心の中で悔やみつつ、あにきをそっと見つめる。
黒
小さく口を開けて少しの間動きを止めていたあにきの口から、声が溢れた。
桃
黒
桃
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桃
言ったけど、ちょっと待って?
嫌な予感が頭を支配する。いや、そんなことないと思うけど、まさか。
黒
桃
黒
桃
お店に迷惑であろうかなりの大声を出してしまい、すぐさま自分の口を手で押さえた。
・・・いや、違う。あにきの考えは言われれば分からなくもないけど、そうはならんだろ!!!
じゃああれか。昨日のあにきのまろに対する冷たい対応も、避けるような行動も言葉も、全部その理由で。
なんでそっちに舵切っちゃったかなぁ!!喧嘩するって言う案にはまだ百歩譲って納得したとして、なんで青組みたいな口喧嘩とかじゃなくて冷戦状態みたいな喧嘩選んじゃったの!?
普段喧嘩しないからか!?喧嘩出来ないんか!?下手くそか!?と心の中でツッコミを繰り返す。あぁもう、この最年長はどうしたものか。
桃
今日の朝生存確認の為に電話したまろは、声だけでも分かるほど死んでいた。
いつもまろがあにきにべったりくっついて、あにきもそれをやれやれ、なんて顔をしながら満更でもなさそうに受け止める。
そんな二人を、またいちゃついてら、なんて呆れながらも微笑ましく眺めているのが、俺達の当たり前だった。
それは、本人達にだって例外じゃないだろう。
黒
あにきがぽつりと呟く。
黒
桃
黒
きゅ、とあにきが自身の胸元の服を掴む。
・・・本当に、この最年長は。
桃
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桃
ただの彼の好奇心か、無意識の嫉妬か、その他の何かか。俺には分からないし、深く追及するつもりもないけど。
桃
まろにきが言い合いなんてしていたら、明日は槍が降るだとか、世界の終わりだなんていむしょー辺りが騒ぎ出すに違いない。
それくらい、幸せそうに笑い合う二人の姿は、俺たちの日常の一部なのだ。
桃
俺の言葉にあにきは一瞬ぐっと顔を顰めて、それから斜め下を向いた。
黒
その口から溢されたかわいらしい返事に、ふっと表情が緩む。
桃
ミルクよりも砂糖よりも甘い、最大限の優しさと愛しさが込められたあの瞳は、この先もずっとあにきだけを見つめているんだろう。
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桃
黒
さっきからスマホをちらちら見ていることに、気付かないとでも思ったのだろうか。
黒
桃
とっくにHPは0だったけどね。
俺の言葉に、あにきはありがと、と小さく笑って個室を出て行った。
戻って来るのは暫く後だろうか。戻ってきたら来たで、「今からまろのとこ行って来る」と荷物を持って出て行くか、またはまろの方がこっちに来るか。
どうなったとしても、あの二人がいつも通りになるならなんだっていい。そんな二人に振り回されるのも、ある種の楽しみだ。
静かな部屋の中で、明日の賑やかなないこはうすを想像しながら、俺は一人蟹を頬張った。
口に含んだそれは、さっきより何倍も美味しい気がした。
コメント
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ううううぅぅまろにき尊すぎてタヒぬ… 表現?が上手すぎて凄い✨(語彙力はゴミ箱へ☆)
ふふふふふ好きなんだが最高なんだが??? いやもう続き見てぇぇぇ!!自分で妄想でもしとくか…… ほんとに月見。さんの小説最高っ