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桜のイヤリングを一緒に探してから数日が経った
その日以来、神風は水雫の秘密を無理に探ろうとはしなくなっていた
今までしつこく聞き出そうとしていた彼も、彼女がどれだけイヤリングを大切にしているか、その思いに気づいたからだ
天野神風
天野神風
休み時間や放課後、ふと水雫の姿を見かけると、彼女がさりげなくイヤリングを触っている様子が見受けられるようになっていた
それは、ただの装飾として身につけているのではなく、何か大切な思い出が詰まっているような、そんなふうに感じさせた
ある日の放課後、神風は友人たちといつものように雑談をしていたが、ふと窓の外に見えた水雫の姿に目が留まった
彼女は校庭のベンチでひとり静かに座り、桜のイヤリングを見ていた
秋山詩音
天野神風
天野神風
詩音と黎も彼の言葉に頷きながら、遠くから水雫の様子を見守っていた
彼らもまた、神風と水雫の間に流れる静かな変化に気づき始めていた
それから神風は、必要以上に水雫のことを探ろうとはせず、ただ自然な形で接するように心がけていた
水雫もそれに応えるかのように、少しずつ柔らかい表情を見せるようになった
そして彼女は、イヤリングをより大切に扱うようになり、いつも慎重に耳に飾りつけてはその存在を確かめるように触れていた
天野神風
天野神風
天野神風
心の中でそう決めた神風は、それまで以上に穏やかな気持ちで水雫を見守ることにした
彼女にとってそのイヤリングがどれだけ大切か、それがわかっただけでも、
自分の中で何かが変わったような気がしていた
そして、水雫もまた、そんな神風の変化に少しずつ気づき始めていたのだった