sakura
sakura
(´;ω;`)
sakura
(´;ω;`)
sakura
sakura
sakura
sakura
ガラッ(扉)
紫
青
青
橙
いつもはない袋を持ったままカバンだけを自分の席に置き、ある席の周りに立っている紫くんと橙くんに近寄る
青
紫
青
橙
橙くんのスマホ画面には一昨日の夜に作られた5人だけのグループのトーク画面が表示されていた
青
橙
紫
2人はイタズラを企む子供のような笑顔を見せた
少しして、バタバタと騒がしい足音が廊下から聞こえてくる
ガラッ!!
黄
倒れ込むように入ってきた黄くんの手にはやっぱり、いつもは無いビニール袋があった
紫
黄
黄
黄くんが持ってきたビニール袋を見て、今度は4人全員がニヤリと笑った
続々と登校してくるクラスメートには、予め断っておいた
赤くんが教室に飛び込んできたのを合図に、僕たちはいっせいに身構える
そして彼の姿が見えた瞬間…
パンパンパン!!
桃
クラッカーから飛び出した紙吹雪をみて、桃くんは目をまん丸にしていた
橙
みんな
(๑´ω`ノノ゙ぱちぱちぱち✧
桃
桃
黄
黄
橙
桃
橙
橙くんが言う通り、桃くんの机の上にはお菓子のタワーか建っている
青
桃
黄
紫
橙
傍らでやに下がっていた赤くんが、桃くんの肩にぽんっと手を置いた
赤
サプライズを提案したのは赤くんだった
桃くんはテスト前の一件をみんなに謝ってから、再度赤くんに謝ったらしい
赤くんはすぐ許してくれたみたいだったけど、桃くんはどこか引き目を感じていた様子だった
それを感じ取って赤くんが、桃くんの誕生日は盛大に祝おうって僕たちに持ちかけたんだ
桃
あんまり見られない素直な桃くんにムズムズしたようで、橙くんが照れ隠しのように桃くんの肩に腕を回した
橙
桃
仲間に囲まれて、桃くんは幸せそう
そこに混ざって、何度もおめでとうを伝えた
桃くんが次に誕生日を祝ってもらう時、僕はもうここにはいない
だから、来年の分も再来年の分も……
これから何十年先の分のおめでとうを、こっそりと18歳の誕生日に込めたんだ
青
定期検診のために訪れた病院
診察はいつものように淡々と進めまれた
土曜日の診察は午前だけで、お昼をすぎた廊下に人影はない
青
窓に叩きつけられる雨を見て、梅雨が来たんだと感じる
青
持ってきた上着を取り出そうと、受付に向かう前に診察室の前の椅子にカバンをおろす
このカーディガンは昔、お姉ちゃんが買ってきてくれたものだ
貰った当時のことを思い浮かべながらカーディガンに袖を通した時、背後の扉が静かに開いた
瞬間、嫌な予感が胸をよぎった
黒木先生
黒木先生
青
黒木先生
黒木先生
僕の意志を理解し尊重してくれていた黒木先生が、鬼気迫る様子で僕に伝える
青
黒木先生
青
黒木先生
青
つい荒らげてしまった声が、人気のない廊下に響き渡った
病院だということを思い出し、ハッとして声を潜める
青
青
青
青
青
青
黒木先生
僕達以外誰もいない廊下に、黒木先生の声が静かに落ちる
そう。僕達以外誰もいない
はずだった
律
青
震える唇でそこに立つ彼の名前を辿ると、彼の目にじわりと涙が滲んだ
「また定期検診で来ます」と黒木先生に伝え、俯いてしまった律くんを連れてその場を離れた
受付でお会計を済ませ、待ち合いの椅子に座る
律
青
青
青
青
青
カーディガンの袖を巻き込んで、膝の上で拳をつくる
グルグルと考える僕の横で、律くんが息を吸う気配がした
律
青
律
律
律
律くんの声は小さいのに、辺りに人がいないせいか、やけに響いて聞こえる
律
律
青
律
律
律
律
青
律
青
律
そこでようやく律くんが顔を上げる
白い頬は濡れていて、あの日、ベットの上で僕を睨みつけていた目は、もう鋭くなかった
青
青
青
僕のために涙を流してくれている彼に、この局面で嘘なんてつけなかった
青
律
律くんが悲鳴にも似た声をあげた
彼が泣いてくれているからか、病気を打ち明ける僕の心は、さっきと打って変わって穏やかだった
青
律
震える声で聞く律くんに、僕は小さく頷く
そして言った
青
表情に笑みさえ浮かべて
律
律
青
律
青
青
律
青
ヘラヘラと笑った僕の頬に、スラリと伸びた指が添えられた
律
青
律
青
青
律
笑った僕の首に律くんが腕を回す
僕を包む優しい温もりの中で、堪えきれなくなった涙が次々と溢れた
青
静かな病院のロビーで、僕をたちはわんわん声を上げて泣いた
一緒に帰っている途中、目を腫らした律くんが何かを思い出したように声を漏らした
律
青
目をまん丸にした僕がよほど面白かったのか、律くんはけたけた笑う
律
青
ごくりと唾を飲み込んだ僕のおでこを、律くんが軽く小突く
律
僕のアパートとは逆方向の階段に1歩踏み出し、言葉に似つかわしくないほど明るい笑顔を律くんは見せる
律
青
律
律
また会おうね。
そう言い残して、律くんは振り返ることなく階段を上がっていった
sakura
sakura
sakura
sakura