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余命わずか

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余命わずか

15 - 余命わずか

♥

673

2021年08月19日

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sakura

わこさくー!

sakura

続き書いてくよー!
"(ノ*>∀<)ノ

sakura

地雷・アンチだめ!

sakura

キャラ崩壊注意!

sakura

٩(.^∀^.)งLet's go

赤くんが教えてくれた桃くんの搬送先は、僕が通っているところと同じ病院だった

愛ちゃんを抱きかかえて病院の玄関に向かうと、自動ドアのガラスの向こうに僕たちの到着を待ってくれている彼の姿を見つけた

赤くん!!

一般の診察時間をとっくに終えた病院のロビーは薄暗く、緊急事態なんだということを否が応でも突きつけられる

愛ちゃん、おいで

僕の腕から愛ちゃんを引き取り、赤くんは大股で歩き始めた

まだ治療中で、桃ちゃんが今どういう状況なのか、俺達も分かってないんだ

俺達も……。

ということは、他にも駆けつけている人がいるんだ

歩き続けた先に、処置室と、駆けつけているほかの人物の姿があった

部員

あ……!!

(この人、どこかで……)

記憶に引っかかったその人の格好を見て、ピンとくる

間違いない、赤くんにテーピングをする時部室にいた人だ

その向こうには、男バスの顧問と教頭先生の姿もある

僕が取り乱したら愛ちゃんが不安になる

そう思っていたけど、赤くんの手に愛ちゃんが渡って一気に力が抜けた

……どうして

へたりこんだ床の冷たさを感じた瞬間、もう二度と立ち上がれないような感覚に襲われた

桃ちゃん、ミーティングが終わった瞬間に部室飛び出して、走って帰ってったんだよ

え……?

土砂降りの中、傘さして走ってって

……交差点の信号が赤なのを見落として、車とぶつかったみたいで

(嘘、でしょ……)

普段は冷静な桃くんが、そんなことをするなんて

あまりの衝撃に、言葉を失う

雨が降りしきる中……桃くんは走ったんだ

練習で疲れてるはずなのに、傘をさして、信号を見落とすほど無我夢中で

その道の先にはきっと、僕の住むアパートがあった

………っポロポロ

……っ、青ちゃんが責任感じる必要はないからね

………っコク

(わかってる。ここで、「僕のせいだ」なんて傲慢を言うつもりはない)

それで、桃くんの容態は……?

部員

上半身からの目立った流血はなかった

部員

朦朧とする中で、足が痛いって訴えてたよ

え……

部員

……偶然通りかかったんだ。事故の瞬間は見てない

部員

ミーティングが終わっても、ほとんどの部員が部室に残って喋ってた

部員

でも俺は、先に1人で帰ることにしたんだ

部員

駅に向かって歩いてたら、遠くの交差点にパトカーと救急車が停まってるのが見えて

この場にいる全員が、話に静かに耳を傾ける

部員

その時は、事故があったんだって思っただけで……

部員

でも、通り過ぎて帰ろうとした俺に野次馬の1人が声をかけてきて……あなたと同じジャージを着た男の子だって言われて

切れ切れに話す部員の声は、誤魔化しようのないくらい揺れていた

部員

俺、びっくりして。ちょうどストレッチャーが救急車に乗り込むところだったから慌てて確認したら……桃だった

……っ!

部員

近くにいた警察官に部員だってこと伝えたら、クラブジャージで学校はすぐに特定できたから連絡は入れてあるって教えてもらって

部員

搬送先の病院は見つかったけど付き添いがいないって言うから、誰もいないよりはマシだと思って救急車に乗せてもらったんだ

それで、救急車の中から俺に連絡くれたんだ。バスケ部の同期でも一番仲いいし、中学から一緒だって知ってくれてたから

俺は他の部員と部室で喋ってたんだけど、連絡もらって慌てて部室出て…

そしたらちょうど、先生たちも搬送先の病院に向かうところで、車で一緒に連れてきてもらったんだよ

その車の中で、俺が青ちゃんに連絡したんだ…

(そう、だったんだ……)

その時、遠くからバタバタと慌ただしい足音が近づいて来ていることに気づいた

愛ちゃん

まま、ぱぱ!

振り返ると桃くんのお母さんとお父さんがスーツ姿ですぐそこに立っていた

桃くんのお母さん

愛っ

お母さんが赤くんの手から愛ちゃんを受け取り、ぎゅうっと抱きしめた

桃くんのお父さん

それで、息子は……

お父さんが先生から状況の説明を受けている間、なんとか立ち上がった僕にお母さんが向き直った

そして、涙を流しながら、愛ちゃんにしたのと同じように僕を強く抱きしめたんだ

桃くんのお母さん

ごめんね、青くん。まだ高校生のあなたに親子で頼って、こんなに怖い思いをさせて……!

事故にあった桃くんのことが何よりも心配なはずなのに、彼の容態を聞くよりも先に僕に気を向けてくれた

気にしないでください。僕が、桃くんの力になりたかっただけだから……

涙ながらに首を振ると、お母さんは僕を抱きしめる力をそっと強めた

部員

あっ

先輩が声をあげた

処置室の方を向くと、固く閉ざされた扉が開いていた

中から濃紺のスクラブを着た先生が出てくる

先生、桃ちゃんは……!

医師

左足首の骨折と少々のかすり傷ですね

医師

うまく受け身をとったこととバックがクッションになったことが幸いしたようで、命に別条はありません

医師

骨折は後日手術を行うことになりますが、リハビリをすれば元通り動くようになると思います

先生の言葉にほっと息を着く

元通りにってことは、またコートを駆け回れるってことだ

形は違うけど、桃くんが僕と同じように涙をのむことにならなくてよかった

医師

事故のショックからまだ意識が戻っていませんが、恐らく一過性のものと思われます

医師

面会はご家族の方に限らせていただきたいのですが、会われますか?

間髪入れずに返事をしたのは、いまだ涙を流したままのお母さんだった

医師

では、病室にご案内します

愛ちゃんを抱いたお母さんとお父さんは僕たちに深々と頭を下げてから、救急病棟に連れられて行った

びっくりしたよね

差し出されたミルクティーを受け取りながら小さく頷く

ロビーの椅子に座る僕の隣に、赤くんは息を吐きながら座った

でも、思ったより軽く済んでよかった…

本気で……死ぬんじゃないかって思ったから

これには僕も首を縦にふった

事故の様子なんて分からない状況の中で、何度もその考えを思い浮かべては必死に振り払ったんだ

視界の端で膝の上に作られた赤くんの拳が震えていて、友達を失いそうになった彼の恐怖が伝わってくる

…………

…………

どれくらい無言でいただろう

その沈黙を最初に破ったのは僕だった

僕……死ぬよりも怖いものってないと思ってた

自分の死期を知ってるから、それ以上に怖いことなんて起こらないって思ってた

……うん

でも、そんなことなかった

自分が死ぬのとは違う、でもそれと同じくらいの怖さがあるって知った

近しい人がこの世からいなくなるって恐怖を、身をもって体感した

身が擦り切れるような思いだった

こんな思いは二度としたくないと思った

だけど

今度は僕が、同じ怖さを……

ううん、それよりももっと強い怖さを、みんなに与えちゃうんだよね

………っ

桃くんの事故を、こんなふうに自分に結びつけるべきではないのかもしれない

でも、一瞬ではあるものの残される側の立場に立って……考えてしまったんだ

僕ほんとに、みんなと一緒にいてよかったのかな

受け取ったペットボトルを包む両の手に、ぎゅっと力を込めた

……いい加減、自己中になりなよ青ちゃん

赤くんの声に苛立ちが含まれる

え……

青ちゃんはどうなの?俺らと一緒にいて、後悔してるの?

後悔なんかするわけ……!

だったら!!!

突然荒げられた赤くんの声に、肩が跳ねる

だったら、一緒にいてよかったのかななんて言わないでよ。俺たちの気持ちは丸ごと、青ちゃんと同じなんだから

………っ

俺たちが過ごした時間はプラマイゼロじゃないよ、プラスでしかないよ

だから、同じ時間を一緒に過ごした青ちゃんだけはそれを否定しないで

優しく赤くんが微笑むから、今日何度目かの涙が溢れてきた

ははっ、また泣いた

赤くんのせいじゃんん……

褒め言葉として受け取っとくねw

静かな声に2人の笑い声が響く

そして、僕の涙が止まる頃

赤くんが、ふっと目を細めた

怖さを与えることになるって罪悪感持つんだったら、最後まで桃ちゃんのそばでそうやって笑っててよ

俺には、それだけで十分だよ

赤くんの言葉に、僕はもう迷わない

うん。僕も、そうしたい

最後の瞬間まで、桃くんと

僕の返事聞いて、赤くんが満足気に頷く

じゃあさ、お願いついでに、もう1つ……

朝、雨はやんでいた

頭に鈍い痛みを感じながらも何とか支度を済ませ、冷蔵庫の中に入れてあったそれをカバンに押し込んでから家を出た

青ちゃん!

病院のロビーで僕を見つけた橙くんが駆け寄ってきた。次いで紫くんと黄くんも

桃くんは……

お母さんの方から、午前のうちに意識取り戻して一般病棟に移ったって、赤くんに連絡あったって

面会もできるみたいだよ

よかったぁ…

今日、赤はどうしたんですか?

部活の大会。ほんとは休んでこっちに来るつもりだったみたいなんだけど、桃くんのお母さんに大会に行って欲しいって言われたんだって

桃くんの分も参加してきてって

3人がハッと表情を曇らせた

赤くんと桃くんが大会に出ることになっていたのを、3人も知っている

……会いに行こう、桃くんに

間を置いていった紫くんに、僕達はそろって頷いた

お、来てくれたの?

悪いな、休みの日に

バカ、そんなこと言ってる場合やないやろ!心配したんやで!

だから悪ぃってwww

橙くんに支えられてゆっくり体を起こした桃くんの両腕は何ヶ所も処置がされている

多分先生が言ってたかすり傷だ

後日手術すると言っていた左足は、固定されたうえに高い位置で吊るされていて、目を背けてしまいたくなるほど痛々しかった

大丈夫なんですか?頭とか打ってないんですか?

あぁ。事故のわりに、怪我は軽く済んだから

やっぱあれだな、生まれ持った運動神経のおかげだなw

明日、足の手術して……そこからは回復状態にもよるけど、若いし1週間くらいで退院できるんじゃないかって

笑顔を崩さない桃くんはいつもより饒舌だ

みんな気づいていたとは思うけど、誰もそのことについては触れなかった

当たり障りのない会話をして15分ほど経過したころ

んじゃ、そろそろ帰るわ

不意に橙くんが切り出した

話すのが大好きな橙くん。

桃くんの疲れを考慮しての事だろうと、すぐに分かった

そうですね、桃くんの無事も確認できましたし

入院生活が暇になったら連絡してね。いつでも来るから

言い置いてカーテンの外に出ていくみんなの後に続こうと体を翻したとき、服の裾が引かれた

え……?

青は、もうちょっといて(ボソッ)

きゅうっと胸がなる

桃くんの言葉を聞いた橙くん達が、カーテンの外からニヤニヤと笑った

ほなね、青ちゃんニヤ

青ちゃん、あとはお願いねーニヤ

え……!?

(ふ、2人っきり……!?)

とりあえず、座れば?

ベットの下にパイプ椅子あると思うから

……う、うんストンッ

これじゃ前と反対だなwww

………

昨日は悪かったな!びっくりさせたよな

愛のこと連れてきてくれたって、父さんたち言ってたし、お迎えも行ってもらったし

まじありがとな、助かったわwww

返事する間もなく、桃くんが言葉を続ける

試合で活躍するとか自信満々に言ったくせに、試合会場に行けなくなるとかダセーわ

俺から誘ったのに悪いな

(それが言いたくて僕を引き止めたの……?)

(確かに、みんなの前で話すような内容じゃないけど……)

下手すぎるよ、桃くん

その笑顔が仮面だって、すぐに分かる

無理して……笑わないでよ

……っ

やっとの思いで紡いだ言葉に、桃くんの笑顔が固まった

刹那、その顔かくしゃっと歪む

俺の不注意だったから……弱音を吐くのは違うって考えて

……うん

でも、気持ちの中で折り合いつけらんなくて

唇を強く噛んでいるその姿は、弱々しい

仮面が、壊れた

なんで今なんだよ……っ

ガーゼのあてがわれた手が、ぎゅっとシーツを掴む

やり場のない感情を抱えて、それでも涙を見せないことが、ことさら切ない

………っ

僕は、椅子から立ち上がって桃くんを抱きしめた

あ、お……?

僕が泣いてる時、いつもこうしてくれたでしょ

包むから

桃くんがそうしてくれたように

僕の全てで、桃くんのことを包み込むから

これなら顔、見えないから。我慢しないで泣いていいよ

………バカ、泣かねーよ

ふっと空気を震わせて、桃くんが言う

泣き虫な誰かさんとは違うし?

……悪かったね、泣き虫で
( ー̀ н ー́ )ムス⋯

誰も青とは言ってないだろ

(言ってんじゃん。言外に。)

予想外の切り返しに桃くんを抱きしめながらむくれていると、彼の手が遠慮がちに僕の背中に回された

……青、ありがとな

……ううん

リハビリすればまたバスケできるようになるみたいだし、頑張ってみるわ

……うん

現実と向き合って、前に進もうとしてる桃くんは強い

僕はきっと、桃くんのそんなところに憧れたんだ

ねね、これ食べて

椅子に座り直してから桃くんのに差し出したのは、愛ちゃんと一緒に作ったハンバーグ

昨日作ったんだけど、小さい方は愛ちゃんが作ったんだよ

愛が……?

目を輝かせたまま、桃くんがまじまじとハンバーグを眺める

(やっぱ喜んでるwww)

愛ちゃんがね、僕の分も作ってくれたの!しかも桃くんのより先に

……もしかしてさ、俺に聞いて欲しかったのってそれ?

せいかーいw!

まさか僕のまで作ってくれるとは思ってなかったから、嬉しくってさぁ

作る時一緒にいたのはずるいだろ!

俺がそこにいたら、絶対俺の先作ってたかんな

そんなん分かんないじゃん!絶対とか言いきれないし?

俺は3年もあいつの兄貴やってきてんだぞ!?負けるかよ

じりじりと睨み合い、やがて堪えきれなくなってお互いに吹き出した

んでこんなことで張り合わなくちゃなんねぇんだよw

ほんとだよwww

ひとしきり笑ってから、桃くんは再び視線をハンバーグに向けた

俺がハンバーグ好きなの、覚えてたのw?

……っ、うん!///

(気づいてくれたら嬉しいとは思ってたけど、ほんとに気づいてくれた……)

まじ?さすが青wすっげー嬉しいw

幸せだ、と思った

桃くんのそばに僕がいて、なにげないことで笑ったり、胸を高鳴らせたりできる

赤くんが言ってたみたいに、僕が望むように、当たり前のかけがえのない時間が、最後まで続いていくといいなぁ

あ、そういえばさ

次の土曜、愛と3人でどっか行こうって言ってたじゃん

そんで、行きたいとこ考えたんだけどさ

は!?な、何言ってんの!?そんな体で……!

先生は1週間くらいで退院できるって言ってたけど

それは回復状態が良かったらって、さっき自分でも言ってたじゃん!

それに、今度の土曜だったらまだ1週間も経ってないし!

大丈夫だってwww

別に病気で入院してるわけじゃないんだし、外出許可の1つ2つくらいとれんだろw

桃くんの言葉に、今度は僕が固まった

でもすぐにハッとして、平然とした態度をとる

じゃあ……先生の許可が下りたらね

心配なことも色々あるけど、予定をずらさずに済むならこれほどありがたいことはない

先送りになってしまうと約束そのものを果たせる確率が下がってしまう

で、行きたいとこは決まったの?

海行きたい

え?

俺の好きなとこでいんだろ?海がいい

(え、映画とか、買い物とかあるのに……)

(それをスルーして、なんで海?しかもシーズンじゃないのに)

僕の気持ちを読んだのか、桃くんが口を開く

ずっと部活ばっかだったから、何年も海行ってないんだよ

ショッピモールとかだったらいつでも行けるし、だったら海がいい

でも、天気悪いんじゃない?

今日このあとも降るみたいだし……

天気は心配ねーよ。金曜夜から晴れだってさ

(あ、天気予報までチェック済み……)

わかった。どこの海でもいいの?

うん、海ならどこでも

じゃあ、それはこっちで探しとくよ

桃くんは、明日の手術とリハビリ頑張って、外出許可もらってねー

あぁー、頑張る

(でも、僕も最近海行けてなかったし、嬉しいかも……)

(服、何着てこ…天気予報当たるといいけど……)

(体調……大丈夫だといいな)

そんな考えを巡らせながらも、僕は心を踊らせていた

sakura

ここ今回はまで!

sakura

なんか書いてたら知らないうちに朝になってた……
カタ((((꒪꒫꒪ ))))カタ

sakura

おやすみなさい!(昼夜逆転なう)

sakura

おつさくー!

この作品はいかがでしたか?

673

コメント

8

ユーザー

神っす

ユーザー

投稿頻度高くて嬉しい限りです!!関係ないとは思うけど青くんがバスケが強いという事がいつバレるんだろう?wもしくはバレない?

ユーザー

更新頻度高くて嬉しいです…。 続き楽しみにしてます〜😭

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