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『ターゲット、近すぎ注意報』
人気のない廃ビルの一室。 窓は割れ、夜風がカーテンを揺らしていた。
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なおきりが扉を確かめて戻ってくると、えとは壁にもたれて、ぐったりと座った。
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なおきりは膝をつき、えとの足元に視線を落とす。 ーー服の隙間から覗く、赤く染まった太もも。
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スッと冷たいシートが肌に当たり、えとの体がびくりと震える。
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なおきりの手つきは丁寧で、それでいて優しい。 指先が触れるたび、えとは息を呑んだ。
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なおきりの前髪がさらりと揺れ、額が少し触れそうになる。
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目が合う。 見つめられてるのは、傷じゃない。 心の奥の、もっと深いところ。
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なおきりの声が少しだけ震えた。
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えとは目を逸らしながら、なおきりのシャツの裾をぎゅっと掴んだ。
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一瞬、空気が止まったようだった。 ーー冗談だ、と笑えれば楽だったのに。
なおきりは、黙って、 そっとえとさんの前髪に手を伸ばした。
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そっと前髪をかき上げ、額に手を添える。 ふたりの距離は、指一本もなかった。
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その言葉に、なおきりは小さく笑って、貼った冷えピタの端をそっと撫でた。
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風が吹き抜ける。 けれど、ふたりの間はどこまでも、ぬくもりがあった。
『眠る君の、熱をなぞって。』
部屋は、深夜の静けさに包まれていた。 ほんのり香る紅茶の残り香と、包まれていた。 カーテンの隙間から漏れる月明かりが、ベッドの上のひとりをそっと照らしている
えとさんは、眠っていた。 呼吸は穏やかで、頬にはまだ少し熱が残っている。昼間の戦闘の後、 薬が効いたのか、ようやく深く眠れているようだった。
なおきりは、えとの隣に膝をついた。 そっと視線を落とす。胸元から少しはだけた シャツの奥、包帯が巻かれたあたり。
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自分で手当したとはいえ、敵の毒刃を受けた傷だ。 心配になるのも当然だった。そっと手を伸ばす。指先が包帯の上をなぞる。 慎重に、優しく、体温を感じるかのように。
えとさんのまつ毛が微かに揺れる。寝返りをうったかと思えばーー
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小さく声を漏らした。
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ぽつり、夢の中のような声。目を閉じたまま、 えとさんは体をわずかに捻った。シャツの隙間が、さらに広がる。
その一瞬、なおきりの目が止まる。 傷の縁が赤く腫れている。冷やさないといけない。 そう思いながらも、指先は自然とその肌の近くへーー
す、と。
触れるか触れないかの距離で、彼女の熱を指先に宿す。
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えとさんの声が、もう一度。
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えとさんはうっすら目を開けて、見上げてきた。 いつもより、ほんの少し甘えたような瞳。
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からかうように、でも声は優しく。 えとはふにゃっと笑う。
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そう言って、再び目を閉じる。 その寝顔に、なおきりは少しだけ近づいてーー
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🌷
低く穏やかな声が、夜の静寂に溶けていった。
『共闘開始。呼吸なんて、合うわけないでしょ』
「本日をもって、東ブロック•S機関と西ブロック•C機関は統合される。 これにより、第一任務はこの二人の合同ミッションだ」
上司の低い声が会議室に響く。モニターには、僕ーーなおきりと、えとさんの顔が並んで映し出されていた。
🌷
僕は思わず声を漏らした
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えとさんも、軽くため息をつく。
『敵同士』だったはずの二人が、これからは“同じバディ”として任務を遂行 しなければならない。心の中でつぶやく。 ーー呼吸が合うわけないだろ。
「今日は、なおきりとえと、二人で任務に入ることになった」 指令が届いたとき、正直心臓が少しだけ跳ねた。
僕とえとさんは、ずっと敵同士のまま距離を取ってきたけど、今は同じ組織。 ちゃんと息が合うか、正直不安だった。
現場に着くと、えとさんはすでに鋭い視線を巡らせている。
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彼女の声はいつも通りちょっとだけヤンキーだけど、今日はどこか頼もしさが混ざっていた。
僕は微かに笑いながら、
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と声をかける。 それに対して、えとさんは
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と小さくツッコむ
そんなやりとりの中、最初の敵に遭遇した。 僕らは自然と背中合わせになり、敵の動きを警戒しながら連係プレイを始めた。
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敵をかわしつつ、二人の呼吸が少しずつ合っていく感覚に、 心の中で驚いていた。 しかし、任務の途中でちょっとしたトラブルが起こる。
えとさんがわずかに足を滑らせてバランスを崩しそうになった時、僕はすぐに腕を伸ばして彼女を支えた。
「大丈夫？」と僕が声をかけると、えとさんは少し照れたように笑った。 「なに、なおきりさん、急に優しいじゃん」
僕は苦笑いしつつも、からかいを忘れずに、 「だからって、調子に乗るなよ」と言った。
任務を終えた後、僕らの距離は間違いなく近づいていた。 まだぎこちないけど、これからもっと強いコンビになれる気がした。
コメント
2件
no兄優しすぎんだろぉお ! ! 誰もが惚れちゃうわぁあ ! !🤜🏻💥 この2人のコンビ相性よすぎ ! 🫶🏻 続き待ってます ｰ ! ! 🫰🏻🩷 ̖́-
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