☃️❤の短編集

※主からの前説

ピピピピッピピピピッ

今日は午後から音楽番組でのパフォーマンスがある。

久しぶりにDDをフルサイズ披露する予定だ。

それなのに俺は高熱を出してしまった。

立ち上がった瞬間、激しい目眩と頭痛に襲われた。

フラフラと立ち上がり、薬を飲んだ。

今日のパフォーマンスを楽しみにしてくださっているファンがたくさんいるんだ。

休むわけには行かない。

俺は身体にムチを打ちながら準備をした。

ガチャッ

薬の効果もあってか、今はだいぶマシになってきた。

副作用で若干眠いが。

寝ないようにしないと。

ガチャッ

まずい、ハンバーグなんて食べられる気がしない。

でもみんな食べたがってるしな…

頑張ればいけるか…？？

俺たちは近くのハンバーグ専門店に向かった。

渡辺side

俺は朝から気になっていることがある。

それは涼太のこと。

今日の涼太はなんかいつもより元気がないというか…

どこかがおかしい。

みんな勢いよくハンバーグを食べているのに

涼太だけ箸が進んでいない。

絶対何か隠している。

話す気なさそうだな。

まぁ今日の気候的に偏頭痛かもしれない。

俺が単に気にしすぎな可能性もある。

本人も大丈夫そうだし、俺はこれ以上涼太に何も聞かなかった。

宮舘side

ハンバーグを食べ終わり、楽屋に戻ってきたのだが

さっきからずっと気分が悪い。

まずい。

吐きそう。

やっぱりハンバーグなんて食べるんじゃなかった。

とりあえずスッキリさせたいな…

俺はお手洗いに向かった。

目黒side

午前中に急遽ドラマの撮影があったため、今スタジオに到着した。

楽屋に向かう前にお手洗いに寄ったんだけど…

誰かが吐いている声が聞こえる。

大丈夫かな…

俺は勇気を出して声をかけてみた。

聞き覚えのある声…

まさか…

ガチャッ

出てきたのはやはり、舘さんだった。

でも舘さん、明らかに顔色悪いぞ…

一生のお願いとか言われたら断れないよ舘さん…

大丈夫かな…本当にハンバーグのせいだけなのか…

向井side

ガチャッ

めめとだてが楽屋に入ってきた。

ふとだての顔をみると、少し青ざめているように見える。

そういや、さっきあんまハンバーグ食べてへんかったよな…

体調悪いんかな…？

舘さんのことが少し気になるけど、今はリハーサルに集中せな！

とりあえず俺はリハーサルに向かった。

岩本side

今はリハーサル中。

ダンスの確認をしていた。

いつも通り手を抜かずに踊る舘さん。

でもなぜだろう。少し違和感を感じる。

ただそれは俺の勘に過ぎないから、特に言うつもりもない。

はずだったんだけど…

舘さんがアクロバットをしたとき、なぜか咄嗟に俺はそう言った。

舘さんはもちろん当たり前のようにアクロバットを成功している。

なのになぜか俺は失敗すると思ってしまった。

そう言って微笑む舘さん。

いつもの舘さんだ。

それなのになんで違和感を覚えるのだろう。

結局その謎は解明されないまま、リハーサルは終わった。

宮舘side

ダンスをしてるときはアドレナリンが出ていたのか意外と大丈夫だった。

ただ、ダンスを終えてちょっと時間が経つと、またしんどくなった。

とりあえず薬を飲もう。

そう思ってかばんを開ける。

しかし、そこには薬が入っていなかった。

朝熱のことしか考えてなくて、薬を家に置いてきてしまった。

体温がどんどん上がっている気がする。

身体もさっきよりだるいし。

やばいかも…

そう言って渡されたのは頭痛薬だった。

体調悪いってのが顔に出てたかな…

ぶっきらぼうな言い方をしている翔太だけど、すごく心配してくれているんだと思う。

翔太に心配させてしまったことを深く反省した。

やっぱりこんな優しいみんなに絶対迷惑をかけるわけにはいかない。

みんなに悟られないように、もっと我慢しないと。

俺は改めて決意をした。

渡辺side

涼太のことは気にしないようにしてたけど

やっぱりリハーサルのときに涼太に対して違和感を覚えた。

しかもそれは照も同じらしいから、俺の勘は当たっているだろう。

あいつは何を隠してるんだ…？

涼太がそう小さく呟いたのが聞こえた。

涼太をみると少しだけ慌てた表情でカバンの中を漁っている。

何か探しているようだ。

やっぱり、今日の気候的に偏頭痛かもしれないな。

とりあえず頭痛薬を渡せば、少しは問題解決するかも。

そう思って頭痛薬を渡した。

なんでこいつはいつも謝るかな。

昔から涼太には謝る癖がある。

別に迷惑じゃねぇのに。

涼太は自分を強く見せてるけど、そんなことない。むしろ身体は弱い方。

もっと頼れよ。そう言いたかったけど揉めそうなので我慢した。

そうこうしているうちに、俺たちの出番が回ってきた。

俺たちはステージに向かった。

宮舘side

俺たちの出番は次だ。

頭痛薬は飲んだけど、それでも身体はだるいまま。

少しでも気を抜いたら倒れてしまいそうだ。

俺は気晴らしに軽く水を飲むことにした。

しかし水は俺の喉を通らなかった。

幸いなことに、咳はすぐ止まってくれた。

ついに本番が始まった。

俺は深く深呼吸をする。

しっかりするんだ俺。

100％のパフォーマンスをしよう。

そう心に誓ってステージに向かった。

佐久間side

今日のパフォーマンスも完璧！！

誰もミスをすることなく終えた。

さっきいたはずの涼太がいつの間にかいなくなっていた。

本番中はいつも通りパフォーマンスをしていた涼太。

きっとお手洗いにでも行ってるだけだと思うけど。

翔太のその一言で楽屋が凍りついた。

阿部が涼太に電話してくれた。

みんなの不安はどんどん募っていく。

俺は楽屋の空気に耐えられなくなった。

俺は楽屋を飛び出した。

色んなところを探してみたけど、どこにも涼太の姿は無い。

一体どこに行ったんだ…？

下の階にいるかもと思い、階段に向かった。

俺は涼太を見つけた。

しかしそこにいた涼太はいつもの涼太ではない。

頭から血を流して倒れているのだ。

俺は涼太に触れた。

何回声をかけても反応がない。

どうやら意識がないようだ。

俺はパニックになって何もすることができなかった。

そのとき、メンバーが駆けつけてくれた。

阿部side

佐久間の声は楽屋にまで聞こえていた。

俺たちは慌てて声のするところに向かった。

そこには血の気のない舘さんが倒れていた。

さすがリーダー。対応が早い。

舘さんに何があったか分からないけど、とりあえず今は舘さんを助けないと。

俺は佐久間を慰めながら楽屋に向かった。

深澤side

照とともに舘さんを楽屋まで運び、ソファに寝させた。

そして照が止血を行ってくれている。

3人はそう言って楽屋を出ていった。

ピピピピッピピピピッ

佐久間は静かに涙を流した。

分かっていたはずだ。

舘さんは無理をする人だって。

どんなときでも表情一つ変えずに大丈夫だと言う人だって。

なのに俺たちは舘さんを助けることができなかったんだ。

ガチャッ

救急車を呼んでくれていた翔太が楽屋に戻ってきた。

翔太は若干怒っていた。

翔太の言葉は幼なじみだからこその言葉なのだろう。

翔太だって、舘さんのことが心配でたまらないはずだ。

翔太の目には涙がうっすら見えた。

翔太こそ泣くの我慢してるじゃん。

ゆり組ってやっぱり似てるんだな。

俺は泣きそうな翔太に寄り添った。

ピーポーピーポー

俺たちは病院に向かった。

ラウールside

俺と康二くんが話している時もめめはずっと俯いていた。

めめは俯いたままぽたぽたと涙を流した。

俺はただ、めめの背中をさすることしかできなかった。

でも、康二くんは違かった。

さすが康二くん。

康二くんは岩本くんたちの前だと弟になるのに、俺たちの前だとお兄ちゃんになってくれる。

俺も、もっと強くならないと。

最年少だからっていつまでも甘えてられない。

みんなから頼られる人間になってみせる！！

俺は勢いよく店を出た。

俺たちは舘さんのいる病院に向かった。

宮舘side

ゆっくり目を開けると、見慣れない天井がそこにはあった。

どこだここ？

俺、さっきまで何してたっけ…

俺はいまいち状況が掴めていない。

病院！？

なんで病院なんかにいるんだ…？

高熱…頭に怪我…

そうだ俺はあのとき…

本番中、俺は決死の思いでみんなのダンスについて行った。

倒れないよう、表情に出ないよう、ずっと気を張っていた。

そのおかげか、パフォーマンスはミスなく無事終えることが出来た。

そう思ったのも束の間

俺は激しい目眩に襲われた。

視界がぐらぐらしてて、今俺がどこにいるのかも分からない。

みんなには迷惑をかけたくない。

とりあえずみんなから離れようと思い、フラフラと歩き始めた。

どれくらい歩いただろうか。

みんなの声は聞こえなくなったし、ステージからは離れることが出来たかな。

俺は少しホッとした。

この油断がいけなかったのだろう。

また1歩歩き出したそのときだった。

足に力が入らなかったのだ。

ドドドドドーンッ！！！！

そのまま俺は何かから滑り落ち、頭を強く打った。

意識はどんどん遠のいていく。

俺の小さなSOSなんて届くはずもなく、そこで意識を失った。

みんなが見つけてくれてなかったら、今頃俺はどうなっていたことか…

みんなは命の恩人だ。

いつもかわいいかわいいラウールだけど今日はすごく頼もしく見えた。

ラウールも成長したなぁだなんてしみじみと思った。

宮舘は次の日退院した。

退院後はみんな宮舘に対して過保護になっていて、現在宮舘はとても困っているんだとか。

まあ何はともあれ、めでたしめでたし。