私の居場所は呪術高専

視来の周りには糸に繋がれていた非術師が転がっている

全員心臓を刺されていた

私の術式は対象が死んだら終い…

まさか術式の詳細がバレたのか…⁉︎

足手惑は全部潰した

あとはどうやってあの男の糸を攻略するかだ

ｺﾞﾝｺﾞﾝｺﾞﾝｺﾞﾝ！

視来の口角が上がる

淵濔が、視来の周りを囲む

淡々と話し出す視来

「予己全知」

ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｯ

庭のような結界

主にいちごが植えてある

しゃくっ

視来の口調が変わる

私なんか言った？

「淵濔」

もし私たちが盲目だったら

この世に悪いことなんかない

怪物もいない平和な世界だよと

唄い続けることができたのだろうか

もっと単純で

不鮮明で

人の性根を知ることがなかったら

きっとこの世界は…

とても美しいのではないのだろうか

人間の「エゴ」を知ってしまったから私はここにいる

それを見透かす力を持って生まれてしまったから

私たちはここにいる

理不尽な世界を覆い隠すために

私たちはここにいる

忘れてはいけない

私たちは

私たちだけは

いくら耳を塞いでも

聞きたくないと懇願しても

魂の叫びは

私たちにだけ聞こえてくると

ｶﾞｯ

男を蹴り付ける視来

男の隣に座る視来

モゾモゾと動き出す男

ｺﾞｼｬｯ

視来の長巻が男の太ももに突き刺さる

あいつは確かに20人！

20人の非術師の心臓を刀で刺した！

とんっ

ｸﾞｼﾞｬｯ

ｸﾞﾘｯ

ｽﾞﾎﾞｯ

刀を引き抜く

ｸﾞｻﾞｯ

視来が吐血する

視来の腹に鋭く、腕ほどのサイズに束ねられた糸が刺さっている

ｽﾞﾎﾞｯ

糸が引き抜かれる

ｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞ…

男の怪我が治っていく

いない⁉︎

ぽたっ…ぽたたっ…

天井から赤い液体が降ってくる

ﾄﾞｻｯ

上から、視来が降ってくる

男に馬乗りになる

ﾋｭｯ

男が糸を出す前に、拳を振り上げる視来

ｺﾞｼｬｯ！

ｺﾞｶﾞｯｺﾞｯ

刀を使わずに、拳で男の顔を潰す

ｺﾞｼｬｯ！

男の顔はすでに原型をとどめていない

ｸﾞｲｯ

男の頭を引っ張る

ｻﾞﾝｯ

男の首と胴体が切り離される

ﾄﾞｯ ｶﾞｯ

ｺﾞﾛｺﾞﾛｺﾞﾛ…

男の首が転がっていく

ｸﾞﾎﾞｯ

男の腹に手を突っ込む

ｽﾞﾙﾝｯ

男の血に塗れた呪物を取りだす

非術師を乗っ取った元凶だ

最後にこの男が使ったのは、領域展延だ

あらゆる術式を打ち消す力を持つ

おそらくなんらかの縛りで使用したのだろう

呪物を取り出すために一番手っ取り早いのは

「宿主を殺す」という方法

こうすれば呪物自体も死ぬ

悠仁も同じ手法だ

魔除けにでも使えるかな

先ほど天井に登った時に気づいた

天井が大きく崩落している

プールの底にも死体がある

誰かが戦った後だ

上には体育館があったのだろう

死ぬわ、これ

ﾄﾞｻｯ

倒れ込む視来

天井が見える

反転回そうにもそのための呪力は足りないし…

いやいやいや

んなことしたらただでさえ縛りで短くなった寿命が尽き＿＿

天使が見える

窓の外に、天使が見える

羽が生え、頭の上に光る輪がのっていた

空を飛んでいた

追いかけなければ

出ないと逃してしまう

ぽうっ…

"寿命を削る"という縛りを科された反転術式

走り出す