ここはどこだろう
そよそよと揺れるまだ冷たい風
何かが風に揺れて頬をくすぐる
私、何してたんだっけ?
確か今日はバレンタインで
私は国見にチョコを渡そうとして…
あ、そっか
そこで私、横転してきた車に巻き込まれて…
じゃあ私タヒんだのかな?
でも、なんだか体痛くないし
タヒんでるのに思考が動いてるっておかしくない?
じゃあ、私今幽霊?
目の前にタヒんだ私の体あるのかな?
それはちょっと見たくないなぁ
けど、ずっとこのままも嫌だし
そっと、そしてゆっくり瞳を開く
△△ ○○
目を開いて広がってきた景色は、思い出の野原だった
私はそこに寝そべっていたみたいで夜になりかけの群青色の空が見える
△△ ○○
少し冷たい風がふいて身震いをする
△△ ○○
私は起き上がってパンパンッと身だしなみを軽く整えると辺りを見回す
△△ ○○
でも、国見との思い出の場所なら、走馬灯にはピッタリか
△△ ○○
△△ ○○
?
もう一度辺りを見回していてると、ふと誰かの声が聞こえた
声のした方向を辿ると、野原に座り込んだ男の子と目が合った
△△ ○○
思わずびっくりして目を見開く
そこに居たのは紛れもない国見英だった
△△ ○○
国見 英
小さい国見は怪訝そうな顔で尋ねてくる
△△ ○○
何が起きているか分からないがとりあえず言い訳をしようと考えるが混乱しすぎて何も思いつかない
目線を逸らして誤魔化すようにほっぺをかく
国見 英
△△ ○○
何も答えないのも悪いと思ってとりあえず取ってつけた嘘を言う
国見 英
△△ ○○
△△ ○○
△△ ○○
良い言い訳も思いつかず、結局妙な間が空いたあとしょうもない返事を返す
国見 英
呆れられるかと思ったのに予想外にも国見はふにゃっと笑った
久々に、国見の人に見せないような笑いを見てドキッと心臓が跳ねる
国見 英
△△ ○○
国見 英
国見 英
△△ ○○
△△ ○○
国見 英
△△ ○○
△△ ○○
いきなり詰めすぎたのか、国見は若干怪訝そうな声を出す
国見 英
△△ ○○
国見 英
△△ ○○
△△ ○○
△△ ○○
国見 英
その、少し幼い顔も
まだ声変わり前の高めの声も
タレた目つきも、その口調も
全部、懐かしい
国見 英
△△ ○○
国見 英
△△ ○○
△△ ○○
本当は隣の家だけど、疑われるようなことをしないためにあえて遠い場所を設定する
△△ ○○
そう、たまたまだ
幸せな走馬灯
もう、この時間が終わってしまえば、二度と会えなくなってしまう
最後に神様が与えてくれた幸せな時間
終わらないで欲しい
思い出すことすら出来ないなんて
あまりにも辛すぎる
国見 英
悲しみが表情に出てしまっていたみたいで国見が不思議そうに首を傾げる
少し、ためらった
けど、最期ならいいかな、なんて甘い考えで口を開いた
△△ ○○
国見 英
△△ ○○
△△ ○○
△△ ○○
国見 英
国見 英
△△ ○○
出来るだけ暗い雰囲気にならないようにした
仕方ないよねってふうに眉を下げて笑う
国見 英
△△ ○○
声に出してみたら思いのほか心にズシッときて
涙が溢れそうになる
それを必死に堪えて無理にでも笑顔を作る
国見 英
△△ ○○
国見 英
国見 英
……髪の毛が背中まで長くて、まつ毛が長 くて束感あって…締麗な二重とまん丸の 目…それと
笑顔がすごい可愛かった
でも!!国見くんが好きなのは、年上の人でしょ?!
しかも、名前も知らない、1度しか会ったことない人!!
髪の毛ふわふわまいて
まつ毛は束感あった方がいいね、アイプチで二重幅広げよ
俺が、君を守るじゃ…ダメ?
△△ ○○
私の色んな記憶が蘇っては、全てが繋がった音がした
△△ ○○
△△ ○○
△△ ○○
△△ ○○
我慢していた涙が一筋二筋と滑り落ちる
そうだったんだ
私だったんだ
君を一目惚れさせたのは、私の知らない誰かじゃない
未来から来たタヒにかけの私だったんだ
どんな原理なのかは知らないけど、時空が歪んで、今私は過去にいるんだ
ここは4年前の2月14日
私が失恋した日だ
国見 英
いじけたように頬を膨らます君がとても愛おしく感じる
△△ ○○
△△ ○○
△△ ○○
国見 英
△△ ○○
国見 英
△△ ○○
△△ ○○
△△ ○○
△△ ○○
△△ ○○
△△ ○○
君の惚れた相手の正体が君と長年一緒に居た私と気づいても、もし好きでいてくれるなら
4年間、変わらず思い続けてくれるなら
国見 英
△△ ○○
△△ ○○
△△ ○○
国見 英
△△ ○○
△△ ○○
△△ ○○
△△ ○○
△△ ○○
多分、もうすぐ昔の私が来てしまう
今年こそはと作ったチョコを持って
△△ ○○
国見 英
△△ ○○
私はそっと国見のほっぺにキスをする
国見 英
この約束のおかげで昔の私の未来は変わるかもしれない
だけど、今ここにいる私は、このまま死ぬかもしれない
もう、国見に一生会えないまま何もかも消えてしまうかもしれない
今まで過ごした思い出全部
だから、このわがままをどうか許して欲しい
△△ ○○
私は元気よく手を振って森の中に入る
もう、いつ走馬灯が終わってしまってもおかしくない
きっと、ずっとここにいられる訳じゃないだろう
この時間が終わった時、私がどんな結末を迎えようと
ちゃんと受け止めよう
ぬっし
ぬっし
ぬっし
ぬっし
ぬっし
ぬっし
ぬっし
ぬっし
ぬっし
ぬっし
ぬっし
ぬっし
ぬっし
ぬっし
ぬっし
ぬっし
ぬっし
コメント
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希紀様!伏線回収と言いますか物語の作りがうますぎると言えばいいのかとにかくこの話読んで感動しました あと2話楽しみにしてます!