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早速学校の敷居を跨ぎ
私はクラス表を真っ直ぐ見上げている。ただ、それだけだ。
だから、こんなにも注目を浴びる心当たりはない。
まぁでも、大方予想は着く。
前も言ったように、この高校は中学と大学とくっついている。
多くの人は中学を卒業した時点で別の高校に行く。それも前説明した通りだ。
だけどやっぱり中学から持ち上がりの生徒というものは少なからず存在するわけで。
まぁそもそもあの中学を選んでる時点で、大抵の人は高校に持ち上がり入学目的の人だ。
まぁつまるところ、結局はほとんどの人が持ち上がりだからお互い顔見知りというわけ。
そんな場所ではむしろ私の方が浮いてしまう。
途中からこの高校に編入するなんて物好き、私ぐらいなものだろう。
つまり何が言いたいかって、この辺りじゃ私は見かけない顔だし、わざわざ高校から編入してくるなんておかしなやつだと思われてるというわけだ。
簡単に言えば、ある種の転入生のようなものだ。
私に集まる視線を無視しながらも、教室へと早歩きを始めた。
教室に入ると、やはりここでも注目を浴びる。
正直もううんざりだ。
だけどそれは顔に出さず、何もないような顔をして指定されている席に着く。
私の名字は『柊(ヒイラギ)』だから出席番号は後ろ目。
黒板の席順を見るに、左隣には 『水無瀬(ミナセ)』さんという人がくるようだ。
と、ぼんやり思った後、特にやることもないので常備している参考書を開く。
言わずもがな周囲の人達はわいわいと何かの話で盛り上がっている。
持ち上がりだからそりゃあほとんどの人が友達だろう。
私はやはり、この空間では異質でしかなかった。
だけど私と同じぐらい異質な───いや、いい意味で目立つ女の子が来たのだ。
その彼女が来たのは……入学式の説明を受け、いざ体育館へ行こう、という時だった。
月
先生
彼女が水無瀬さん……?
私の隣の席にあたる人だ。
月
でも彼女、下の名前はなんて読むんだろう?
『みなせ つき』?
月
るな……。
水無瀬 月でみなせ るな か……、
俗に言う、キラキラネームというものか。
でも、いいな。
キラキラネームみたいに、私もキラキラしたかったな。
先生
先生の的確なツッコミにクラス一同は爆笑し、水無瀬さんは照れ臭そうに笑っていた。
ただ一人、私を除いて。
校長式辞やPTA会長式辞、その他色々な人からの式辞を黙って背筋を伸ばして聞いた。
そしてようやく終わりかと思いきや…
生徒会長挨拶
という放送がかかった。
生徒会長の挨拶も聞かなきゃいけないのか……
若干呆れつつも、ステージ上に再び目をやると……
天はやはり、人によっては二物与えるのだなと、思わざるをえなかった。
だってその生徒会長は………
とてつもないイケメンだったからだ。
生徒会長ということは頭もいいんだろうし……
りう
…なるほど、声までいいとなると……天は少なくとも三物以上は与えたというわけか。
りう
りう
さらに性格までいいと……。
なんとはなしに周りの人の様子をみると、周りの女子の目は完全にハートマークになっていた。
ただし、私と水無瀬さんを除いて。
水無瀬さんはただ黙ってステージ上の会長を見つめているが、その顔は少しだけ微笑みを浮かべているような気もする。
そして長い長い入学式がやっと終わり、私たちは教室へと戻ったのだった。
コメント
14件
水無瀬さんッッッ 柊さんッッッ
字の大きさめっちゃ上手く利用してる……
きたああああ