私は中村真優美。 双子の娘の母。
中村 真優美
遅刻するわよ!
花
咲
2人は小学生3年生に なった。
もうすぐあの日から9年経つ。
中村 真優美
旦那
そう言いながら仏壇の写真に 手を合わせた。
今から話すのは9年前に起こった 悲劇と奇跡の話だ。
2011年3月11日...
出産のため入院していた時 私は仕事中の旦那と 電話をしていた。
旦那
産まれるのか!
中村 真優美
パパになるのよ笑
旦那
出産に立ち会えないのが
残念だけど...
中村 真優美
お仕事頑張ってね
旦那
なるべく早く終わらせて
すぐに向かうよ。
中村 真優美
まさか、この電話が 旦那との最後の会話になるなんて その時は知る由もなかった...。
そして...
...オギャア!...オギャア!
助産師さん
助産師さん
私は元気な双子の女の子 を出産した。
中村 真優美
早く旦那にも娘達の姿を見て欲しい と私は楽しみに待っていた。
しかし、午後2時46分...
中村 真優美
大きな揺れが私を襲った。
助産師さん
中村 真優美
助産師さん
ください!!
中村 真優美
助産師さん
安全な場所に避難させています!
助産師さん
私は必死で病室から出た。
促されるがままに高台まで避難した
中村 真優美
助産師さん
ごめんなさい。
中村 真優美
中村 真優美
私はただただ旦那の無事を 祈るしかなかった。
すると...
中村 真優美
助産師さん
大津波が私たちの町を飲み込む
中村 真優美
震災は私たちの生活を 大きく変えてしまった。
震災発生から1日後...
中村 真優美
助産師さん
どうですか?
中村 真優美
助産師さん
会社の方から連絡があったの
ですが...
中村 真優美
助産師さん
こちらへ向かっているそう
なので暫くお待ちください
中村 真優美
中村 真優美
旦那とはあの電話のあとから 連絡をとれていなかった。
そして、旦那の会社の上司が 病室にやってきた。
旦那の上司
間違いないですね?
神妙な面持ちで私に話しかけた。
中村 真優美
中村 真優美
旦那の上司
ついてきて欲しいんです。
中村 真優美
言われるがままに、 私はその後をついて行った。
旦那の上司
部屋に入ると、そこには 旦那の姿があった。
中村 真優美
私はその場でへたり込んだ。 旦那は亡くなっていた。
旦那の遺体の横には 津波に飲まれた 花束があった
旦那の上司
中村 真優美
旦那の上司
仕事を終えた頃に地震が
起ったんだ。収まってから
車でここへ向かっていた時
旦那の上司が涙をこぼし はじめた。
旦那の上司
旦那の上司
発見された...。
中村 真優美
私は悲しさのあまり 涙が出なかった。
旦那の上司
早く病院へ向かわせれば...
こんなことには...
旦那の上司
させてしまった私は...
旦那の上司
旦那の上司は泣きながら 土下座をした。
中村 真優美
じゃないです!
旦那の上司
中村 真優美
しまいました...
目から大粒の涙がこぼれた。
中村 真優美
中村 真優美
私に授けてくれました
中村 真優美
最後の贈り物です...
旦那の上司
私は冷たくなった旦那の 体をしばらく抱きしめた。
中村 真優美
中村 真優美
心配しないで...
中村 真優美
育てるから...
旦那
その時に旦那の顔が 少し笑顔になった気がした。
数日して私は退院し、 娘達をつれて実家に帰った。
母は持病があり、 出産に立ち会うことが できなかった。
母
武さんが亡くなったって...
中村 真優美
中村 真優美
引き換えにね...
母
中村 真優美
考えたの
母
中村 真優美
母
中村 真優美
中村 真優美
中村 真優美
母
喜んでいるよ...
中村 真優美
母
母はそういいながら父親の 仏壇に手をあわせた。
そして、9年後の3月11日 午後2時46分
テレビの音声
中村 真優美
花
咲
震災の犠牲者に黙祷を捧げ 旦那の仏壇へ向かった。
花
咲
のおかげだよ
中村 真優美
これからも...
天国から...
中村 真優美
くださいね...
私達は旦那の遺影を見つめながら 静かに仏壇に手を合わた...。
終わり。
もしこの話を見て 不快に思われる方が いたらごめんなさい。
震災で犠牲になった方々の ご冥福をお祈り申し上げます。







