男
う…
男
ここは…どこだ?
目を覚ますと──
見知らぬ景色の中にいた
男
白い壁…白い天井…
男
こんなの、俺の部屋じゃ…
男
一体ここはどこなんだ?
男
この部屋はなんだ?
男
おーい!誰か!
男
誰かいないのか!?
男
(喚き散らしてみても)
男
(なんの反応も返ってこない)
男
…………
男
とにかく落ち着け
男
まずは状況を確認しよう
男
(白い壁に白い天井)
男
(この部屋には窓も…扉もない)
男
(そんなはずあるか!)
男
(じゃあ俺はどうやって)
男
(この部屋に入ったってんだ?)
男
…何かカラクリがあるはずだ
男
とにかく、部屋を調べよう
男
なんだこりゃ…
男
水と食料…
男
でも…
缶詰やレトルト食品には 『毒入り、危険!』と──
ふざけた注意書きがあった
男
悪戯にしちゃタチ悪いな
男
いや…
男
悪戯じゃないとしたら…
男
誘拐か?
男
俺なんか誘拐したって
男
金なんかねえのによ…
男
でも、誘拐するにしても
男
こんな手の込んだ事するか?
男
人質なら、普通は
男
縛られたりするだろうし…
男
……っ
男
頭が痛い…
男
これは…怪我をしてるのか
男
でも、手当てされてる…
男
殺すつもりはないって事か?
男
余計気味が悪いな…
男
くそ…っ、なんなんだよ
男
何がしたいっていうんだ…
男
ああ、早く帰らないと
男
あれ…待てよ
男
帰るって、一体どこに?
男
…………
男
そもそも、俺の部屋って…
男
一体どんな部屋だった…?
男
え…?
男
(分からない…)
男
(何も覚えてない…)
必死に記憶を思い返しても
自分の住む部屋どころか
家族も仕事も、それどころか
自分の名前すら思い出せない
男
嘘だろ…
男
どうなってんだよ…
男
何も覚えてない
男
俺が今まで何をしていたのか
男
俺が一体何者なのか…
男
職業も、住所も…何も…
男
うう、くそ…頭が痛い
男
訳が分からない…畜生…っ
男
おいっ!誰か!
男
誰か!教えてくれ!
男
俺に何をしたんだ!
男
俺は誰なんだ!?名前は!?
男
目的があるなら教えてくれ!
男
なあっ!おい!
ドンドンドンッ!
男
誰か!いないのか!?
男
見てるんだろう!?なぁっ!
男
助けてくれ!
ドンドンッ!
バンッ!バンッ!バンッ!
男
(いくら壁を叩いても)
男
(どれだけ叫んでも)
男
(何の反応も返ってこない)
男
(それでも俺は叫び続けた)
男
(他に、出来る事がなかった)
男
誰か!
男
誰かーーー!!!