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あれは、俺が39歳のときの出来事だ
つるんでいた仲間が続々と結婚し、 生き遅れていた俺は、 大衆居酒屋に通っていた。
いつでも人が多く、お店の人が 半強制的に相席を促す。
そんな店で何かが始まるのでは ないかと思いつつ、呑んでいました。
しかしこれといって 何かが始まるわけもなく、 40歳の誕生日をあと1ヶ月ほどで 迎えようとしていたある日のこと。
案内された席の端っこに頬杖をついて ハイボールを飲んでいる若者がいた。
ミドル
ワカ
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ワカ
ミドル
ワカ
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ワカ
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ワカ
ワカ
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ワカ
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ワカ
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ワカ
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ワカ
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ワカ
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ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
ワカ
それから俺たちは、 たまに一緒に飲むようになった。
ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
ワカ
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ワカ
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ワカ
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ワカ
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ワカ
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ワカ
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ワカ
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ワカ
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ワカ
ミドル
ミドル
ミドル
ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
中学時代のある日、 俺はクラスのマドンナ 「美波さん」に呼び出された
美波さん
ミドル
なんで彼女が俺なんかを 選んだのかわからなかったけど、
クラスのマドンナからの告白は 最高だった。
まぶしい日差し、 グラウンドの砂の匂い、 校庭に吹いていた爽やかな風…
この世界のすべてが 俺を肯定しているようで 今思い出しても最高に心地良い
それから彼女とは度々デートを重ねた
当時俺の住んでた街で唯一、 中学生にも許された デートスポットといえば ショッピングモールだった。
美波さん
ミドル
美波さん
ミドル
ミドル
ミドル
美波さん
ミドル
美波さん
ミドル
美波さん
美波さん
ミドル
さらに僕らは、朝早く登校して 誰もいない教室で会うようになった
たわいもない話をするだけなんだけど 幸せの時間で、 なんだか不思議な時間だった
他の人には見えない 時間と空間の隙間にいるようだった。
神様が他の人を配置し忘れて、 僕たちだけが取り残された。 そんな錯覚をするほどだった。
結衣
ミドル
結衣
ミドル
結衣
そう言って彼女は教室のドアを開ける
ミドル
俺も廊下を見たけど、 まだ誰も来ていない
結衣
ミドル
結衣
ミドル
結衣
本当だった。 本当に廊下の向こうから 先生が来るのが見えた。
ミドル
結衣
結衣は俺の袖を掴み、 教室に引き戻した。
結衣
そして自分だけ教室から顔出して、 大きな声で先生を呼んだ。
そして再び俺を見つめてこう言った。
結衣
ミドル
ミドル
ミドル
結衣
ミドル
ガラガラガラ
教室のドアが開いた
ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
ワカ
結衣
結衣にそう言われて、 ビル街を2人歩いた
美波さん
ミドル
結衣
ミドル
結衣
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結衣
ミドル
結衣
ミドル
結衣
ミドル
結衣
結衣
歩道の向こうには芸能事務所の 看板が見えた
結衣
ミドル
結衣
ミドル
ミドル
思いのほか早く信号が変わった
前に進む彼女を引き戻すことが できなかった
ての力を少し緩め足早に 彼女を追いかけるのがやっとだった
結衣
ミドル
結衣
結衣
ミドル
結衣
ミドル
結衣
彼女は僕の声を遮るように言った
結衣
ミドル
俺は彼女を止められず、 なぜか5000円を貸した
結衣
ミドル
結衣
結衣
俺は結局もう一度待ってと言えず、 彼女の背中を押した
俺の力が後押しになったのか わからないくらい 彼女はしっかりとした足取りで、 事務所に入っていた
ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
空に係る広告塔を指差す。 輝き続ける彼女の笑顔
ワカ
ミドル
ワカ
ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
ミドル
ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
ワカ
ワカが走り出した瞬間に手を上げた
それと同時に、少し減速したから 俺はワカを追い抜いて 次の電信柱で止まった
少し遅れてついてきたワカが言った
ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
ワカ
ミドル
ワカ
ワカ
ワカ
ワカ
ミドル
俺は39年間の人生で初めて 男にキスをした
ワカの唇がやけに柔らかくて 溶けて消えていくような錯覚を覚えた
ふわっと風にさらわれるように、 ワカの唇は俺から離れた
不本意ながら、タクシーの運転手に 愛想良く話しかけるその唇を 見つめ続けていた