葵
マジでどうしよう
葵
灰谷先輩……って確か女子にも容赦ないとか噂あるんですけど
春千夜
逆さまにして窓から
吊るされるかもな
吊るされるかもな
葵
なんでそういうこと
言うの??
言うの??
葵
思いやりって知ってる??
春千夜
オモイ…ヤリ…?
葵
初めて言葉を覚えた宇宙人
かよ
かよ
葵
真面目に私、明日の朝日を拝めないかもしれないんだけど
春千夜
ご愁傷様(笑)
葵
貴様縁切るぞ
春千夜
は?オマエに縁切られたら俺はこれから誰にマイキーの話をしたらいいわけ?
葵
知らねーよ
逆ギレすんなし
逆ギレすんなし
葵
あと今ので友達の少なさが露見したけど大丈夫な感じ?
春千夜
大丈夫じゃないんだが
春千夜
人が気にしている事を…!
葵
気にしてたんだ
春千夜
でも俺にはマイキーがいるし
葵
それ絶対相手は友達だと
思ってないやつじゃん
思ってないやつじゃん
春千夜
マイキーを侮辱するか
テメェころすぞ
テメェころすぞ
葵
どちらかと言うと
侮辱したの君の方なんだわ
侮辱したの君の方なんだわ
なんて冗談(?)を言いながら 歩いていると
変な輩に声をかけられた。
君ら超かわいーね!
えー、2人とも
めっちゃ美人じゃん
めっちゃ美人じゃん
特に黒マスクしてる方、
俺タイプだわ〜
俺タイプだわ〜
俺らとちょっと遊ばない?
特別に奢ってあげるよ!
葵
………
春千夜
………
2人で無言で 目を合わせて相談する。
葵
(だってさ。遊んであげたら?)
春千夜
(ふざけんな。誰が野郎となんか)
葵
(モブ×美少年か……
私的には全然アリ)
私的には全然アリ)
春千夜
(二度と妄想できねぇ
頭にしてやろうか)
頭にしてやろうか)
いざとなったら 防犯ブザーを鳴らそう。
気のせいか、頭の中に グッと親指を立ててゴーサインを 出している弟が浮かんできた。 (気のせい)
………あれ?ちょっと待って
は?なんだよ
こっちの子……灰谷さんから来たメールの女の子の特徴と似てね…?
葵
ゑ
!?ほんとだ!
春千夜
あ、やべ
その瞬間
クロさんが私の首根っこを 掴んで走り出した。
春千夜
とにかく走れ!
春千夜
転ぶなよ!
あ、待てよ!!
追いかけろ!!
後ろの人達が慌ただしく 追いかけてくるのを横目で見ながら 走っていると
前を走る美少年の髪が一房 頰に触れて
爽やかなシトラスの香りがした。
額の汗を拭って ようやく立ち止まる。
クロさんは肩で息をしながら チラリとこちらを見た。
春千夜
クソ…灰谷の情報網舐めてた…
葵
マジですみません…
春千夜
貸しひとつな
葵
はーい…
巻き込んでしまった……
昨日の先輩の気持ちがよくわかる。
ものすごく申し訳ない
軽く落ち込んでいると
急にクロさんは掌を 私に突き出した。
春千夜
ん
葵
え?
春千夜
スマホ出せ、スマホ
葵
え、あ、はい?
大人しく出すと トントンと慣れた手つきで操作して
やがて満足そうに私に返した。
春千夜
俺の連絡先入れといたから
春千夜
なんかあったら呼べば?
春千夜
気が向いたら行ってやるよ
この人は どこまでいい奴なのだろうか
感動して思わず貢ぎそうになった。
葵
え、推しになりそう…
春千夜
俺で妄想したら殴り殺す