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橘靖竜
るしゅ
45
鬼霧宗作
#4 善い人、悪い人
放課後、図書室
水分を含んで重たくなった 気体が空間を満たしている。
いつも校庭で練習をしているサッカー部も今日は姿がないので
水溜まりの表面が揺れるのを
ぼんやりと眺めていた。
彼
いつもの如く すこし遅れて現れた彼
私
私
普段は雑誌しか読まない彼が 今日は文庫本を手にしている。
彼
私
私
彼
彼
見直しました、と大して思っていないことを口にすると
それと同じくらいの温度で うるさいよ、と返された。
私
彼
彼
彼
彼
私
私
私
彼
彼
彼
知ってて一緒に居たんだから共犯みたいなもんか、と彼は続けた。
共犯、悪人、 全てを知りながら共に逃げる女。
彼が何気なく放った単語たちが 妙に脳に響いて消えない。
私
私
私
きっと答えなんてない質問
考えたって仕方のないこと
しかし無性に 彼の答えが聞きたかった
彼
彼
彼
ページをめくりつつ 愛だねーと冷やかした彼は
本当にそうだと 思っているんだろうか
私
私
私
彼
彼
彼
彼
彼
彼
彼
彼
私
私
私
私
私
私
私
私
私
私
私
私
私
私
私
私
私
私
私
彼
彼
指先で本のページの端をなぞりながら呟く彼を見ていて
ふと、気がつく。
彼から本の概要を聞いたとき
その単語ひとつひとつが やけに耳に残った理由
気が付いてしまったのだ。
人を殺めた男と
それを知りながら 共に逃げる女
わたしはそれに よく似たふたりを知っている
私
私
私
私
彼
彼
彼
彼
じっとこちらを見つめる瞳
彼が何を思っているのか 私には到底、
私
彼
彼
彼
彼
私
私
彼
彼
私
私
窓ガラスの向こうよりも 少し乾いた秘密基地
善か悪かすらも判断し得ない、
誰も知らないふたり
きっと
本だけが真実を知っている
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