暇72
暇72
いるま
暇72
暇72
俺は黙りこくった
言うわけ無いだろう
いや
口が裂けても言えねーよ
おまえに見惚れてたなんて
正確に言うと
俺が見惚れたのは彼の“瞳”だ
とても綺麗だと思ったから
吸い込まれそうな真っ赤な瞳
窓に打ち付ける雨粒が映って
まるで
瞳の中で雨が降っているようで
とても神秘的な光景だった
あの瞳は
俺の怒りさえ消し去ってしまった
心の曇りが一気に晴れるあの感覚
俺を救った一筋の光
あれには反抗できないなぁ
暇72
暇72
暇72
俺の目の前にいるのは
俺よりも一回り小さな少年
随分と幼くなって…
いるま
俺は彼の頭をくしゃくしゃと撫でた
暇72
いるま
暇72
暇72
俺は彼をひょいと持ち上げ
自分の膝に座らせた
ソファの横の棚から櫛を引き寄せ
彼の髪をとかす
ちゃんと乾かしていなかったから
毛先が絡まりまくっていた
いるま
暇72
暇72
いるま
暇72
いるま
暇72
なつはあまり納得していないようで
不貞腐れた
いるま
いるま
手を動かしながら
俺はなつにある話を持ちかけた
いるま
暇72
いるま
暇72
いるま
いるま
いるま
いるま
暇72
彼は急に俺の方へ振り向いた
目が輝いている
いるま
いるま
暇72
彼の顔を元の位置に戻して
また髪をとかす
暇72
暇72
俺は少し間をおいてから
いるま
そう告げた
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いるま
暇72
なつは少し考える姿勢を見せてから尋ねた
暇72
待ってましたその言葉
俺は髪をといている手を止め
なつを膝から下ろして立ち上がる
いるま
言われた通りいるまの後ろをついていくと
彼は台所のシンクの前で止まった
なにするんだろう
ここに何か隠してるのか?
調べ物を手伝ってほしいと言い
いるまは立ち上がった
これまでいるまが調べてきた資料でも
見せてくれるのだろうか
なんだろう
不思議とワクワクしてきた
頼み事をされるのは悪い気分ではない
いるま
いるま
俺が2歩ほど後ろに下がると
いるまはしゃがんで
シンクの下にある棚の右端に手を添えた
さて
何がでてくる?!
暇72
声が裏返る
目の前に突然階段が現れたのだ
さっきいるまは
棚の引き出しの右端に手を当てて
いるま
軽く押した
すると突然目の前に階段が姿を現したのだ
どうなってんだ…?
魔法か?これ
何回見てもわかんねー
いるま
いるまがいたずらっ子のような笑みを見せる
この男は俺の反応を面白がっていた
少し幼さを感じる
大人びた振る舞いをするいるまだが
所詮は俺と同世代
やはりこいつもまだ子供なのだと安心した
いるま
いるま
俺が考え事をしている間に
いるまはさっさと階段を降り始めていた
俺は慌てて彼の後に続く
トントントン…
階段を降りる足音が
反響してよく聞こえる
少し不気味だ
いるまも俺も
何も話さなかった
階段を降り始めて
どれくらい経っただろうか
辺りは真っ暗
いるまが魔法で出してくれた炎のお陰で
なんとか前に進むことができている
暗いところは苦手だ
昔の記憶が嫌でも蘇ってくるから
左手で自分の右肩を掴む
あんな経験は二度とごめんだ
心なしか気温が下がったように感じる
寒気がした
さっきまでのワクワク感は見る影もない
暇72
頭がおかしくなる
今にも叫び出してしまいそうだ
そんなときだった
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壊れるすんでのところで
右手に温かな感触を覚える
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自然とあの人の顔が思い浮かび
名前を呼びかけたとき
いるま
俺は正気に戻った
いるまが声をかけてくれたおかげだろう
俺の手を握ってくれたのは彼だった
いるま
俺が怖がっているのを
感じ取ったのかもしれない
俺は返事をする代わりに
彼の手を強く握り返した
ほどなくして
俺たちは大きな扉の前に着いた
いるまは躊躇いもなくそれを開け放つ
扉を開けたと同時に
部屋に灯りがついた
さっきまで暗がりの中にいたせいで
俺の瞼は開くことを拒否している
それでも俺は無理やり目を開けた
知りたかったから
いるまが初対面の俺に頼むほど
手伝ってほしい調べ物とは
一体どんなものなのか__
いるま
いるまは隅に置いてある 木製の椅子を指差した後
部屋の奥へと姿を消した
俺はその椅子に腰掛け
辺りをぐるりと見回す
椅子が1つと机が1つ
その他は全て本棚で埋め尽くされていた
本棚に立ててある本の題名は
俺には全く読めなかった、が
小難しい内容であることは
容易に想像できる
大量の本をぼーっと眺めていると
本棚の隙間から紫色のアホ毛が微かに見えた
いるまが戻ってきたようだ
いるま
彼はこちらまで歩いてきて
両手で抱えていたものを机の上におろす
ドスン、と音がした
嫌な予感
暇72
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いるま
いるま
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30冊は軽く超えている
ちょっと多すぎやしませんか
いるま
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更に追い打ちをかけられ
そんな感想をこぼす
いるま
いるま
いるまは古びて黄ばんだノートの中から
比較的綺麗なものを俺に手渡した
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ぼやきながら立ち上がり
そのノートを受け取った
表紙に目を落とす
……え?
いるま
俺はノートを開(ひら)けずにいた
いるまが心配そうに声を掛けるが
そんなものは俺の耳には届いていない
俺は自分の目を疑った
何度も何度も表紙を見返す
ノートの表紙にはこんな見出しがついていた
「大戦記録 No.67 -人造兵器開発-」
コメント
3件
いくらでも読めるww続きいつかな〜
やばい!漢字が読めない!←馬鹿がお一人