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太宰

…水湊くんの容体は?

与謝野

もう勝手に右腕が復活してる

与謝野

体はちゃんと動かせるだろうし

与謝野

日常生活に問題はないよ

与謝野

だけど…

太宰

…うん、わかった

与謝野

随分悲しんでるな

与謝野

社長の異能力でもう水湊は助かった

与謝野

正式に探偵社員として認められた

与謝野

それなのに、なぜ?

太宰

調べたんだ、彼のこと

太宰

どうやら異能力のせいで親に暴力を振られていたらしくてね

太宰

ずっと1人だったって

太宰

それに,今回は水湊くんだけが攻撃を受けている

太宰

我慢させた上に、こんな怪我までさせてしまった

太宰

彼が落ちたあと、私の手に違和感があった

太宰

みてみると、「守」の文字が浮かんでいたんだ

太宰

同じ時間帯、淳くんと国木田くんにも同じ文字が浮かんだらしい

太宰

私たちを守るために、毒を喰らって大怪我をして

太宰

それに悪夢や呼吸困難、意識がなくなったり

太宰

…彼には背負わせ過ぎてしまった

与謝野

別に、そんなに思い悩む必要はないんじゃないか?

与謝野

太宰のおかげで人を救うという結論に至った

与謝野

きっと、水湊は「太宰さんは何も悪くない」って言うぞ

太宰

…そうかな

与謝野

そんな辛気臭い顔をしてると、国木田に怒られるぞ

太宰

それは勘弁だね…w

太宰

…ゆすったら起きたりしない?

与謝野

やってみるかい?

与謝野

それなりの言葉をかけたら

与謝野

きっと水湊に届く

太宰

私は水湊くんの体を揺らした

太宰

起きろ、

太宰

起きなきゃ、良い知らせを教えないよ?

水湊

太宰

…ま、起きないか

太宰

じゃあ与謝野さん

太宰

私は国木田くんとお話してくるよ

与謝野

嗚呼、

1ヶ月後

水湊

…ん

水湊

…?ここは…

水湊

あ…右腕治ってる

水湊

与謝野さんの異能力かな

水湊

じゃあここは探偵社?

水湊

…ま、歩いとけばなんとかなるか

水湊

あれ?誰もいない…?

水湊

任務かぁ…

なんで、生きてるんだろ

死に時だと思ったのに

水湊

水湊

太宰さん、隠れなくていいよ

太宰

太宰

君は、死にたいかい?

水湊

…うん

太宰

なぜ?

水湊

…なんでだろ

水湊

死にたい…っていうか、わかんないんだ

太宰

わからない?

水湊

うん

水湊

死にたいのかって聞かれるとそれはない

水湊

けど…生きたいかって聞かれても、それも無い

水湊

だから多分、消えたいんだろうね

水湊

痛いのは嫌だ

水湊

だけど、生きたくはない

水湊

…やっぱりわかんないかな

太宰

…一応聞くけど

太宰

過去になにがあった?

水湊

…わかってるんでしょ?

太宰

確認のためだ

水湊

…まぁ、いっか

水湊

親に捨てられた

水湊

それだけだよ

太宰

それだけで君は人を殺していたのか?

水湊

別に殺すのに理由なんてないから

太宰

君は人に何か感情を持っていたんじゃないのか?

水湊

…どうしてそんなこと聞くの?

太宰

確認のためだよ.さっき言っただろう?

水湊

…人間は嫌い

太宰

どうして?

水湊

何でもいいでしょ

太宰

よくないから聞いてるんだ

水湊

…めんどくさい

水湊

体が痛いから僕は寝る

太宰

それは虐待の傷のせいかい?

水湊

ッ…!

太宰

君は親から虐待を受けていた

太宰

そしてもう使えなくなったから

太宰

捨てられたんだろう?

水湊

…そうだよ

回想

両親

お前なんて産むんじゃなかったッ!

両親

俺らの前から消えろッ!

水湊

ッ…

捨てられて

水湊

あ、の……

親の兄

あ"?

親の兄

なんだ、お前か

親の兄

なんだ?

水湊

捨てられて…

親の兄

で?

水湊

え…ッ

親の兄

別にどうでもいいんだよw

親の兄

お前はあいつの子供だから利用価値があっただけだっつーの

親の兄

わかったならさっさと消えろ

信頼してた人にも 見捨てられて

殺人犯

や、やめろ…来るな…ッ!

水湊

なんで?

水湊

いいでしょ?別に

殺人犯

やめろぉぉぉぉ"ッ…!

グサッ

殺人犯

あ"……ッ

人を殺して、その依頼者に 金をもらう

俺はそうやって生きてきた

愛とか、優しさとか そんなのどうでもいい

俺は俺のために人を殺す

それでなにが悪い?

だって、みんなそうだろ?

だって、人を捨てれるくらいなんだ

このくらい、普通のはずだ

水湊

…それだけだよ

太宰

調べた情報では

親は彼を刺したり 蹴ったり殴ったりしていたらしい

だけどそれ以上に

捨てられたと言う事実が 何よりも重かった

太宰

君は辛くなかったのかい?

水湊

…わかんないよ、そんなの

水湊

でも、

水湊

楽、だった

水湊

それに加えて、やっと死に時が来たと思った

水湊

なのに…

水湊

僕は…死ねなかった

太宰

違うだろう

太宰

あの時、君が見せた表情は

太宰

助けを求めている、そんな顔だった

水湊

え…?

太宰

それでも、自分の命よりもあそこにいた人たちの命を優先した

太宰

死に時を探してたんじゃない

太宰

君は必死に、生きる意味を探してるんだ

太宰

自分で気づいていないだけ

太宰

いや、本当はわかっているはずだ

太宰

それを否定しているだけだ

水湊

…なに、それ

水湊

太宰さんに僕の何がわかるっていうの?

水湊

何にも知らないくせに…

水湊

僕が今まで経験してきたことなんて、何一つわかんないくせにッ…!

水湊

偉そうに物言うなよッ!!

太宰

…!

水湊

アンタだってほんとは僕のこと、笑ってる…ッ!

水湊

僕は誰だって信用できないッ!

水湊

生きる意味?気づいてないだけ?なんだよそれッ

水湊

僕のことは一番僕がわかってるッ…!!

水湊

なのに知ったような口聞いて…

水湊

僕が苦しかったこと、わかんないくせになんなんだよッ!!

水湊

…助けとか、いらない

水湊

今更そんなの、誰もくれないだろッ!

水湊

それに、愛してるとか言いながら結局は嘘ばっかりじゃんッ!

水湊

わけわかんない…ッ

太宰

水湊、くん…?

水湊

こんなんだったら…

あの時に、死んでればよかった…ッ!

太宰

っ…!

顔を上げると、 太宰さんが驚いた顔をしていた

僕、今…何を言った?

せっかく、助けてもらったのに

水湊

っ…ちが…

水湊

ごめっ…なさい……ッ

太宰

…水湊くん

水湊

太宰さん…っごめんなさい…ッ!

すると、僕は温かい感触に 包まれた

水湊

っ…え…?

太宰

確かに私は君のことを調べただけで何も知らない

太宰

それなのに、気づいていないとか勝手に言ってしまった

太宰

…すまなかった

水湊

っ…違う…っ僕が…!

太宰

違わない

太宰

大丈夫だ、君は間違ってない

太宰

苦しかったよね、辛かったよね

太宰

もっと早く助けてあげれなくて、

太宰

もっと苦しませて、ごめんね

水湊

僕、が…っ

太宰

君は悪くない

太宰

だから、そんな風に自分を責めないでくれ

水湊

っ…

太宰

言ってくれれば私はいつでも君を助けに行く

太宰

だから、消えようとするな

太宰

死のうとするな

太宰

ここでは、みんなが君を迎えてくれる

太宰

みんなが君を待ってくれている

太宰

もう、前とは違うんだよ

太宰

…大丈夫かい?

水湊

っ…う、ん…

水湊

ありが、とう…っ

太宰

嗚呼

太宰

あ、そういえば

水湊

太宰

君、正式に探偵社員になったよ☆

水湊

…へ?

国木田

おい太宰、突然すぎだ

福沢

さすが太宰、といったところだな

太宰

社長そんなに褒めなくても〜♪

乱歩

今のをどうやったら褒めてるように聞こえるんだ…

水湊

あの…

水湊

なんで、僕が

福沢

お前は任務の時、たくさんの人を救った

福沢

それが一つ、それと

福沢

太宰がどうしてもとうるさいからな

水湊

え?

太宰

言わない約束だったじゃないですか〜

太宰

…まぁ、そうだね

太宰

私的にどうしても君を救いたかったから頼んだんだ

水湊

僕、を…?

太宰

君は自分よりも人を優先する

太宰

それはいいことだけどね

太宰

君のそれは度を超えてるんだ

太宰

死ぬ寸前でも人を優先した

太宰

君は自分のことを後回しにしすぎて

太宰

消えそうだって、思ったからね

そっか…僕,変な心配させてたんだ

…水湊くん

僕もね、昔から嫌われてたんだ

だけどここに来て、僕を必要としてくれる人たちと出会った

それに僕自身も、僕を生きたいと思ったんだ

だから、きっと水湊くんもそう思えるはずだよ

今は違っていい

少しずつ、自分を好きになってみたらどうかな?

…って、僕が偉そうに言えることじゃないけどねw

福沢

水湊が最終的に探偵社に入るかどうかは水湊自身が決めることだ

福沢

どうだ?

福沢

無理に入れとは言わない

福沢

お前は、どうする?

僕は、どうしたい?

前みたいに、1人で生きていくのか?

…人のことを優先するのは、疲れる

実際、あの任務で僕は死にかけた

いや、与謝野さんがいなかったら とっくに死んでた

あれはあそこにいた人たちのせいじゃないんだ

でも、痛かったのは────

…違う

僕は、人を救う立場になりたい

あの時、そう思ったから 太宰さんについてったんだ

それを今頃否定してどうするんだ

僕は人を守る そのためにこの異能力を使う

なら、答えは一つしかない

水湊

…僕は

水湊

今まで家族に憧れて

水湊

同時にその人たちを妬んだ

水湊

その度に自分がどうしようもなく嫌になってた

水湊

この異能力もなにもかもが嫌いだった

水湊

それでも僕は

水湊

この僕を生きるしかないから

水湊

それだったら、少しでも人を守ってみたい

水湊

絶対に守れるか、なんて聞かれたら答えられない

水湊

もしかしたらまた、人を妬んで恨むかもしれない

水湊

でも今はそんな気持ちはない

水湊

僕が辛かったこと,悲しかったことが他の人達が少しでも感じなくなるように

水湊

たくさんの人が幸せでいられるように

水湊

そんな風にしていきたい

水湊

…僕は,無力だけど

水湊

それでも、太宰さんやみんなと一緒にいてもいいですか…?

福沢

…嗚呼、もちろんだ

福沢

それに、無力なんかじゃない

水湊の頭に福沢の手が置かれる

福沢

きっとたくさんの人を守れる

福沢

俺は、そう思う

水湊

…!

国木田

一応言っとくがお前が無力なら俺たちはなんなんだってなるぞ

乱歩

そうそう、三つ持ちなんてチートじゃん

太宰

水湊くん

水湊

太宰

これからよろしくね

水湊

水湊

はい!

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