______!
何かが聞こえる
ーーー!
誰かの声と
ハー…、ハー…、ヒュッ…、ハー…
苦しそうな息遣い
……nつ!
あれ……
なつ!
俺の、なまえ?
薄っすらと瞼を開ける
俺の瞳はすぐに
とある人間の輪郭を捉えた
ぼんやりとしていて誰かは特定できないが
アホ毛が特徴的で、、、
紫色の………
こども、かな
俺より三回りくらい小さくて
ガキのくせに妙に大人びてて
ちょっと生意気な……
徐々に目のピントが合う
いるま
いるまがこちらを見下ろして叫んでいた
俺を呼ぶ声はいるまのものだったようだ
何だよその表情
まるで俺が死ぬみたいな顔して
大丈夫だよ
少ししたら、呼吸落ち着くから
そう言いたかった
でも
暇72
声が出ない、出せない
俺はただ咳き込むだけだった
それどころか
まともに呼吸することさえ困難だ
あれ
呼吸って………
どうやってするんだっけ((焦
そうだ、まずは吸わなきゃ
俺は目一杯空気を吸い込む
しかしどれだけ多く吸っても
声が出ることはなかった
はっきりしていた視界に
靄(もや)がかかり始める
なんで、なんでなんでなんでっ!!
俺は焦る
いるま
暇72
早く、、、早くいるまに言わないと!
大丈夫って
心配すんなって
じゃないとこいつは………
if
俺の耳が
いるまではない第三者の声を拾った
この声質…
視界に映る色が
紫から青に変わる
if
いふ、さん?
if
自分の状態を掴めていない俺は
とりあえずいふさんの言う通り
ゆっくりと瞬きをした
if
なんとか聞こえることは伝わったようだ
いふさんは話し始める
if
if
過呼吸?!俺が?
if
if
んじゃ、、、どうすれば
if
if
if
息なんかすでにたくさん吸ってるよ
でも苦しくなるだけで…
if
暇72
if
俺はいふさんの声圧に押され
指示に従った
でも…
暇72
吸え、な……
if
暇72
無理、しんどい、苦しい……
if
if
暇72
if
暇72
ごちゃごちゃ考えるのはやめだ
俺は呼吸に集中した
深呼吸を一回するごとに
息がしやすくなるのが分かる
俺は何度かそれを繰り返した
if
暇72
if
暇72
if
if
暇72
暇72
出た、声が出た……!!!
if
if
そう言っていふさんは
俺の頭を優しく撫でてくれた
暇72
声が自然と出たことに驚きすぎて
お礼がカタコトになってしまってたが
もうこの際どうでもいいか
やっぱすげーな、いふさん
俺は思った
常人ならいるまのように パニックになるあの状況下で
よくあんなに冷静でいられたものだ
いふさんがすごい人だということは
3年間顔を合わせていた経験から知っているが
今日俺は改めて
その凄さを痛感させられた
ところで
なぜ今俺は床に倒れているのだろう
そんなことを思いながら
ゆっくりと体を起こす
途端に
俺は温かな感触に包まれた
背後から何者かに抱きしめられている
だが俺には分かる
一体誰が俺を抱きしめているのか
後ろを振り向くまでもない
暇72
彼は何も言わない
少しずつ締め付けが 強くなっている気はするのだが…
苦しくなってきた
ちょいと力が強すぎやしませんか
でも、少し嬉しい
あ、別に俺はМなわけじゃないぞ!!
昔から感情表現が苦手で不器用ないるまが
彼なりの表現で気持ちを伝えてくれている
このことこそが嬉しいのだ
俺は先ほど言いたかった言葉を
彼に伝える
暇72
暇72
やはり彼の口は閉じたままだ
だが彼は返事の代わりに
抱きしめる力をいっそう強くした
そろそろ首が千切れる……w
暇72
俺は先ほどから抱えていた疑問を
彼にぶつけた
彼は返答する
いるま
落ちた、か…
では何故俺は椅子から落ちたのか
まあ、心当たりが無いこともない
暇72
いるま
暇72
俺たちの主語のない会話が理解できず
いふさんはオロオロしていた
いるまがいふさんに
ことの経緯を伝える
彼が言った内容を簡単にまとめるとこうだ
調べ物に疲れて眠った俺は
悪夢に魘(うな)されて動いた結果
座っていた椅子から落ちてしまった、と
いるまは追加で
俺が悪夢を頻繁に見ること
悪夢から覚めると
息が荒くなりがちであることを
いふさんに説明してくれた
いるま
if
いふさんは終始目を見開いて
いるまの話を聞いていた
俺の知らない情報がどんどん出てきて
驚いているのだろう
3年間ほぼ毎日会っていたとはいえ
こんなことまではわざわざ話さない
そもそも俺が頻繁に悪夢を見始めたのは
ここ最近の話だ
if
if
暗くなってしまった雰囲気をどうにかしようと
いふさんは少しおちゃらけて話す
魔力反応?
いふさんの言葉が引っかかった
if
俺も知りたい
いるま
いるまが再び口を開く
俺が椅子から落ちて床と激突する寸前
いるまは咄嗟に水のクッションを出現させ
俺を衝撃から守ってくれたらしい
if
if
いふさんが頷く
この大図書館では
魔力の使用が原則禁止となっているため
魔力反応があれば
館長室に知らせが届く仕組みになっているそうだ
魔力反応を確認したいふさんは
俺達に何かあったのかと思い
急いで駆けつけて来たのだとか
なんか、申し訳ねえな
全ての疑問が解けた俺は
しょぼくれた
俺が睡魔に負けたばかりに
二人の人間をも巻き込んでしまったのだ
if
if
暇72
if
いふさんは俺をフォローしてくれるが
俺は申し訳無さでいっぱいだった
真っ赤に染まった両手が
脳裏にこびりついて離れない
あの夢は
一体何なのだろうか___
コメント
1件
うぉ.....神作...... 次回......楽しみ.......頑張って.......(?)