夜明けのフーガ

前回のあらすじ

菜沙、ベイリー不在の中、梨花と奈伊亜が姿を消してしまったことを伝えられた瑠夏達

その瞬間後ろからトントンと肩を叩かれる感触があり、振り返るとそこにはベイリーが立っていた

ベイリーが指を指した先は、入口とは反対側で扉が確かにあったが、入口の3倍ほど小さいく、こじんまりとしていた

さらに風景と同化しているのも相まってか、よく目を凝らさなければ分からないほど見ずらい扉だった

そんなこんなで戦争(ただの殴り合い)をする楓を何とか説得させ、ついでに頭がイカれた、何て戯言も訂正させた

そん時すげぇ不服そうな顔だったが…まぁ努力の甲斐あって、その後はすんなり納得してくれた

そんな事をぼやくと、楓と遥が少し驚いたように顔を見合わせ、こちらをみた

すると、ベイリーが手を軽くパンパンと叩く音が聞こえ、そちらを振り向く

またしてもこの空間に穴が空いたような、そんな何とも言えぬ雰囲気が漂う中、ベイリーが口を開いた

そう言ってベイリーは少し嬉しそうに笑った

ベイリーがチラリと公爵家の使用人を一瞥する

使用人は肩をビクッとあげ、少し緊張した面持ちでベイリーを見た

するとベイリーの目が鋭さを増し、思わず瑠夏達もその場に固まり動けなくなった

遥や楓が空気を変えようと、明るく使用人に声をかける

少しして、使用人は公爵邸へと踵を返し元の持ち場へ戻って行った

そう言って先導するベイリーに続いて瑠夏達も崩れてしまったベイリーの家へと入っていく

入る前に瓦礫やら柱やらをどけ、楓が更に家の状態を悪化させたのは、また別の話だ

中に入ると、外観より酷くなく机やベッドといった家具はある程度形を保っていて、倒れてはいたがそこにあった

おそらく、この家の主柱がしっかりしていたからだと思う

ただ、棚の瓶やら陶器やらは地面に散らばり、粉々に砕け散っており、中に入っていた液体や花何かも、散らばるようにそこかしこに飛び散り萎れている

そうして遥と楓はそれぞれ別の場所へ、ベイリーは俺がここを見ると言っているが、一緒の方が早いとの事で、同じ部屋を見ることに

そう言って自分の前にある棚を見る

棚は天井ほどの高さがあり、木で枠どられた素朴な棚で、どこか安心感を装うような気がした

その丁度真ん中辺りが少し埃を被っており、ただ所々穴が空いたように埃を被っていない部分があった

おそらく薬品の類が置いてあったのだろう

下のガラス片を見るとかなりのの破片が落ちており、そのいくつかに薬品名が書かれていた

念の為棚の方を確認するが、やはり何度見ても20しかない

瑠夏が大きめの声でイトスギを呼ぶと、少し驚いたように体を強ばらせ、瑠夏を見た

to be continued