テラーノベル
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翌朝__ 教室の空気は、いつも通りだった。 「えとさーん!今日の数学ヤバくない?」 「やばい。確実に赤点。」 のあさんと笑いながら席に座る。
ーー普通の朝。 のはずだった。 「おはよ、えとさん」 聞き覚えのある声に、一瞬で背筋が固まった。
「……」 顔を上げなくてもわかる。 その軽い声。 近すぎる距離。 「無視?」
私はゆっくり顔を上げた。 「クラス違いますよね」 「冷た!」 そう言いながらゆあんくんは笑っていた。
昨日と同じ、余裕の笑み。 なのにーー目だけがじっとこちらを見ている。 「昨日のことさ」 「覚えてないです。」 即答だった。
「え、早くない?」 「関係ないんで。」 ぴくり、と。 ゆあんくんの表情が一瞬だけ揺れた。 「ほんと…俺に興味ないんだ。」
「ないです。」 そう言ったのに、 「ふーん」 何故かゆあん君は笑った。
「今までさ、そんな女子いなかった。」 近づく距離。 机に手をつかれ、逃げ場がなくなる。 「普通、もっと嫌悪とか出るじゃん」 「……離れてください」 「嫌い?」
低い声。 探るみたいな目。 「嫌い以前です。」 その瞬間。 「そっか。」
ゆあんくんはあっさり離れた。 「じゃあさ、」 振り返る前に、響く声。 「俺がどれだけちゃんとしても、見ない?」
胸が嫌な音を立てた。 「……しつこいです」 「そ」 でも、去り際。 「じゃあ、ちゃんとさせてよ」
その言い方が、冗談に聞こえなかった。 私は気づいてしまった。 (この人ーー) ただのチャラ男じゃない。
自分に向けられた視線が、少し重すぎることに。
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