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主
主
母の再婚相手の家。 高級そうなソファ。大きなテレビ。 落ち着かない空間で、潔は小さく身体を縮めていた。
お母さん
母に背を押され、潔は前に出る。
けれど声は出ない。 震える手でスケッチブックを差し出す。 『よろしくお願いします』と書かれた文字。
その先に立っていたのは 眠そうな目をした、背の高い少年だった。
凪
テレビで何度も見た、人気アイドル。 潔は驚きで息をのんだ。
だが次の瞬間、恐怖が全身を走る。 (……男の人……) 喉がまた塞がる。
そんな潔を見て、凪は眉をひそめた。
凪
潔は小さく頷く。 凪はしばらく黙っていたが、やがてぽつりと呟いた。
凪
その声色は、不思議と柔らかかった。
凪
潔の胸に、ほんの少し温かさが灯る。 けれど――まだ怖くて、目を合わせることはできなかった。
主
主
主
主