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エリナ

……俺がエリナになって、今日で一週間

エリナ

男言葉を使える、この一人の時間が癒しだけど

エリナ

男言葉と、それ以外の美少女っぷりのギャップが酷くて

エリナ

どうにも変な気分になっちゃうんだよなぁ……

エリナ

……もう、内面も美少女を目指しちゃう?

エリナ

……

エリナ

……

エリナ

……おっと、誰か来たぞ

アルバート

エリー、今は大丈夫かな?

エリナ

大丈夫ですよ、アル

エリナ

何かありましたか?

アルバート

ああ、魔導船での侵攻計画はまだ立案中なんだが

アルバート

それ以外の、エリーが要望を出していたところが終わったんだ

エリナ

えっ、早いですね!?

アルバート

帝国の最重要案件だからな

アルバート

職人たちを駆使して、早く終わるように急がせたぞ

エリナ

あはは……

エリナ

それはとっても、ありがたいことですが

エリナ

頑張ってくれた人には

エリナ

ちゃんと報いてあげなきゃダメですよ?

アルバート

帝国のために働いているんだ

アルバート

文句があるはずもないだろう?

エリナ

いやいや

エリナ

確かにやりがいとかプライドとか

エリナ

そういうものは満たすことが出来るでしょうけど

エリナ

目に見える報酬は、やっぱり必要ですよ?

アルバート

……つまり?

エリナ

良いものが出来たなら、しっかりお金を与えましょう

アルバート

ふむ……

アルバート

確かに、その辺りを疎かにしていたかもしれん

アルバート

しかし今は戦時中で、出費は出来るだけ抑えたいところだが……

エリナ

でも、魔導船で侵攻するなら

エリナ

他の武器とか、人件費とか、削減できるところはありますよね?

アルバート

……確かに

アルバート

王国から持ち帰った財宝もあるし、まずはそれを充てても……

アルバート

……あっ

エリナ

ああ、また私のことを気にしましたね?

エリナ

今はもう、私は王国の王女ではなく

エリナ

ただ、あなたの婚約者なのですから

エリナ

あまり気にしないでください

エリナ

……そもそも、王国の記憶なんてありませんし

アルバート

記憶を取り戻して欲しいような……

アルバート

そうでも無いような……

エリナ

そんなことより!

アルバート

ああ、うん

エリナ

私の注文は、全部完成したんですよね?

アルバート

つい先ほど、連絡を受けてな

アルバート

エリーにも早く知らせた方が良いと思って

エリナ

ふふ、ありがとうございます

エリナ

早速ですが、魔導船に行っても良いですか?

アルバート

ああ、俺も見たいからな

アルバート

一緒に行くとしよう

エリナ

はい、行きましょう!

エリナ

……

エリナ

……

エリナ

……はい、着きました!

アルバート

ふふ、エリーとは話が弾むな

アルバート

何だか、男友達と話している気分だよ

エリナ

えぇ……? 私が男ですか……?

アルバート

あ、そういうつもりではなくて

アルバート

気楽に話せる、とか、そういう意味なんだ

エリナ

ふふ、大丈夫ですよ

エリナ

私も、一般の令嬢とは違うと自覚していますから

アルバート

そうなのか?

エリナ

ほら、普通の令嬢は

エリナ

魔導船の部屋を、こんな風には飾り付けないでしょう?

アルバート

……おっと、そうだな

アルバート

先日までは、がらんとした部屋だったのに

アルバート

今は前の壁に向かって、座る場所が階段状に何段にもなっていて……

アルバート

……

アルバート

何というか、作戦本部というか

アルバート

戦闘の陣頭指揮を執るような、そんな雰囲気が伝わってくる

エリナ

つまり?

アルバート

かっこいいな!!

エリナ

ですよね!!

エリナ

ほらほら、あそこの上に私が座って

エリナ

アルはもうひとつ上のところで、命令を下すんですよ!

アルバート

なるほど!

エリナ

……でも、少しイメージしにくいですよね

エリナ

メインモニター・オン!!

アルバート

……相変わらず、外の様子が壁に映し出されるのは壮観だな

エリナ

ちなみに魔導船は

エリナ

地上を走ることも、水中に潜ることも出来ますが

エリナ

空を飛ぶことだって、出来ちゃいます

アルバート

その時点で、凄まじい性能だよな

アルバート

……

アルバート

……空を飛んでいて、俺があそこに立っていて

アルバート

そして、命令を下す……

アルバート

……

アルバート

……おっと、武者震いが

エリナ

ですよね、わかります!

エリナ

男心ですよねーっ!

アルバート

エリーの、男心への理解度が何だか凄い……

アルバート

……ああ、そうだ

アルバート

もうひとつの注文の

アルバート

エリーを手伝ってくれる者たちを呼ぼう

エリナ

おっ

アルバート

おい、入ってこい!

【搭乗員】ステラ

はい、殿下!

【搭乗員】アカリ

お呼び頂き、ありがとうございます!

アルバート

お前たちは、今後はエリーの命令を聞くように

【搭乗員】ステラ

はい、かしこまりました!

【搭乗員】ステラ

わたくしはステラと申します

【搭乗員】ステラ

エリナ様、よろしくお願いいたします!

【搭乗員】アカリ

わたしはアカリです

【搭乗員】アカリ

精一杯、努めさせて頂きます!

エリナ

はい、よろしくお願いしますね

【搭乗員】ステラ

……っ!?

【搭乗員】ステラ

あの、わたくし共に敬語は……

エリナ

私を支えてくれる方たちですから

エリナ

是非、そうさせてください

【搭乗員】ステラ

は、はい……っ!

【搭乗員】アカリ

……わたし、猛烈に感動しています

【搭乗員】アカリ

エリナ様、命の限りお仕えいたします!

エリナ

……大袈裟すぎません?

アルバート

エリーは実質、皇族に連なる者だからな

アルバート

そんな人物から敬語を使われるのであれば、仕方がない

エリナ

……ふむ

エリナ

やっぱり、やめた方が良いですか?

アルバート

ふっ、好きにすると良い

アルバート

……しかし

アルバート

この二人は、何だか見慣れない服装をしているな?

エリナ

こういう船には、こういう制服が必要なんです

エリナ

アルは、いつもの服装がバッチリ決まっているので大丈夫ですが

エリナ

魔導船の中に、ドレスの女性がいるのは違いますからね

アルバート

まぁ、確かに

アルバート

しかし、女性である必要はあったのか?

アルバート

男の方が、何かと頼りになるだろう?

エリナ

いやいや

エリナ

こういう大きな船には

エリナ

女性の搭乗員が必要ですよ?

アルバート

ふむ?

エリナ

いざというときには、声が通りやすいですし

エリナ

繊細な仕事も、男性より得意ですし

アルバート

確かに

エリナ

……それに、グッときませんか?

アルバート

……

アルバート

……

アルバート

……ちなみに

エリナ

はい?

アルバート

エリーには、その

アルバート

……同じような制服が、あるのか?

エリナ

あ、そうですね

エリナ

もう少し装飾の多い制服を用意してもらったはずですが……

エリナ

……あれ、入れ違いで私の部屋に持っていっちゃったのかな?

アルバート

ふむ

アルバート

まぁ、ここに置いてあったとしても

アルバート

ここで着替えるわけにはいかないからな

エリナ

少し移動すれば、更衣室に使える部屋はありますが

エリナ

まぁ、今日は諦めておくことにしましょう

エリナ

……

エリナ

……さて

エリナ

ステラさんと、アカリさん

【搭乗員】ステラ

あの、せめて名前は呼び捨てに……

【搭乗員】アカリ

お、同じくです……

エリナ

ふむ、わかりました

エリナ

それでは、ステラとアカリ

エリナ

あなた方には、魔導船の操縦のサポートをして頂きます

アルバート

うん? そういう仕事をさせるのか?

エリナ

はい、操縦に必要な権限を少しだけ委譲します

エリナ

そうしないと、私がずっと休めませんからね

アルバート

……なるほど、確かに委譲の必要があるな

エリナ

アルには、それを上回る権限をお渡ししますので

エリナ

全体的には、問題ないかと思います

アルバート

ふむ、承知した

エリナ

……ちなみに、アルは

エリナ

今日のこれから、時間はありますか?

アルバート

ああ、午後はまた作戦会議に参加しなければいけないが

アルバート

2時間程度なら、問題ない

エリナ

……それでは

エリナ

魔導船を飛ばしてみますか!!

アルバート

えっ

【搭乗員】ステラ

えっ

【搭乗員】アカリ

えっ

エリナ

垂直に浮かせて、戻すだけなら大丈夫でしょう?

エリナ

ものは試しです!!

エリナ

魔導船……テイクオフ!!

アルバート

ちょ、ちょっと待て……!?

【搭乗員】ステラ

きゃ、きゃああああっ!?

【搭乗員】アカリ

わわわっ、わーっ!!?

エリナ

……

エリナ

……

エリナ

……おお、高いですねぇ

アルバート

……な、なるほど

アルバート

これは本当に、飛んでいるな……

【搭乗員】ステラ

これが、これからのわたくしの職場……

【搭乗員】アカリ

うわぁ……、信じられません……

エリナ

アル

アルバート

ん? ど、どうした?

エリナ

折角ですし、魔導砲も撃ってみますか?

アルバート

……

アルバート

……

アルバート

い、いや

アルバート

……それはまた、今度にしよう

エリナ

そうですか、残念です

エリナ

でも、作戦には組み込んでおいてくださいね!

アルバート

あ、ああ

【搭乗員】ステラ

……

【搭乗員】ステラ

今までの価値観が崩壊しそう……

【搭乗員】アカリ

……でも、かっこいいですねぇ……
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