もう
誤魔化せないッッッ!!!
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認めるしかない
俺は大きく息を吸って
ゆっくりと吐いた
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if
暇72
いるま
身体がビクリと跳ねた
驚いたのだ
いふさんが
肯定する俺を遮って
大きな声を上げたのだから
「分かった」?
分かったって何…?
彼の言葉が
頭の中をぐるぐると駆け巡る
しかし当の本人は
こちらの心情など気にも止めず
俺たち二人の肩を抱き寄せて
こう耳打ちした
if
暇72
いるま
思いも寄らない言葉に
俺は自分の耳を疑う
だが彼は確かに言った
はっきりと宣言した
「詮索しない」
見逃してくれる、という認識で良いのだろうか
だが俺は
ここで「黙っててくれるんだ、良かった〜」
と思えるほど馬鹿ではない
世の中はそんなに甘くはない
俺は知っている
うまい話には必ず裏があることを
交換条件が課されるはずだ……
「その代わりに__」とか言って
if
ほれ見たことが
俺は身構えた
目の前のスラッとした青年を 睨むように見つめて…
何を要求してくる?!
怯えられている
そう感じた
彼らはこちらをじっと見つめ
俺が口を開くのを待っている
それもそのはず
自分よりも一回り大きな人間に見おろされて
その上秘密を握られているともなれば
そういう反応になるのも納得である
そんなに警戒しなくてもいいのに……
if
俺はできるだけ彼らの不安を取り除こうと
微笑みかけた
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やべ
なつくんの表情が
更に引きつる
俺の笑顔がそんなに不気味か?
if
これ、は……
無駄やなぁ
こちらがどんな対応をしても
彼らを安心させることはできない
そう悟った俺は
さっさと想いを伝えることに決めた
if
二人の目を見ながら告げる
彼らの表情からは何も読み取れない
それでも俺は話し続けた
if
if
いるま
if
if
if
二人で生きてきたんやもんな
if
if
そう言いながら
俺はある日の出来事を思い出す
ああ、ほんまに大きなったなぁ
国内最大級を誇る
国立大図書館
広い館内の隅っこ
少年
少年
誰も読まないような小難しい書籍が
これでもかと並んでいる本棚の前に
彼らはいた
今でもよく覚えている
雪の降る
とても寒い冬の日だった
そういえば館長が言っていたな
半年ほど前から ここに通い詰めている子どもたちがいる、と
彼らのことだったのか
俺は本の入った箱を運びながら
ただ彼らを眺める
少年
少年
小さな体で
本を取ろうと懸命にジャンプする姿は
とても微笑ましかった
解決策を考えるのも勉強のうちだ
手は貸さないでおこう
その場から立ち去ろうとした矢先
金色の髪の少年のとんでもない発言に
俺は足を止める
少年
少年
“肩車”やて?!
嫌な風が頬を撫でる
ただでさえ子供同士で肩車は危険なのに
今日はあいにくの雪
床はツルツルで滑りやすくなっているのだ
俺はもう一人の子供
紫色の髪の少年へと念を送った
「肩車は止めよう」て言え!!
「危ないやろ」て!!!
少年
「確かに」ちゃうわ💢
おい!!!
危機管理能力!!
そうこうしているうちに
金髪が紫髪の肩に乗ってしまった
いや速いな??!
少年
本を取るため
紫髪が本棚へと足を進める
と
彼が足を滑らせた
重心が後ろにずれる
金髪に至っては空中に放り出される始末
if
俺は抱えていた箱を放り投げ
彼らに向かって駆け出した
床が半分凍っているような状態のため
こちらまで転びそうになる
運の悪いことに
金髪の子が指を引っ掛けたのであろう
本棚から数冊の分厚い本たちが飛び出し
彼ら目がけて降ってきていた
俺はスケートのように滑り
速度を上げる
そこで俺はハッとした
止まれる、か?これ((汗
普段よりも摩擦の小さくなった床は
滑り始めれば止まらなかった
目の前には 怪我する寸前の二人の子供
その奥には巨大な本棚
頭上にはこちらへと落下する数冊の本
もうどうにでもなれ!!
勢いのまま彼らへと突っ込む
落下する金髪の服を左手で掴み
後ろに倒れてくる紫髪を胴体で支え
本棚に右手を突き出して衝突を防いだ
本は………
どうにもならない
ゴス ッ ッ ッ …
鈍い音と共に
頭部に激痛が走る
思わず膝をついた
視界は真っ暗闇
飛びかける意識の中
俺は手探りで少年たちの位置を確認し
無事を確認すべく抱きしめる
彼らの身体から力強い鼓動を感じ
胸を撫でおろした
守れた
if
何とか奥歯を噛み締めて
意識を手放さないよう耐える
if
俺の頬が
小さくて柔らかい何かに
もにもにされている感触がする
数秒後
光を取り戻した俺の瞳は
こちらを見つめる四つの瞳を映した
頬には
彼らの掌が添えられている
少年
少年
if
不思議と
首より上が温かい気がする
少年
少年
心配そうな顔を向けられた
全然大丈夫じゃないんやけど
本音を言うたら格好つかへんしなぁ
そんなことを考えながら
俺は出血しているであろう頭頂部に手を置く
if
ここで俺は違和感に気付いた
出血“してない”!
少年
混乱したまま彼らに目を向ける
少年
少年
少年
紫髪はそう言って
金髪と一緒に何処かへ消えた
その日の夜
俺は館長からあることを知らされる
今日、魔法使用禁止の館内で 魔法を使ってしまった者たちが
報告と謝罪に来た、と
俺はその者たちが彼らであると確信した
彼らは俺の頭の傷を魔法で癒し
俺と話した後
館長室へと向かったのだ
首から上が妙に温かかったのは
治癒魔法の影響で間違いないだろう
その出来事以降
彼らとよく話をするようになったのである
あまりに懐かしくて
思い出すだけで泣けてくる
話してみた彼らは
年齢の割にとても大人っぽかった
親と呼べる人がいないのも
要因の一つだったのかもしれない
あれからはや2年半
はたから見れば
彼らは立派な大人だ
でも
if
変わりない
if
限られるやろ
if
if
心配させてくれ
俺は真剣な眼差しで
彼らに語りかける
暇72
いるま
if
if