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レティシア

……ちょ、ちょっと待って?
私が……救世主?

思わず指をさして「私!?」と確認すると、 目の前の金髪の青年ーーユリウス王太子は 深く頷いた。

ユリウス

ええ。あなたは100年前の王国最大の危機を
救った英雄です。そして今、再び世界が滅びの
危機に瀕している……だから私たちはあなたを
蘇らせたのです

レティシア

…………

いやいやいやいや、待って待って!

私、100年前は王子を毒殺しようとした悪女ってことで 処刑されたんだけど!?いつの間に「英雄」に なってるの!?

レティシア

……あ、あの、確認したいんだけど

私は恐る恐る聞いてみる。

レティシア

私って、確か王子を毒殺しようとして
処刑されたはずだよね……?

すると、ユリウス王太子は「え?」という顔をした。

ユリウス

……レティシア様、
それは一体どこからの情報ですか?

レティシア

どこって、実際に処刑されたんだから
知ってるに決まってーー

ユリウス

いいえ、それは違います

ユリウスの言葉に私は凍り付いた。

ユリウス

あなたは王国を救うために、
命を懸けて戦った英雄です

ユリウス

決して王家に仇なすようなことは
してはいません。むしろ、王族を守るために
最期まで戦い抜いたと記録されています

レティシア

…………

えっ……どういうこと!?

私は悪役令嬢として処刑されたはずなのに 未来では「英雄」になっている……!?

頭がぐるぐるしてきた。 その時、部屋の外からさらに数人の足音が 聞こえてきた。

???

レティシア様、ご無事ですか!?

扉が開かれると、そこには……

・無愛想な黒髪の青年 ・美しい銀髪の女性 ・長身で鋭い目つきの青年

明らかに「重要キャラです!」って顔ぶれが揃っていた。

カイン

はぁ……ついにこの目で
レティシア様を拝めるとは

黒髪の青年が感慨深そうにため息をつく。

カイン

俺はカイン・アルセイド。
かつてあなたの許嫁だった
アルセイド公爵家の末裔だ

レティシア

カイン……アルセイド?

アルセイド公爵家……確かに100年前の私の家名だ。 でも「末裔」ってことは、もう私の家は滅びているってこと?

リリス

……やはりまだ記憶が混乱していますね
無理もありません

今度は銀髪の女性が、優しく微笑む。

リリス

私はリリス・フォン・エヴァンス。
王国最強の魔導士……そしてかつてあなたに
魔法を教わった者です

レティシア

えええええええええええ!?!?!?

私が魔法を教えてた!?!?!?

いやいやいやいや、確かに貴族として魔法は 習ったけどそんな「最強魔導士に教えられるほどの実力」は なかったはず!!

ノア

あなたが目覚めてくださったなら
もう大丈夫ですね

最後に口を開いたのは鋭い目つきの青年。

ノア

俺はノア・ヴァレンタイン。
この王国の聖騎士団長……そして100年前から
あなたに忠誠を誓う者です

ユリウス

……

カイン

……

リリス

……

いやいやいやいやいや!!!!!!!

私、悪役令嬢だったはずなのになんでこんなに 崇められてるの!?!?!?

思考が追いつかない。いや、もう思考が崩壊しそう。

そんな私の混乱をよそに、ユリウス王太子が

ユリウス

さあ、参りましょう

と優雅に手を差し出してくる。

ノア

レティシア様ーーどうか再びこの世界を
救ってください

いやいやいやいや、何がどうなってこうなった!?!?!?

……こうして、悪役令嬢の100年後ライフ(?)が 幕を開けたのだった。

前世で悪役令嬢でしたが、100年後に目覚めたら国の救世主になっていました!?

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