8月6日
今年もあの夏がやって来る。
僕のおばあちゃんは、原爆で亡くなった。
だから毎年、家族皆で平和祈念公園に足を運んでいる。
だけど、小さかった僕は、顔すら見た事の無いおばあちゃんの事なんてどうでも良かったし、昔の出来事なんて全くの関心が無かった。
けれど、
あの年、僕はその真実と向き合った。
かなた
かなた
お母さん
かなた
お父さん
かなた
お父さん
かなた
お母さん
お父さん
かなた
お母さん
お父さん
お母さん
かなた
また歩くくらいならなぁ
かなた
お母さん
お父さん
かなた
かなた
にしても、原爆ドームってボロボロだな。
なんだか、洞窟みたいで面白そう…!
かなた
僕は柵を乗り越えて、ドームの中へと入って行った。
かなた
ドーム内部は薄暗く、丁度真上の天井から日が差し込んでいた。
かなた
かなた
ピカッ
かなた
さっきまで薄暗く、大人しかった太陽が、急に閃光となって辺りを包んだ
そして視界は真っ白に染まり、僕は気を失ってしまった。
かなた
辺りは賑やかで、何かの建物内だった
かなた
かなた
僕は急いで外に出た。
かなた
見慣れない景色につい驚いた
昔の街並み、変な服を着ている人、綺麗なドーム、
かなた
そう、
自分は、
戦時中にタイムスリップしていたのだ
かなた
女性
かなた
女性
かなた
女性
かなた
女性
かなた
女性
女性
女性
かなた
かなた
女性
如何にも昔の家だった
これから、どうするべきか
見る限り、ここは戦時中の広島。
ということは、原爆が落ちる前になっている。
かなた
女性
かなた
女性
かなた
1945年
8月4日
かなた
かなた
かなた
かなた
気付けば、日はもう暮れていた
そして僕は、何気無い一日を過ごした
食事は配給制の為、とても質素で物足りなかった。
このまま僕はどうなってしまうのだろうか?
もしこのまま、現代に戻れなかったら
僕も時代とともに原爆に殺されるのだろうか?
8月5日
時間はきちんと進んでいた
明日、この場所に原爆が落ちる
その事実からは逃れられない
女性
かなた
かなた
僕は黙ってご飯を口に入れた
女性
女性
かなた
かなた
女性
かなた
かなた
女性
かなた
かなた
かなた
女性
かなた
かなた
女性
女性
女性
かなた
かなた
かなた
流石にこれには、驚きが隠せてなかった
女性
女性
かなた
かなた
かなた
僕は外に飛び出した
かなた
1人でも多くの人を守りたい。
その一心だった
僕は近くにあった木箱の上に立った
かなた
近所の人
近所の人
かなた
かなた
近所の人
近所の人
近所の人
かなた
かなた
女性
かなた
女性
かなた
かなた
女性
女性
かなた
女性
女性
かなた
かなた
かなた
女性
女性
女性
女性
女性
女性
女性
かなた
女性
女性
かなた
かなた
かなた
女性
この人から離れるわけにはいかない。
だけど、ここに居ては原爆で死ぬ
僕だけではなく、この人も、皆も
僕はつい、泣いてしまった。
外はもう暗かった
明日、原爆が落ちる。
きっと、これが運命なのだろう
僕は、そう悟った
8月6日
とてもいい天気だった
雲ひとつない晴天
何気無い日常
僕は外に立ち尽くしていた
かなた
かなた
女性
かなた
女性
かなた
ピカッ
かなた
女性
急に閃光が走った
8時15分
原爆が投下されたのだ
その瞬間、
おばさんが僕を突き飛ばす様に、家の中に放り込んだ
かなた
ゴゴゴゴゴゴゴッ
物凄い衝撃波で家が崩れるのが分かった
かなた
まさに一瞬の出来事だった
幸い、爆心地に余程近くないため、僕は軽傷で済んだ
僕は急いで外に出た
かなた
かなた
おばさんは酷い火傷を覆っていた
女性
女性
かなた
僕はふと辺りを見た
すると、火がすぐそこまで来ていた
かなた
女性
女性
かなた
足が血だらけになって骨折もしていた
かなた
かなた
僕は信じられない光景を目の当たりにした
近所の人
近所の人
かなた
とても誰も助けられそうな状況では無かった
女性
女性
女性
女性
かなた
かなた
女性
女性
その瞬間、僕は血の気が引いた
かなた
そう、
この人は
僕のおばあちゃんだったのだ
女性
かなた
かなた
かなた
かなた
かなた
おばあちゃんは火に呑まれてしまった
僕は言われた通りに逃げようとした
しかし
かなた
体が透けて来ていたのだ
かなた
振り返ると、焼けた原爆ドームがあった
僕はドームに向かって走り、火に飛び込んだ
不思議な事に熱くなかった
怪我の痛みも少しずつ消えていた
走ってドームに近づくほど、死体は焼き焦げた炭化の様になっていた
僕はドームの中に入った
あの時に見たドームと同じだった
かなた
僕は気を失った
ミーンミーン
かなた
蝉の鳴き声で目が覚めた。
ここは、原爆ドームの前。
僕はあそこに入ってはいなかった
お母さん
かなた
お父さん
かなた
お父さん
かなた
お父さん
かなた
安らかに眠ってください 過ちは繰り返しませぬから
かなた
かなた
毎年、僕はあの夏になると、あの地に通っている。
僕を救ってくれたおばあちゃんのこと
原爆のもたらした惨状
決して、忘れてはいけないから。
8月6日と8月9日はヒロシマとナガサキに原子爆弾が落とされた日である。
この日、あのキノコ雲の下で大勢の人々が亡くなった。
そして、その惨状を後世に伝え継がなければいけない。
あの惨状を二度と繰り返してはいけないのだから。
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なんだろうこの気持ち