主です
主です
💗くんと息が重なった
そう感じた瞬間
唇に温かいものが触れた
目はしっかりと開いているのに何が起きているのか分からない
時が止まったかのように、体を動かすことが出来ない
気が付くと、頬に添えられていた右手は頭の後ろに回されていて、
左手は僕の手をしっかりと握っていた
そっと瞼を閉じると、ふわふわとした感覚に陥って、
これは夢なんじゃないかと思った
ふっと、与えられていたものが離れていき、現実に連れ戻される
瞼を持ち上げると、💗くんの顔が目の前にあった
ほんのりと頬を赤らめて、目を逸らしている
僕は今、どんな顔をしているのだろう…
と、一気に頭が冴えわたって、ドンと💗くんを突き放した
顔が一気に熱くなるのがわかる
何が起こったのかを理解して、バッと唇を手で覆う
💙
"なんで”という言葉すら発することが出来ない
💗
僕の動揺ぶりを見て、💗くんも一気に焦り始める
💗
つい?
💗くんは"つい”キスをするの?
爪が手の平に食い込むくらい強く拳を握る
そうしないと、涙が溢れてきてしまいそうだから…
💗
💗くんはバツが悪そうに俯いて、謝った
なんで…
なんで謝るの?
胸が張り裂けそうで、もう涙を我慢することが出来なくなった
💙
震える声でそう言って、乱暴に鞄を掴んで部屋を出た
家を出て直ぐに走り出した
💗くんは何も言わなかった
いつものような、またね、とも、何も…
何かいって欲しかった訳では無いけれど…
あのキスは、💗くんにとって、その程度のものだったのだと痛感する
💗くんの優しい笑顔
気まずそうな表情
触れた唇
その全てを振り払うように、家までの距離を走り続けた
💗
ひとりきりなった部屋で、そう呟いた
💙の顔を見て、やっと我に返った
"💙を楽しませたい”そんな偽善じみた事を考えていたくせに、
理性を保てなくなって、キスをした
俺からキスしておいて、気まずくなったから謝るなんて、
ホント、最低だ…
俺が泣く理由なんてなくて、
泣くなんて最低で、俺にそんな資格なんてないのに、
鼻の奥がツンとなって視界がぼやける
耳が痛くなるような静けさに耐えきれなくて、ベットに潜り込んだ
💙
上がった息を整えながら、控えめにただいまを言う
すると、すぐにおばさんが出てきた
おばさん
おばさん
💙
おばさん
おばさん
💙
おばさんの悲しそうな目線を背中に受けながら、
申し訳なさを抱えて、部屋に戻った
部屋に入り安堵すると、足に力が入らなくなって、ベットに潜り込んだ
💙
すると、1度止まったはずの涙がボロボロと溢れてきて止まらなくなった
なんで、何でキスしたの?
キスされたことは嫌だったのに…
なのにっ…
唇が離れていった時、寂しかった
キスされたことよりも、謝られたことの方がショックだった
謝るくらいなら、キスなんてしないでほしい
あぁ、もう分かんない
分かんないよっ…
自分の気持ちすら理解できなくて、頭と心の中がぐちゃぐちゃになる
と、💗くんの服を着ていることに気づき、無意識に服に顔をうずめる
そうすると、💗くんの匂いに包まれて、色んな感情が込み上げてきて、
涙は止まりそうになかった
別に、キスされて減るものがある訳でもない…
でも、💗くんにとっては"つい”してしまう程度のことで、
それに動揺して、泣いてしまうことが悔しくて、
その思いから逃げるように固く目を瞑った
向き合わなきゃいけないって、
こんなやり方は間違えてるって、
分かってるのに…
ああ、ホント、
俺、 / 僕、
何で逃げてんだろ…
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コメント
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続き楽しみにしてます!