目が覚めた時、手首にかすかな赤い痕が残っていた。 昨夜、目黒に縛られた跡。 見慣れた天井、同じシーツの匂いなのに、身体の奥に何かが残っていた。 痛みとも、甘さとも違う、じんわりとした熱。
——夢じゃなかった
隣を見ると、目黒は眠っている。 深く静かな寝息と、無防備な寝顔。
(……信じられない。あんな風に、俺を縛って、責めて、目を潤ませたのに……今はこんな顔してる)
指先がじわじわと震える。 恐怖じゃない。 欲だった。
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s . d
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その目は昨夜と違って柔らかいのに、奥に潜む“何か”は変わっていなかった。 見つめられるだけで、心臓が跳ねる。
朝食を作ってくれて、コーヒーを差し出してくれて、 キッチンで他愛のない話をしている目黒は 「普通の彼氏」みたいだった。 でも——
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不意に落とされたその一言が、 コーヒーより熱くて苦くて、喉の奥に絡みついた。
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拒めなかった。 むしろ、その言葉を待っていた自分がいる。
夜になる。 再び手首を縛られ、目隠しをされ、冷たい道具が肌に落ちる。
m . r
s . d
言葉で、指で、焦らされ、壊されていく。 快感が強すぎて、頭が真っ白になる。
(苦しいのに、離れたくない。怖いのに、もっと欲しい)
目黒の言葉が耳元に落ちる。
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s . d
そう答える自分が、いちばんおかしい。 でも——もう戻れない。
終わったあと、腕の中に抱かれながら、 汗ばんだ肌が触れ合うその時間だけが、現実だった。 愛されてるのか、狂ってるのか。 わからない。でもそれでいいと思った。 この関係が壊れてしまうことのほうが、怖かった。
↪︎ N E X T
コメント
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初コメとフォロー失礼します! とても神ですね!ありがとうございます!